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【vol.19】こころとからだの健康タイム|ゲスト 五日 市剛 さん


 昨年の8月に出版され、1年間で25万部を突破するベストセラーとなった講演筆録「ツキを呼ぶ魔法の言葉」。現在も1ヶ月で約3万部売れているという驚異的な人気のこの本は、簡単に日常に活かせるような「幸せのコツやヒント」がたくさん詰まっています。
 今回はゲストに、この「ツキを呼ぶ魔法の言葉」を講演されたご本人、工学博士の五日市剛さんをお迎えし、「こころとからだの健康」にも大きなプラスとなる「言葉の力」の活用法についてお話を伺いました。

鳴海周平(以下鳴海) 「ツキを呼ぶ魔法の言葉」をたいへん興味深く拝読させていただきました。とてもシンプルで、誰でもすぐに実行できる、そして効果がすぐに実感できるところが凄いですね。

五日市剛さん(以下五日市) 予想以上の売れ行きに、びっくりしているんですが、「本物はシンプルである」ことが、広く皆様にご理解いただけたということだと思います。何せ、たった2つの言葉を習慣にするだけで、生活が明るく楽しいものに一変してしまうんですから。

鳴海 そのたった2つの言葉をイスラエルのおばあさんが教えてくれた、というところが面白いですね。五日市さんは、どういった経緯でイスラエルに行くことになったんでしょうか?

五日市 僕は大学院生の頃、アメリカのマサチューセッツ工科大学に留学していました。留学中、住んでいたボストンで中東問題が専門のジャーナリストと知り合い、仲良くなりましてね。その方の影響で、中東の国々にだんだんと興味が涌いてきたんです。特に興味を持ったイスラエルは年中暖かい国らしくて、泳ぎが大好きな僕は「絶対、死海で泳ぎたい!」って思ったんです。(笑)
それと当時僕は、人間関係でかなり悩んでいました。というのも、アメリカ人は皆、お互いに言いたいことは何でもはっきり言ってしまう国民性です。それに対し、日本人は阿吽(あうん)の呼吸というか、和、ということをとても大事にしますよね。言いたいことがあってもなかなか言わないか、婉曲に伝える国民性とも言えると思います。一方僕は、アメリカでの習慣がすっかり身についてしまっていたので、日本に戻って来てからも何でもはっきりズバズバ言ってしまう。相手の気持ちも考えずに、けんか腰で言ってしまうこともありました。そういう態度でいると、誰とでも険悪な雰囲気になってしまうことが多くて、・・・その頃は精神的にかなりつらい時期でしたね。ですから、以前から興味があったイスラエルに行ってリフレッシュしたい、そこで自分を癒したいという思いがだんだん強くなりました。
鳴海 今こうして五日市さんとお話していると、とても穏やかで、当時の様子が想像出来ませんね。それで、イスラエルに行くことになったんですね。

五日市 冬でも暖かい場所だと思っていたので、かなり薄着で、海水パンツまで用意して行ったんです。ところが現地に着きましたら、と〜っても寒い。(笑)その年は数十年に1回あるかないかという大寒波の年だったんですね。ドカ雪まで降ってる。(笑)
クリスマスの日の夕方、ハイファという港町を訪れたのですが、この日もとても寒くて、真っ先にホテルを探し回りました。ところが、どのホテルもユースホステルも閉まっていましてね。いや〜、真っ青になりました。夜もだんだんと更けてきて、あの時は本当に凍えて死んでしまうんじゃないか、と思いました。そんな時に一人のおばあさんが「どうしたの?顔色が悪いわよ。」と言って話しかけてきたんです。僕は「日本から来た学生でして、宿を探しているんですが・・・」と言って、お互い5分ほど話をしました。そうしたら「よかったら私の家へどうぞ。」って言ってくれたんです。本当に驚きましたし、嬉しかったですね。僕のような見ず知らずの外国人にも優しく接してくれたことに、感謝の気持ちでいっぱいでした。
鳴海 そのおばあさんが、五日市さんに「魔法の言葉」を教えてくれたんですね。当時の様子をもう少し詳しく教えていただけますか?

