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【vol.68】おすぎの名画のすゝめ  特別編~生涯で観ておきたい名画10選(前編)



 
 ぶんぶん通信・おすぎの「名画のすゝめ」で紹介してきた選りすぐりの名画の中から、さらに「生涯で観ておきたい名画」を10作品、おすぎさんに選んでいただきました。前編の今回は5作品をご紹介します。
  

「天井桟敷の人々」

1945年公開(1952年日本公開) フランス映画 監督:マルセル・カルネ

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 顔を真っ白に塗った道化師が女優に恋をする話なんだけど、日本人は「パントマイム」という芸を、たぶんこの映画で初めて知ったんじゃないかしら。 この映画が製作された1942年頃は、ナチスがフランスを占領していた時代。「占領はしているけれど、私たちはこんなに寛容で、これだけの大作を撮ってもらう余裕があるんだ」ということをアピールするために、3年以上の歳月をかけて作られた作品とも言われています。
 世界中の映画ジャーナリストや評論家たちを集めて「生涯もっとも素晴らしい作品は何か?」という品評会みたいなのが1980年頃まで行われていたんだけど、第1位はいつもこの作品。占領下、フランスという国がドイツに強いられて作ったような、けっして恵まれているとは言えない状況の中で、これだけ凄いドラマを持った、確実に映画史上に残る作品を撮れたということは、もう奇跡に近いんじゃないでしょうか。
 パリの大通りを、たくさんの人たちが埋め尽くすパレードのラストシーンでは、感動と共に作品中の数々の名シーンが思い出されて、素敵な余韻を楽しむことができます!!
 

「ベン・ハー」

1959年公開 アメリカ映画 監督:ウィリアム・ワイラー

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 1880年にルー・ウォレスが書いて大ベストセラーになった小説をもとに、何度も映画化されている作品なんだけど、やっぱりウィリアム・ワイラーの監督作がいちばんね。
 物語は、ユダヤ人貴族ベン・ハーの住むユダヤ人地区エルサレムに、ローマ帝国から新しい司令官として幼なじみのメッサラが派遣されてくるところから始まります。かつて親友だった二人は、立場の違いからついに宿命的な対決をすることになるんだけど、もう想像を絶するような出来事の連続に、4時間近い上映時間もあっという間に感じるでしょう。
 当時、6年半の歳月と54億円という巨費を投じて作られた作品だけあって、とにかく凄い迫力でスケールも大きい!特に、大戦車の競争シーンは圧巻です!!
 ミクロス・ローザの音楽、撮影のロバート・サーティスも素晴らしいし、チャールトン・ヘストン、ジャック・ホーキンスといった俳優陣も凄い!公開年のアカデミー賞11部門を獲得した、とにかく凄い映画です。誰でも一生に一度は観ておかなくちゃいけない作品ね。
 

「アラビアのロレンス」

1963年公開 イギリス映画 監督:デヴィッド・リーン

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 デヴィット・リーン監督の最高傑作であります。実在したイギリスの陸軍将校ロレンスがオートバイ事故を起こし、その葬儀シーンから映画が始まるというなかなか衝撃的な冒頭です。
 新聞記者が、葬儀の参列者に「故人はいったいどんな人物だったのか」と訊くと、ひとりは「偉大な英雄だ」と答え、またあるひとりは「狂人だ…」と答えます。そんな主人公ロレンスが、当時オスマン帝国に支配されていたアラブの独立闘争に関わっていく歴史映画で、70ミリという大画面を巧みに使った撮影は、この作品の最も讃すべきところね。
 休憩を入れて四時間を越す大作なのに、まったく飽きさせることがないどころか、充分に満足出来る作品。ピーター・オトゥールの演技も素晴らしいし、広大な砂漠や地平線の彼方にゆらめく蜃気楼などのスケールもたっぷりと堪能して欲しい名作です。
 

「エクソシスト」

1973年公開 アメリカ映画 監督:ウィリアム・フリードキン

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 何度観てもワクワクしてしまうこの作品。原作者のウィリアム・ピーター・ブラッディがプロデューサーと脚本を担当しています。
 オープニングは、アフリカで遺跡発掘をしていたマックス・フォン・シドー扮するメリン神父が、悪魔をデザインした偶像を発見するところから。メリン神父は、以前にもこの悪魔と闘っていて、その日が近いうちに再びやってくることを予感させるシーン。そのあと、ニュージャージーの坂道を尼僧数人が歩いて降りてくる場面で、突然風が吹き、道端の落ち葉が舞い上がる…そこに流れてくる音楽〝チューブラー・ベルズ〞の調べ。これがまた、いっそう不安感をかき立てるのです。
 エレン・バースティン扮する女優・クリス・マクニールの家で、娘のリーガン(リンダ・ブレア)の身に起こる想像を絶する出来事の数々と、それに真っ向から挑むエクソシスト(悪魔払い)との壮絶な戦い。
 ちなみに私は25回観ています!!
 

「ローマの休日」

1954年公開 アメリカ映画 監督:ウィリアム・ワイラー
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 120回以上観た大好きな映画。そのおかげで、ローマで道に迷わずにすんだわ(笑)
 オードリー・ヘップバーン演じるアン王女は、連日の過密スケジュールに嫌気がさし、親善旅行中のローマで城外へと抜け出します。直前に打たれた鎮静剤の作用から、道端のベンチで寝てしまう彼女を介抱したのがグレゴリー・ペック演じる新聞記者のジョー・ブラッドレー。翌朝、彼女が王女であることに気づいたジョーは、スクープ目当てで友人のカメラマンと一緒にローマの街を連れ歩きます。初めて体験する「ふつうの自由時間」に、だんだんと活き活きしてくる彼女。そんな彼女との距離が近づくに連れ、ジョーの気持ちにもだんだんと変化が訪れて…。
 トレヴィの泉や真実の口、スペイン広場など、名立たるローマの名所も数多く登場し、名シーンを盛り上げます。まるで、おとぎ話のような男と女の出会いと別れ…。
 とにかく素晴らしい映画です。
 

プロフィール・映画評論家 おすぎ


1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。
 
 
 

 

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