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【vol.71】辻和之先生の健康コーナー|「わかりやすい東洋医学講座」 第22回 東洋医学の基礎理論21 「肝」の不調について(後編)


 
東洋医学の基礎理論㉑

前号では【肝気と肝陽の失調】について説明しました。
今号では【肝陰と肝血の失調】について説明したいと思います。

【肝陰と肝血の失調
 肝陰と肝血の失調には、③肝血虚、④肝陽上亢、⑤肝風内動などがあります。肝は、動と昇の性質があり、陰よりは、陽の傾向になりやすいので、肝陰と肝血の失調では、肝血が不足しやすくなり、肝血虚を呈したり、肝陰不足から肝陽上亢、さらに腎陰虚が加わると、肝風内動を来します。

③【肝血虚】(図4)
 何らかの原因により肝血が不足する病態です。原因には、出血過多や慢性疾患による消耗、脾や胃の虚弱によって、気血の化生作用(変化させる作用)の減退などがあります。筋肉や関節、皮膚、目に栄養が行き届かなくなって、図4のような症状が出現します。

④【肝陽上亢】(図5)
 肝陰が不足するために肝陽を制御出来ず、肝陽が顔面や頭および心に上亢する病態。情志の失調によって肝気が上昇し、上方に集まった気が熱を持って火となり、肝陰を消耗し、肝陰不足を生じます。腎陰虚によっても肝陰を養えず、肝陽が上昇し、図5のような症状を来します。

⑤【肝風内動】(図6)
 情志の損傷や長引く過労によって、肝腎の陰血が不足するために陽気を制御出来ず、肝陽が過剰に上亢して、*内風を生じる病態です。筋肉への栄養が損なわれ、筋肉の痙攣などを生じます。( 図7 )目がピクピクする眼瞼痙攣も肝風内動によって生じます。
 この治療には、肝風を鎮めて上昇した肝気を下降させる平肝熄風薬を用います。抑肝散や釣藤散などに含まれる釣藤鈎や柴胡加竜骨牡蠣湯に含まれる竜骨などに平肝熄風作用があります。

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プロフィール

医療法人和漢全人会花月クリニック
日本東洋医学会専門医
医学博士 辻 和之

昭和26年 北海道江差町に生まれる
昭和50年 千葉大学薬学部卒業
昭和57年 旭川医科大学卒業
平成 4年 医学博士取得
平成10年 新十津川で医療法人和漢全人会花月クリニック開設

日本東洋医学会 専門医
日本糖尿病学会 専門医
日本内科学会  認定医
日本内視鏡学会 認定医

 

 

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