Vol.253 5月 眠りの時間も、ほどほどがいい
眠りの時間も、ほどほどがいい
このコーナーでも何度か紹介したことがある『養生訓』。江戸時代の儒学者・貝原益軒さんが書いたこの本は、なんと300年も読み継がれている超ロングセラーです。
健幸・長寿を自ら体現した益軒さんの「健幸のコツ」を、あらためて学んでみたいと思います。
睡眠の時間は少なめがよい?
『養生訓』に「睡眠の時間は少なめがよい」と書かれているのをみて、意外に思われる人もいるでしょう。
江戸時代はいまと比べて娯楽も少なく、夜は早く寝てしまうという時代背景もあったと思いますが「ひかえめが健康によい」というのは、飲食とおなじことなのかもしれません。
ホリスティック医学の第一人者である帯津良一先生は睡眠時間について次のように述べています。
「理想の睡眠時間は、年齢や生活リズム、体質などによって個人差があります。昼間に心身が軽快で元氣に動けているのであれば、じゅうぶんに眠れているということでしょう。
睡眠の質がよければ、自然と『自分に適した睡眠時間』に落ち着くと思います」
昼間に心身が軽快で元氣に動けているかどうか。軽快で元氣に動けていないようなら、寝不足か、寝すぎが考えられるということですね。
睡眠の質を高める方法についても帯津先生にうかがってみました。
睡眠の質を高める方法
・朝起きたらすぐに太陽の光を浴びる
(夜に眠くなる脳内ホルモンが分泌される)
・夕食は寝る3時間前までに済ませる
・寝るまえにパソコンやテレビの画面をみない
どれもじっさいにやってみると、すぐに快眠効果が実感できるものばかりです。
帯津先生曰く「たいせつなのは、眠らなければと思わないこと。眠れたらもうけもの、くらいの氣持ちでいると、そのうち眠れるようになりますよ」とのこと。
睡眠も「ほどほどでいい」と思うと、氣持ちが楽になって安眠できそうですね。
ちなみに、昼寝については『養生訓』にこう書かれています。
「昼寝はしないほうがよいが、とても疲れたときは横にならずに、うしろへ寄りかかって寝たらよい。横になって寝るときはそばに人をおいて、少しだけ寝ればよい」(巻第二)
さすがは益軒さん。昼寝も「ほどほど」であれば許してくれています(笑)。
からだが欲求しているようなら、日中の短い昼寝も養生になると考えてよさそうです。
〈『養生訓』関連箇所(現代語訳)〉
眠る時間を少なくすると健康になるのは、元氣がめぐりやすくなるからである。眠りが多ければ元氣がめぐらず、からだによくない(巻第一)
睡眠は氣を養ってくれるが、寝すぎれば氣を損なう(巻第二)
参考文献
『養生訓』 貝原益軒
『1分間養生訓』帯津良一・鳴海周平 著(ワニ・プラス)