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【vol.32】鳴海周平の全国ぶらり旅|北海道函館編


 日本で最初の国際貿易港としても知られる北海道函館市。異国情緒漂う独特の街並みは四季折々の風景と融合し、多くの人たちを魅了してきました。
 今回のぶらり旅は、クリスマスを間近に控えた白銀の街・函館を訪れてみました。

 1964年に開業した五稜郭タワーは、昨年11月24日に延べ人数2、500万人の搭乗者数を記録しました。高さ90メートルの展望室からは星型の特別史跡・五稜郭跡を眺望することが出来ます。

 はこだて検定の上級合格者でもある五稜郭タワー企画室課長の木村朋希さんから、五稜郭の歴史についてお話を伺うことが出来ました。

「黒船がやって来た時、伊豆の下田と函館の2箇所が開港され、外国との交渉や海岸の防備などが必要になりました。そのため奉行所が設置されることになり、海岸から大砲の届かない距離として算出された場所が五稜郭だったんです。 

 五稜郭の星型は、16世紀頃にヨーロッパの各地で造られた『城郭都市』をモデルにしています。戦乱が激しい時代にあって、銃や大砲の死角を少なくするための工夫だったんですね。幕末の動乱期には、旧幕府軍と新政府軍との激しい争いの場所となりました。土方歳三が命を落としたことでも有名な『箱館戦争』です。その後は1914年に公園として市民に開放され、現在に至っています。」

 大勢の花見客で賑わう春、市民創作野外劇の舞台となる夏、そしてイルミネーションがきらめく冬と、五稜郭の魅力は1年中尽きることがありません。

「春には1600本以上の桜や藤の花が咲き、タワーからの景色も桜色に染まります。そうした春の景色も、もちろん素晴らしいものですが、その桜が葉桜になり、その葉さえも落ちてしまう冬になる頃、タワーからの景色は、星型の細部まではっきりと見渡すことが出来る、またいっそう魅力的なものになるんです。」

 木村さんから教えて頂いた一角を見ると、春には見えなかった一部道路脇のでこぼこ部分がよくわかります。ここは大砲を設置していた場所らしいのですが、確かにすっかり木の葉が落ちてしまわなければちょっとわかりづらいかもしれません。

「一般的にタワーのような建物は、景色を観ることが一番の目的ですが、五稜郭タワーは『特別史跡・五稜郭跡』という文化財を観ることを目的にしている展示室そのものでもあるんです。」

 きれいな星型がはっきりと眺められるこのタワーからは、函館市内もほぼ全域が見渡せるため、壁に展示されているパネルや精巧に作られたジオラマと共に、函館に関する歴史を身近に感じながら学ぶことが出来ます。そして何と、このパネルやジオラマはすべて木村さんが携わって製作されたとの事!歴史の文献をもとにゆかりの場所を訪ね歩き、他の施設をいくつも見学しながら3年という時間をかけてコツコツと作り上げたそうです。

「歴史を身近に感じてもらうためには銃1本を展示するよりも、当時の情景がはっきりとイメージできるジオラマがいいと思ったんです。例えばこのジオラマは函館が開港してすぐの様子を再現しています。文献には、外国人が木魚を楽器と勘違いしてたいへんなブームになり、街中の木魚が売り切れてしまった、と書かれています。外国人が木魚を持って踊っている、という意外な光景をジオラマで表現してみたんです。」

 外国人が木魚を片手に飛び跳ねている姿!確かに強烈なインパクトです。

「このタワーからは開港してから現在までの函館の歴史に関係する場所が一望出来ます。東西南北すべての方向を見渡しながら展示してあるパネルの解説をお読み頂くと、だいたいの事はご理解頂けると思います。そしてこのジオラマでイメージを膨らませて、日本最初の国際貿易港・函館を体感して頂けたら、これほど嬉しいことはありません。」

 文化財研究の学芸員としての資格もお持ちの木村さん。これからもその卓越した知識で、より多くの方々に函館の歴史を伝えて頂ける事を願っています。

 香港、ナポリと共に「世界三大夜景」に数えられるほど、世界的にも有名な函館山からの夜景。標高334メートルの山頂から見渡すことの出来る扇形に広がった夜景は、何度見ても息を呑むほどの美しさです。

