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【vol.31】鳴海周平の全国ぶらり旅|山梨編


 季節や方角によっても様々な顔を見せてくれる霊峰・富士。今回のぶらり旅は、富士山麓にある富士五湖から、観光の玄関口ともなる河口湖周辺を訪ねてみました。

 富士五湖随一の観光地とも言われる河口湖周辺。たくさんの美術館や工房がある中でもひと際目を惹くのが、河口湖駅からレトロバスで20分ほどの所にある「オルゴールの森」です。

「いらっしゃいませ。ようこそ御出でくださいました。」

 素敵な笑顔で迎えてくれたのは、オルゴールの森・総支配人の片山晋吾さん。

 自らもこの施設の大ファンという片山さんに、魅力溢れる「オルゴールの森」を案内していただきました。

 先ずはエントランスホールへ。ヨーロッパ中世の雰囲気を醸し出す建物の中へ一歩足を踏み入れた途端、まるで舞踏会の会場に入り込んだかのような錯覚に陥りました。よく見ると素晴らしい装飾が施されている壁そのものが音を奏でているように見えます。

「…あのー、もしかしてこちらは楽器ですか?」

「はい、世界最大規模のダンスオルガンです。縦5メートル、横13メートル、奥行きは20メートルもあって、数百本のパイプに力強く空気を送ることでオーケストラ級の迫力ある音を奏でることが出来るんですよ。」

 作品の一部になっている43体の人形も、それぞれが楽器を持ち演奏しています。迫力満点のダイナミックさと共に、緻密な細工の数々に驚かされます。

「こちらのオルゴールミュージアムもご覧ください。オルゴールは、どのタイプも金属を弾いて音を出していますが、使用される木材やその木目、塗っている塗料によっても、音が大きく変化します。ですから、これだけたくさんのオルゴールがあっても、一つとして同じ音を発するものはないんです。」

 まさに「音楽の宝石箱」とも言える美しいオルゴールの数々。心安らぐ音色が部屋中に響き渡ります。

「この作品は『オーケストリオン』と言います。悲劇の豪華客船として知られるあのタイタニック号のために特注されたものだったのですが、製作が間に合わず奇跡的に難を逃れました。この作品が間に合わなかったために、8人の楽士たちが演奏のために船に乗り込み、帰らぬ人となってしまいました。ただ、8人の楽士たちは皆最後まで演奏を止めずに、船内の人々を勇気づけたそうです。音楽を通じて人々の生命を守る、という強い使命感があったのでしょう。どんな状況にあっても、音楽には人の心を動かす大きな力があるのですね。」
こうして目の前に存在している作品が、あのタイタニック号に乗せられていたかもしれないなんて…。まさに運命の巡り会わせを感じさせるエピソードです。

「音楽をいつでも好きな時に楽しみたい、という当時の王侯貴族の想いや音楽家たちの夢が工芸職人の技術の粋と結びついて、こうした名作の数々が生まれたのでしょう。今のように好きな時に好きな音楽を聴けるような時代ではなかったでしょうから、皆競うように高い品質のオルゴールを求めたのだと思います。いつの時代にあっても、音楽は人を魅了してやまないのですね。」
 気がつけば、当時の時代背景を思い浮かべながら、視覚と聴覚の両方を一度に楽しませてくれる素晴らしい作品群にすっかり魅了されていました。

「おかげ様で『オルゴールの森』は姉妹ミュージアムである「箱根ガラスの森」と共に今年の8月で、1、000万人のお客様をお迎えすることが出来ました。来年は10周年を迎えます。
パスポートの要らない身近なヨーロッパ旅行を、これからもたくさんの方々に楽しんでいただきたいですね。」

 まさに「パスポートの要らないヨーロッパ旅行」という表現がぴったりの「オルゴールの森」。中世の魅力溢れる街並みと名作の数々は、素敵なスタッフの皆さんの笑顔と共に、これからも多くの人たちを魅了し続けていくことでしょう。

 つかの間のヨーロッパ旅行を満喫した後、今回の宿泊先であるホテル鐘山苑へと向かいました。
平成7年から「ホテル百選」入り、翌8年からは「JTBお客様評価90点以上の宿」として常に上位にランキングされ続け、日本を代表する宿としても名高いホテル鐘山苑。専務の桑原良訓さんとは7年ほど前に勉強会で知り合って以来、親しくお付き合いをさせてもらっています。

「お久しぶりですね。ようこそいらっしゃいました。先ずは温泉でも入ってのんびりしてください。後でゆっくり遊びに行きますから。(笑)」

「それではお言葉に甘えて。」と早速温泉へ。
 富士五湖周辺で初めて温泉の発掘に成功したという鐘山苑。目の前に広がる雄大な富士山を眺めながら浸かることの出来る天然温泉に、身も心もどんどん癒されていくようです。
「温泉はいかがでしたか?ここは世界的にも珍しい4つのプレートがひしめき合っている地域なんです。地球の表面は、大きな板のような岩盤(プレート)によって出来ていて、それは海流などの影響で常に移動しています。ここはちょうど新旧の日本列島が斜交しているような場所にあるので、500万年前という気の遠くなるような昔の層から身体に良い成分が温泉として湧き出てくるんです。霊峰・富士はその名のとおり霊験もあらたかなんですよ。」

