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【vol.74】おすぎの名画のすゝめ  Scene.29



 
 こんにちは。おすぎです。
 今回ご紹介するのは1950年から60年にかけての作品。60年以上経っても、私の記憶にはっきりと刻まれている大切な映画です。
  

「スパルタカス」

1960年 アメリカ映画 監督 スタンリー・キューブリック
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 ハワード・ファストが執筆した〝スパルタクス〞の反乱をテーマにした小説が原作。カーク・ダグラスが自ら製作総指揮・主演した歴史スペクタクル映画で、監督は当時まだ無名のスタンリー・キューブリック。最初は、アンソニー・マン監督でクランクインしていたんだけど、カーク・ダグラスとの衝突で降板。そこで、キューブリックが呼ばれたのね。キューブリックは、不満のあったダルトン・トランボの脚本を現場で書き換えて、撮影終了後に脚本家クレジットの問題が持ち上がった際に、自分の名前を表記するよう主張したそう。トランボが赤狩りで追放歴があったことから、公開当時は右派や軍人を中心に非難や上映反対運動が起ったんだけど、ジョン・F・ケネディが劇場を訪れて鑑賞し、好意的な感想を述べたことで大ヒットにつながったというエピソードもあります。
 自由を手に入れる為、奴隷スパルタカスが剣闘士や奴隷で組織した軍を扇動し、ローマ貴族に大規模な反乱を起こすという大作。第33回アカデミー賞で4部門獲得しています。
 この映画の撮影は、当時は珍しかった2 か月に及ぶ大規模なロケーション撮影をカウアイ島で敢行し、大いに話題になったようです。しかし、せっかくの美しいシーンに、舞台の照明切替を意識した様々な色のカラー・フィルターをかけてしまうという演出があった為、批評家の意見は賛否両論で、アカデミーの作品賞は取れませんでした。日本では〝オクラホマ〞と同じ70ミリで公開されました。
 

「十戒」

1956年 アメリカ映画 監督 セシル・B・デミル
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 「旧約聖書」の〝出エジプト記〞を原作として制作された、あまりにも有名なスペクタクル作品。最大の見どころは、聖書に書かれている紅海が割れ、海水が空に向かって登っていくクライマックスシーンであります。
 あらすじは、ヘブライ人がエジプトの奴隷とされていた時代に、一人のヘブライ人の男の子が生まれます。エジプトの王ファラオは、救世主の誕生を恐れた為、ヘブライ人の男の子を全て殺すよう命令。難を逃れるため、籠に入れられナイル川へ流されたその男の子は、沐浴中のエジプト女王ベシア(ニナ・フォック)に拾われて、モーゼと名付けられます。素晴らしい青年(チャールトン・ヘストン)に育ち、王からもその優秀さを認められつつあったところで、王子のラメセス( ユル・ブリンナー)に出生の秘密を知られ、砂漠に追放されてしまうのであります。そして、二人の戦いが始まるのです…。
 おすぎの長い映画人生の中でも重要な1本であります。11歳の時に初めて観て、ハリウッドの偉大さを知りました。それから30回以上は観たでしょうか。今でも私にとって〝大切な〞映画です。
 

「恋の手ほどき」

1958年 アメリカ映画 監督 ヴィンセント・ミネリ
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 1958年度〝アカデミー賞〞で、作品賞はじめ10個のオスカーを獲得したミュージカル・コメディの傑作であります。原作はコレット女史で、それをアラン・ジェイ・ラーナーが脚色しました。パリで10週間にもわたってロケが行われたそうです。音楽監督と指揮は、アンドレ・プレヴィン。主題歌〝ジジ〞他9曲を〝ブリガドーン〞のチーム、フレデリック・ロウが作曲、アラン・ジェイ・ラーナーが作詞しています。製作はアーサー・フリード。これらスタッフは、当時一流中の一流であります。キャストも、主人公ジジにレスリー・キャロン、他にモーリス・シュヴァリエ、ルイ・ジュールダンといった顔ぶれ。レスリーも活き活きしているし、シュヴァリエもいい味出しています。まだ若かったジュールダンも、ちょっぴり辛い恋の後、ジジと出会って人生が変わります。嫌な人が一人も出てこない、ゆったり楽しめるミュージカルです。
 

おすすめの新着映画 『野球少女』

英題:Baseball Girl 監督・脚本:チェ・ユンテ 配給:ロングライド
2021年3月5日㈮TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー
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  今回ご紹介する「野球少女」は、“天才野球少女”と称えられ、プロを目指す高校3年生チェ・スイン(イ・ジュヨン)が主人公です。
<あらすじ>
 野球以外の道など考えられないスインは、プロチームのトライアウトに申し込むが、女子というだけで相手にされない。監督からも趣味として続けるしかないと諭されてしまうが、あきらめきれないスインは深夜まで練習を続け、そんなスインを見た新コーチのジンテ(イ・ジュニョク)は心を動かされ始める。そこで、スインのトレーニング方法を真逆に変えさせ、速度ではなく、回転数の高い球を投げられる長所を活かす作戦に出る。日々鍛錬を重ねるスイン。果たしてプロとして、球場に立つことは出来るのか?

 40日間の特訓(独立リーグの選手と一緒に受けたそうです)で、スタント無しを実現したイ・ジュヨン。日を追うごとに上達したというその野球の腕前にも注目です。
 
 

プロフィール・映画評論家 おすぎ


1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。
 
 
 

 

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