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【vol.65】おすぎの名画のすゝめ  Scene.23



 
 こんにちは。おすぎです。
 今回は、日本を代表する作品をご紹介。私が小学生の頃に観た名作です。
  

「二十四の瞳」

1954年公開 日本映画 監督 木下恵介

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 原作は壷井栄の小説で、木下恵介監督・脚本の名作であります。
 1928年(昭和3年)、小豆島の岬の分教場に赴任した大石先生(高峰秀子)は、新任の女教師として、一年生12人の子供たちの受け持ちとなります。田舎の古い慣習に苦労しながらも、良い先生になろうとしますが、ある日、子供たちのいたずら(落とし穴)で、アキレス腱を断裂し、長期間学校を休むことになってしまいます。
 子供たちは先生に会いたい一心で、遠い道のりを泣きながら見舞いに行こうとしますが、その道のりは遠く、途方にくれてしまいます。と、そこへ大石先生を乗せたバスが通りかかり、子供たちを乗せて先生の家へ行くことに…。こういった一連の流れの中に、子供たちの行動や動作が美事に描かれています。
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 このあと、大石先生は本校へ転勤し、6年生になった子供たちを連れて四国の金毘羅宮へ修学旅行に行くのですが、子供たちの中には家が貧しく、学校に行けずに金毘羅さんの近くのお店で働く子もいて、そんな子に大石先生が会うシーンや、四国に渡る船の乗務員が大石先生の夫になる、なんてことが描かれていきます。この頃から、日本は軍国主義の色が濃くなり、不況が続いて、登校出来ない子供も出てくるのです。
 その後、結婚した大石先生は、軍国教育は出来ないから、と退職。そして戦争が始まり、先生の夫も戦死してしまいます。
 やがて戦争が終わって、大石先生はまた分教場に戻って子供たちを教えることにします。そして、ラストシーンで、かつての教え子たちの同窓会が開かれるのです。
この作品の1年生と6 年生役の子供たち12組24人は、全国から兄弟姉妹を募集し、3600組7200人の中から選ばれたそうです。また、彼らが大人になった時の役の俳優たちも、その子供たちとよく似た役者を選んだといいます。
 とても想い出深い作品です。
 

「カルメン 故郷に帰る」

  1951年公開 日本映画 監督 木下恵介

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 1951年の春、私が6歳の時に公開された映画で、小学校の講堂で観ました。その後、映画館でも観た記憶があって、その美しさに感動したものです。なにしろ、日本映画最初の総天然色映画ですから。
 浅間山麓で牧場を営んでいる青山正一(坂本武)のもとへ、東京で働いている娘のきん(高峰秀子)から、友達を一人連れて近日帰郷する、との便りが届きます。差出人名が〝きん〞ではなく、〝リリィ・カルメン〞と署名してあることに怒り出す正一を、なんとかなだめる家族。そこへ、きんと一緒に、東京でストリップ・ダンサーをやっている朱美が汽車で帰って来ます。きんは〝リリィ・カルメン〞、朱美は〝マヤ・朱美〞という芸名です。
 この二人の都会娘と田舎社会の人々との考え方の違いや、行動のすれ違いなどが、巧妙なタッチで描かれていきます。
 リリィとマヤが、故郷の野山を散策しながら歌を唄うシーンもあって、ミュージカルとまではいきませんが、これがなかなかキュートなのです。木下忠司の音楽も美事で、今観ても思わず顔が綻んでしまいます。そして圧巻は、二人のストリップ公演を村で開催するくだりであります。
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 もちろん、父の正一は「そんなもの!」と怒り心頭で、その夜は校長先生(笠智衆)のところへ泊り、自棄酒を飲む始末。ですが、公演は村の若者たちをはじめ、多くの村人が訪れて満員の大盛況。きんは出演料を貰い、それを正一に贈って、翌日朱美と故郷を後にするのです。
 今から67年前に、こんな洒落た映画が作られていたなんて…本当に素晴らしい驚きであります。
 監督・脚本はじめキャスティングも、木下恵介というこの時代を代表する映画人の手によるものです。
 

おすすめの新着映画 「アイ・フィール・プリティ!/人生最高のハプニング」

監督:マーク・シルヴァースタイン&アビー・コーン 
原題:I FEEL PRETTY 配給:REGENTS
12月28日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

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 “勘違い”がテーマの映画であります。
 ぽっちゃりしていて、パッとしない容姿の自分に自信が持てず、悶々とした毎日を過ごしているレネー(エイミー・シューマー)。
 ある日、自分を変えようとダイエットを決意し、ジムに通い始めますが、エクササイズ中に転倒し気を失ってしまいます。…で、目が覚めると、スーパーモデル級の美女に変身していた…というところから始まります。
 もちろん、レネーは最初にスクリーンに映った時から、少しも姿、形は変わっていないのですが、その勘違いにより、彼女は非常にポジティブな生き方になっていきます。
 自分が「美しい」と思い始めたら、恋にも積極的になり、仕事はメキメキ出来るし、社長にも認められ出世もしてしまうのです。このあたりが、とても好感が持て、映画としても面白い!!
 ですが、もちろん、勘違いはいつか醒めます。すると…
 とてもいい映画です。どこかコンプレックスを持っている人には、バイブルにもなる作品であります。
 

プロフィール・映画評論家 おすぎ


1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。
 
 
 

 

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