 心身ともに癒される感覚にも納得です。

「ここは標高850メートルという高原の温泉です。気温や気圧が平地とは異なりますから、呼吸器の働きや血液の循環が盛んになり、心身にとても良い影響を与えてくれます。これは『転地効果』とも言われています。また鐘山苑の庭を散策していると、樹木や川の流れが作り出すフィトンチッドやマイナスイオンに加え、季節ごとに咲く花々の美しさや、鳥たちのさえずりなど、すべてが一体となって私たちの心身を癒してくれることが実感出来ます。私どもでは、こうした自然の恵みをそのまま体感して頂けることが、何より大切だと思っています。」
 富士山という絶景をいただく抜群の自然環境。その自然をそのまま感じてもらうことこそが大切、という理念が長年高い評価を受け続けている鐘山苑さんのサービスに現れているのでしょう。

「まったくの素人ばかりが集まっての創業でしたから、当初はいろいろな苦労があったと先代から聞いています。ただ素人だったからこそ、お客様から頂いたご要望にすぐにお応えすることが出来たのではないか、とも思うんです。私どもはただお客様に喜んでもらいたいから、教えて頂いたことを忠実に実行してきただけなんですね。自然の素晴らしさを満喫して頂くためにも、どのように接することがお客様に心地良く滞在して頂けるのか、また富士山の麓という一流の景色に劣らないとびきりの感動をお持ち帰り頂けるのか、という事を常に心がけています。大切なことはすべてお客様から教えて頂きました。」

 「一流の景色に劣らないとびきりの感動を」という桑原専務の言葉に、日本を代表する宿として常に上位にランキングされ続けている理由を教えて頂いたように思いました。
 翌朝、清々しい秋晴れの中、清水國明さんが校長を務める「自然樂校」へと向かいました。
 「あのねのね」として1973年にデビューして以来常に第一線で活躍をしてこられた清水さん。今回は「こころとからだの健康タイム」にゲスト出演していただけるとのことで、とても楽しみにしてお伺いしました。

「おはようございます。北海道も涼しいでしょうが、ここも結構涼しいでしょう?今日はゆっくりと楽しんでいってくださいね!!」

 そう言って迎えてくれたのは、なんと清水さんご本人!!とても気さくに温かく迎えてくれた笑顔に、 自然暮らしの魅力がそのまま表れているようです。

「ここ富士河口湖町は現在、軽井沢、箱根に次いで3番目に観光客が多いスポットになっています。中でもここは『自然暮らしが体験出来るスポット』として近年たくさんの人たちが訪れてくれるようになりました。ログハウスを建てたい人やカヌーに乗りたい人、魚釣りが好きな人など、自然に関する衣食住のすべてを楽しむことが出来る場所がここ『自然樂校』です。」

今年の夏休みも、連日たくさんの家族連れのお客さんで賑わったという「自然樂校」。親子3代で楽しむことが出来るという施設の魅力を伺ってみました。

「自然の中の遊びは、自分の工夫次第でいくらでも楽しくなるんです。だからスタッフは、必要最低限のこと以外は教えません。丁寧に教え過ぎると、言われたことだけをやって終わっちゃう。そうじゃなくて、きっかけだけ与えてもらったら後は自分で工夫をしながらそのプロセス自体を楽しんでほしいんですね。例えば、自分達で作ったカヌーを湖に浮かべて遊ぶ、という人気のプログラムがあるのですが、作業が粗くてどこかに隙間があったりすると、湖の上で『うわー!ウォシュレット〜!!』と大騒ぎになります。(笑)中にはどんどん沈んでいくのもあって、離れて見ているとカヌーが下がっていく様子が『地球が丸いからかねぇ。』なんて感じに見えたんですが、ついに首まで沈んだので急いで助けに行ったこともありました。(笑)ふだん自然と触れ合うことの少ないお父さんやお母さんはずいぶんと心配そうなんですが、意外にもおじいちゃん、おばあちゃんが『ここぞ』という時に背中を押してくれることが多いんですよ。核家族化が進む中で、こうして3世代が共に楽しんで触れ合うことが出来るというのは、本当に大切なことだと思いますね。」

 最高のレジャーとしても楽しむことが出来る反面、命の危険にも関わるような厳しさも同時に持ち合わせている自然。それゆえに楽しむだけではなく「自然は人間よりもはるかに大きな存在であること」そして「自然を甘く見ることの危険性」も同時に伝えたい。「ここは体験というより冒険ですね」という清水さんの言葉からは、そんなメッセージが伝わってきます。

「アメリカのミズーリーにブランソンという町があります。人口5、000人の田舎町なんですが、ここには39件の劇場と湖、自然体験型のテーマパークがあって、その自然体験とエンターテイメントを求めて、年間なんと700万人の観光客がやって来るんです。観光客の増加に伴い劇場やアウトドアパークの数も増えていく、というとても良い循環が出来ています。ここ富士河口湖町のロケーションが、その街にとっても良く似ている。だからもっと多くの皆さんに心から喜んで頂けるという確信があるんです。」

 芸能活動や講演などで全国各地を回りながら、自然と触れ合うことの大切さを伝え続けている清水さん。人間が本来持っている心と身体の健康のためにも、様々な形で自然と触れ合うことが出来る「自然樂校」の重要性がますます高まっていきそうです。

 今回のぶらり旅で訪れたところは、それぞれが霊峰・富士の麓でかけがえのない存在として多くの方々から熱い支持を受けていました。

 「オルゴールの森」が醸し出す異国情緒、旅人にとびきりの感動体験を提供している「ホテル鐘山苑」、そして自然の力を人の暮らしに活かすことを提案し続けている清水國明さんの「自然樂校」。富士山という日本を代表する名所にふさわしい、魅力溢れる皆さんとの出会いの旅となりました。

 清水國明さんとの対談は「こころとからだの健康タイム」でお楽しみください。

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