五日市 おばあさんは一人暮らしでした。作ってくれたスープをいただきながら、いろいろな会話をしたんですが、僕はほとんど聞き役でした。見ず知らずの僕を泊めるわけですから、普通なら僕のことをいろいろ聞きたくなると思うんですが、ニコニコしながらひたすらご自分のお話をされるんです。
ドイツからきたユダヤ人であること、3年前に亡くなったご主人が大学で数学を教えていたこと、隣町に住んでいる息子さん夫婦のこと、趣味のことなど、いろいろとお話してくれました。その中でいくつか強く印象に残っていることがあります。中でもツイてる、ツイてないという『ツキ』のお話は、そ
の後の僕の人生をすっかり変えてしまいました。
おばあさんは「ツキというのは簡単に手に入るものなのよ。ツキを呼び込む魔法の言葉があるの。これさえいつも唱えていれば、誰でもツキっ放しになるのよ。」って言うんですね。
「それはどんな言葉なの?難しい言葉?」と訊きましたら、「すごーく簡単で、単純な言葉よ。1つは『ありがとう』、もう1つは『感謝します』。ね、簡単でしょ。」
あまりに月並みな言葉ですよね。でも、その後、僕自身この言葉を口ぐせのように習慣化することで、けんか腰で話すことが一切なくなり、少しずつ人間関係が良くなり、心がとても穏やかになっていきました。
鳴海 「ありがとう」と「感謝します」。どちらも意味は似ていると思いますが、場面によって使い分けをするということでしょうか?

五日市 もちろん、どんな時にもこれらの言葉を使ってもいいと思いますが、おばあさんは「何か嫌なことがあった時に『ありがとう』と言ってみたら」と教えてくれました。嫌なことがあったり辛いことがあった時は、イライラしてマイナスの言葉が口から出て更にイヤなことが起こります。不幸は重なる、連鎖する、と言いますが、そういった負の心理状態や言葉が呼び寄せるんですね。だから「ありがとう」と言うことでその不幸の鎖を断ち切ることが出来る。「災い転じて福となす」というのは、イライラしている心理状態が断ち切られることで良い状況に変化していく様を言ったものなんですね。プラスの言葉を使うことで、心の状態をもプラスに導くことが出来る、ということをおばあさんは教えてくれたのだと思います。「ありがとう」は「有り難う」。難が有る事に感謝することから、この言葉が生まれたのかもしれませんね。
それから『感謝します』という言葉は「何か良いことがあった時に使ってみたら」と言われました。良いことがあったらすぐに「感謝します」。これで良い循環が起こっていきます。それと、まだ起こっていない未来のことも、例えば「1週間後○○に合格させていただき感謝します」などとイメージしながら声に出して言うと、実際そうなる確率はグンと上がります。言葉の力はそれほど大きいんです。「感謝します」と言いにくければ、「ありがとうございます」でもかまいません。
鳴海 五日市さんはこの2つの言葉を習慣にすることで、実際いろいろな体験をされたとお伺いしていますが、いくつか教えていただけますか?

五日市 そうですね。本当にたくさんあるのですが、身近なところでは卓球での体験が面白いですかね。僕は地元のおじさん、おばさん達と月に1回くらい運動がてら卓球をしているのですが、ある日、市の大会のチャンピオンがやってきて、練習試合をしてくれたんです。もちろん勝てるわけがないと思ったのですが、「相手のサーブをうまく返させていただき感謝します」と相手がサーブするたびに1球1球思ってみたんです。そうしたら、何とストレートで勝ってしまいました。相手はビックリですよ。納得いかない様子でした。それで結局3回試合をやったんですが、3回とも勝ってしまいました。周りの人達もビックリしたでしょうね。

鳴海 なるほど。「感謝します」という言葉は、そんなふうにも使えるんですね。おばあさんは確か「何の疑いも不安も心配もなく、力まず自然とそう思いこめれば、感謝しますという言葉が、イメージを実現させてくれる」と言っていたんでしたね。

五日市 はい、そうです。それともう1つ、こんな実例もあります。以前勤めていた会社でのことですが、ちょっと気になる部下がいましてね。僕よりひと回り年上の方です。同じ部署の皆からはとても嫌われていました。確かに何をやっても上手くいかない。自分でも自信がなくなっていたのでしょうね。「俺は何て運が悪いんだ」なんて、いつも言ってましたから。そこで、僕は言葉の力を教えてあげたくなったんです。それで一つ彼に提案というかお願いをしました。「毎朝ロッカールームで会うでしょ。その時、ツイてる?って訊くから、ツイてますって応えてくれませんか?帰りもね。」って。彼は、一応上司のお願いということもあって、「しょうがないな」という感じで了解してくれました。翌日から「ツイてる?」「え?あっ、はいはいツイてますよ。」という感じで日課にしていったのですが、だんだんと楽しそうに言ってくれるようになってきて、さらにその理由まで付け加えてくれるようになりました。「今朝、妻が作ってくれた朝ごはん、おいしかった。ツイてますよ。」とか「業者さんが気の利いたものを持ってきてくれました。ツイてますよ。」という感じですね。そうしたら、彼にいろいろと変化が起きてきたんです。一番大きいところでは、彼が開発担当していたもので、世界ナンバーワンのとんでもないデータが出てしまったことです。すばらしい製品が開発できました。その結果、彼には優秀な部下が2人もつき、多額の予算もつきました。本人も本当に楽しいのでしょう。それまで残業なんかしたこともなかったのに、進んで残業をするようになりました。それどころか、休みの日まで出勤してくるんです。「もう、最近楽しくて、楽しくて仕方がない。」って言うのですね。「ツイてる?」って訊くようになってから、たった1年ほどの間に起きた出来事です。