 1995年から函館山山頂を会場として毎年開催されてきた「函館港イルミナシオン映画祭」。今回は12月5日から3日間の日程で行われるとの情報を得、早速会場に伺ってみました。

 会場では、ナルミが提供しているラジオ番組「こころとからだの健康タイム」収録でいつもお世話になっている「FMいるか」の経営母体、函館山ロープウェイ・部長の山原忠さんに時間を頂戴し、映画祭の歴史などについて教えて頂きました。

「この映画祭は『若き才能たちとの出会い』をキャッチフレーズに、明日の日本映画界を背負っていくであろう若い映画人の発掘と発信に力を入れてきました。第三回から始めた『シナリオ大賞』からは長編4本、短編8本、テレビドラマ1本が映像化されています。」

 100万ドルの夜景と共に映画を楽しむことが出来る、という何とも贅沢なこの催し。今年は、今村昌平、市川崑、黒木和雄という、今は亡き映画界の巨匠3人の作品も特別上映し、女優さんや映画監督など約30人のゲストを迎えての開催となりました。

「あがた森魚監督の『オートバイ少女』、篠原哲雄監督の『草の上の仕事』、矢口史靖監督の『裸足のピクニック』という3本の名作からスタートをきった映画祭も、来年度で15年目という節目の年を迎えます。『シナリオ大賞』などにも積極的にご参加頂き、国際観光都市・函館の魅力をいっそう高める催しとして定着させていきたいと思っています。」

 ある映画監督が「どこにカメラを置いても絵になる街」と評したとおり、1年中あちらこちらで映画やテレビのロケが行なわれている函館の街。取材中にも森田芳光監督が、来年の公開に向けてのロケをされていました。山原部長が仰った「若い映画人の発掘と発信に力を入れる催しでありたい」という言葉を改めて実感することが出来た素敵な映画祭でした。

 すっかり日も暮れた午後6時過ぎ。函館山から市街地へ向かう途中のベイエリアにある「金森赤レンガ倉庫」に立ち寄りました。

 文久3年(1863年)に初代・渡邉熊四郎が興した倉庫業を原点としている赤レンガ倉庫群の建物には、当時からの歴史を物語る様々な面影が残されています。

「異国の夢を売る店」として130年以上前に開業された金森洋物館には現在、当時誰もが憧れていた「西洋の華やかな文化」をテーマにしたお店が多数並び、函館を訪れる人たちを温かく迎えてくれています。

 中でもひときわ活気に満ちているのが「アンティーク&喫茶マリオドール」。オーナーの亀井三博さん、敬子さんご夫妻には、長年私どもナルミの「竹炭家族」や「蜂っ子」を愛用して頂いています。

「アンティークの腕時計やライターを置いているのは僕の趣味。子供の頃から機械をいじるのが大好きだったから、こういう仕事にずっと憧れていました。喫茶店はもともとママがしていて、僕はお客さんとしてよくお店に通っていたんです。それが出会いのきっかけ。こうして一緒にお店をやることになってもう15年が経ちます。観光地ということもあって、毎日いろいろなお客様と出会えることが嬉しいですね。」

 取材中もひっきりなしに訪れるお客さんが、必ずと言っていいほど注文しているのが「ソフトクリーム」。その美味しさの秘密は、お2人のこだわりにあるようです。

「函館には遠方からも観光のお客さんがたくさん訪れてくれます。何かの縁でうちに立ち寄ってくれた方には、とびきり美味しいものを食べさせてあげたい。だからうちのソフトクリームには、地元大沼の山川さんの牛乳をふんだんに使っています。モカソフトも豆から挽いていますし、夕張メロンソフトには本物のメロンをその都度ミキサーにかけてお出ししています。おかげ様で、口コミで評判が広がり遠方からの注文が増えて、地方発送も行なえるようになりました。『函館に来て良かった』と思ってもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。」

 美味しいコーヒーとデザートに、素敵なアンティークの数々。そして何よりお2人の温かい人柄が魅力の「アンティーク&喫茶マリオドール」。これからも訪れる人たちに素敵な想い出をプレゼントし続けてくれることでしょう。

 観光都市・函館を代表する名所である、五稜郭タワー、函館山ロープウェイ、金森赤レンガ倉庫。

「訪れる人たちに、素敵な想い出を持ち帰ってもらいたい」という情熱をもって、日々新たな出会いを楽しんでいる達人たちに会うことが出来た想い出深い旅となりました。

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