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【vol.69】おすぎの名画のすゝめ  特別編~生涯で観ておきたい名画10選(中編)



 
 ぶんぶん通信・おすぎの「名画のすゝめ」で紹介してきた選りすぐりの名画の中から、さらに「生涯で観ておきたい名画」を10作品、おすぎさんに選んでいただきました。中編の今回は4作品をご紹介します。
  

「フィールド・オブ・ドリームス」

1989年公開 アメリカ映画 監督:フィル・アルデン・ロビンソン

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 ケヴィン・コスナー演じる農夫が、ある「お告げ」を受けて、まったく意味がわからないながらも行動していくうちに、次々と不思議なことが起こっていきます。
 若い頃にケンカをして家を飛び出して以来、1度も口をきくことがなかった父親との関係をずっと後悔してきた彼が、最後に辿り着く「お告げ」の結果とは・・・。
 内容としてはかなりスピリチュアルなんだけど、まったく違和感がなくて、只々感動させてくれる作品。
 試写会で観て、本当に素晴らしかったので、新聞の広告に「私は今まで1万本以上の映画を観てきたけど、この映画が最高です!」って書いたら、これが大当たりしまして、映画評論家としては、まだまだ駆け出しだった「おすぎ」の名前を大きくしてくれた作品でもあるのです。
 これをきっかけに、筑紫哲也さんの「NEWS23」に毎年2回ずつ出演するようになって、報道番組の中で30分以上映画を紹介させてもらうという画期的な企画が17年間も続きました。
 この映画はそういった意味でも、私がとても大切に思っている作品です。
 

「冒険者たち」

1967年公開 フランス映画 監督:ロベール・アンリコ

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 私の大好きな監督にロベール・アンリコという人がいます。フランス人で、最初に出会った作品がデビュー作の短編「ふくろうの河」でした。この作品はカンヌ国際映画祭で短編グランプリを獲得し、その後の長編第1作「美しい人生」(1963年)でジャン・ビゴ賞を受賞して、世界的にその名を知らしめました。
 彼の作品にはいくつもいいものがありますが、一番気に入っているのがこの作品です。原作・脚本がジャン・ジョバンニというのも気に入っていて、私の10本の指に入る作品になっています。
 マヌーを演じるアラン・ドロンは、この時31歳で人気絶頂。親友のローランドを演じるリノ・ヴァンチュラが48歳。何をするにも一緒の二人は、彫刻家のレティシア(ジョアンナ・シムカス)と出会い、3人で行動を共にするようになります。
 海底に沈んだ財宝探しという話が舞い込み、一攫千金を狙う3人。苦労の末、ついに財宝を手に入れた3人でしたが、それを狙う一味に襲われ死んでしまうレティシア。彼女を海底に埋葬するシーンがなんとも素晴らしく、そのシーンを見たくて16回も観ました。地方の映画館で上映があると知るとそこまで出かけたくらい、お気に入りの作品なのです。
 

「アマデウス」

1984年公開 アメリカ映画 監督:ミロス・フォアマン

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 〝アントニオ・サリエリ〞を主人公にしたピーター・シェーファー原作(映画では脚本も担当している)のブロードウェイ舞台の映画化。
 オープニングは、1823年11月のある夜、ウィーンの街で自殺を図った老人のサリエリが精神病院に運ばれ、その後、神父フォーグラーに語った告白のシーンから始まります。
 かつて皇帝に仕える作曲家だったサリエリは、彼の前に現れた天才作曲家ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトに対して、激しい嫉妬を抱きます。
 トム・ハリス扮するモーツァルトは、天真爛漫かつ下品で、礼儀知らずな人間として描かれていますが、サリエリはどうやっても彼の足元にも及ばないことを思い知らされ、その激しい嫉妬と苦悩がやがて大きな悲劇を招いていく…。これは、天才モーツァルトに対する、サリエリの葛藤を描いた物語なのであります。
〝フィガロの結婚〞や〝ドン・ジョバンニ〞〝魔笛〞などのハイライトシーンが挿入され、音楽ファンには必見の作品。
 サリエリには、F・マーリー・エイブラハムが扮し、見事な音楽・指揮は、サー・ネヴィル・マリナーがあたっています。米アカデミー賞作品賞など8部門受賞作品。
 

「追憶」

1973年公開 アメリカ映画 監督 シドニー・ポラック

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 シドニー・ポラック監督が、バーブラ・ストライサンドを起用して作ったのが「追憶」であります。当時のハリウッドの映画会社は、オリジナルタイトルを嫌い、日本語タイトルをつけることを好みました。この作品も原題〝The w ay we were 〞を、日本人好みの「追憶」にしました。私はこういう日本人の感性を非常に優れたものと思っています。
 ロバート・レッドフォードが、バーブラ扮する〝ケイティ〞と大学時代の同級生〝ハベル〞を演じています。当時、二人の志向は全く別でありましたが、卒業後、第二次世界大戦中にニューヨークで再会し、結婚。映画のオープニングでは、ケイティが校門の前で政治活動に専念する姿をみせていますが、ケイティはそういう女性なのです。一方、ハベルは正反対で、世の中のことよりハリウッドを目指し、脚本家になります。
 世の中は赤狩りのマッカーシズムが荒れ狂い、反マッカーシズム運動に躍起になるケイティ。二人の間には子供が2人いましたが、ハベルは、そんなケイティと別れる決心をします。そして時は過ぎ、50年代初めに再会する二人ですが・・・。
 随所にバーブラの歌が流れ(音楽はマーヴィン・ハムリッシュ)る中で、学生時代のバベルが親友のJJ(ブラッドフォード・ディルマン)とマクドナルドのハンバーガーとコークを手に、自分たちのもっともよかった年を数え上げていくシーンのなんと素晴らしかったことか。。レッドフォードが、最も美しく撮られていた作品であります。
 私が青春という時代を〝これだ!〞と思った映画が「追憶」でありました。
 
 次号の後編では「ぶんぶん通信」未発表の2作品を紹介します。
 どうぞお楽しみに!!

 

プロフィール・映画評論家 おすぎ


1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。
 
 
 

 

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