鳴海 言葉のチカラは、本当に大きいですね。最初は意識して使っている言葉も、習慣になると自然に口から出てくるようになる。それだけに、逆に悪い言葉が習慣になってしまっている人は、気をつけなくてはいけませんね。

五日市 実は、おばあさんから言われた大切なことのひとつに「汚い言葉や人の悪口を言ってはダメ。」というものもあるんです。「否定的な言葉は、ツキを逃がしちゃう。」と教わりました。だから「汚いなー」と言うよりは「きれいじゃないねー」と言ったほうがいいですね。(笑)

鳴海 確かに、その人がふだんどんな言葉を口グセにしているかを観察すると、生活全般についてだいたい見当がつきますよね。人生は言葉が創る、そしてその言葉は習慣にできる、だからどんな言葉を使うのかを意識して選択することは、より良い人生を創るうえで、とても大切なことなんですね。
良い言葉を習慣にするために、何か良い方法はありますか?

五日市 そうですね。意識しないと最初は忘れてしまうかもしれませんね。僕の場合は最初の頃、両手の甲に「ありがとう」「感謝します」「ありがとうございます」「ツイてる」という言葉をマジックで書いていました。そうしたら頻繁に目にしますので、そのまま繰り返し言うことができま
すね。でも、手を洗う時は気をつけましょう。(笑)また、家族や友人などと声を掛け合うのもいいと思います。「継続は力なり」です。とにかく習慣化するまで続けることが大切ですね。
鳴海 最後に「こころとからだの健康」のために、言葉の力をどんなふうに活用したら良いか、教えていただけますか?

五日市 マイナスの言葉を減らし、良い言葉をたくさん使っていくと、いろいろな事が好転してきますし、心身ともに健康な状態に自然と近づいていくようです。もう一つ違う側面から話しますと、僕は「水」も、とても大切だと思うんです。良い言葉や心地よい音楽を聴かせた水の結晶は、とてもきれいな六角形を作ることが確認されていますね。この現象は再現性があるので、科学的な検証が行われています。僕たちの身体の約70%は水分ですから、この水がきれいだと体調もいい筈ですよね。体内の水が、きれいな言葉を使うことで、きれいな結晶を作るのだとしたら、ますます言葉の重要性は高まってきます。水を飲む前に、水に感謝する言葉を言ってみるのも良いかもしれませんね。ちなみに最近、氣の達人でもある有名なお医者様から、飲み物に対し、『天地の恵み、ありがとうございます』と言ってから飲むとおいしくなるし体にも良いよ、と教わりました。参考にされてみてはいかがでしょうか。

鳴海 良い言葉は良い人生を創る、ということは、「水」という観点からも説明できるんですね。
 「ありがとう」と「感謝します」の2つの言葉を習慣化して、心身ともに健康な、楽しい人生を送っていきたいものです。
 今日は本当にありがとうございました。

五日市 剛・プロフィール

昭和39年7月生まれ
昭和63年  米国マサチューセッツ工科大学留学。
平成5年  昭和電工(株)に入社。
平成10年  フジミインコーポレーテッドに入社。新規事業として溶射材事業部を立ち上げ、たった2年で国内トップシェアを実現。また、世界で初めて「微粉末の高速フレーム溶射技術」を確立し、国際的に高い評価を得る。アメリカから「Warren Savage Award」を受賞。日本溶射協会等、国内外の学会でも活躍中。現在は日本溶射協会理事。また、数社の研究顧問を勤め、新規事業および新技術の創出に関わっている。幸福を呼ぶ「座敷わらし」で有名な岩手の旅館は五日市家の本家にあたる。著書に「ツキを呼ぶ魔法の言葉」(小冊子)「じゅもん」(絵本)などがある。

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