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【vol.64】おすぎの名画のすゝめ  Scene.22



 
 こんにちは。おすぎです。
 今年の夏も暑かったですねぇ。この号がお手元に届く頃は、もう初秋かと思いますが、天候が不安定な昨今、残暑が厳しい場合と、思ったよりも寒かった場合、そして例年どおり朝晩が少し肌寒い程度だった場合、それぞれに合ったオススメの作品を紹介いたします。
  

「羊たちの沈黙」

1991年公開 アメリカ映画 監督 ジョナサン・デミ

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 残暑が厳しかった場合には、ちょっと涼しくなるこちらの作品を。
 監督のジョナサン・デミは、大学で獣医学を学んだ後、映画評論家、映画宣伝マンを経て、ロジャー・コーマンのもとで映画製作と脚本を学び、B 級映画を多く作っていましたが、1991年に本作でアカデミー賞の作品、監督、主演男優(アンソニー・ホプキンス)、主演女優(ジョディ・フォスター)の各賞を受賞し、一流監督の仲間入りを果たしました。
 連続殺人事件を追う女性FBI訓練生クラリスと、彼女にアドバイスを与える猟奇殺人犯で元精神科医レクター博士とのサスペンスフルな交流を描いた本作。見どころは、A・ホプキンスがとてつもなく難しい人物を演じきった力と、J ・フォスターの果敢な役への取り組み方であります。
〝バッファロー・ビル事件〞を解決するために、協力を拒否していたレクターをどう説得したのか、それがタイトルにつながっています。必見の1本であります。
 

「ロッキー」

  1976年公開 アメリカ映画 監督 ジョン・G・アヴィルドセン

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 思ったよりも寒かった日には、こちらの熱ーい1本をオススメします。
 ロッキーシリーズ(全6本)の記念すべき一作目であります。
 シルヴェスター・スタローンは、当時映画のオーディションに50回以上落ち、ポルノ映画への出演や用心棒などで稼いでいましたが、〝モハメッド・アリ対チャック・ウェプナー〞の世界ヘビー級タイトルマッチの試合を観て、「アリをダウンさせたその瞬間、ウェプナーは偉大なボクサーとなり人々の心に永遠に刻まれる」と感じ、3日間で『ロッキー』の脚本を書き上げたといわれています。
 その脚本を、プロダクションは7万5000ドルで買い取り、主演にはポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、アル・パチーノを挙げましたが、スタローンは長い間の交渉の末、俳優組合が定める最低のギャラで主演を獲得。ちなみに監督のジョン・G・アヴィルドセンのギャラも半分だったとか…
 そんなスタローンの熱意が充分に伝わってくる作品です。
 

「フォレスト・ガンプ/一期一会」

1994年公開 アメリカ映画 監督  ロバート・ゼメキス

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 タイトルの〝フォレスト〞は〝クー・クラックス・クラン〞結成者の〝ネイサン・ベッドフォード・フォレスト〞から、〝ガンプ〞はアラバマ州の方言〝うすのろ、間抜け、愚か者〞を意味しています。
 人より知能指数は劣るが、純真な心と周囲の人々の協力を受けて数々の成功を収めていく〝うすのろフォレスト〞の半生を描いた作品。第67回アカデミー賞で、作品、監督、脚本、主演男優(トム・ハンクス)など6部門を受賞しています。
 映画は、空中を漂う1本の羽がフォレストの足元に舞い降りるシーンから始まりますが、このシーンだけで、普通の映画が1本作れるくらいの巨額の費用がかかったとか。バス停のベンチに座るフォレストが、バスを待つ人に話しかけながら過去を回想するという形で、1950〜80年代のアメリカの世相を交えながら物語は進行していきます。
 少し肌寒くなってきた初秋にぴったりの、心温まる作品です。
 

おすすめの新着映画 「運命は踊る」

監督・脚本:サミュエル・マオズ 原題:FOXTROT
配給:ビターズ・エンド
9月29日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか
全国順次公開 札幌は10月27日(土)公開予定

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 第74回(2017年)ヴェネチア国際映画祭審査員グランプリをとった「運命は踊る」は、イスラエルのサミュエル・マオズ監督作品。
 オープニングは、ミハエル(リオール・アシュケナージー)とダフナ(サラ・アドラー)夫婦のもとに、息子のヨナタンが戦死した、と軍の役人が知らせに来るところから始まりますが、じつは、ヨナタンは戦死しておらず、イスラエル北部・国境付近にある補給路の検問所で、同僚の兵士から“フォックストロット”のステップを教わりながら、いつの間にかマンボを踊っていたのです。
 息子の戦死が誤報と知ったミハエルは、息子をすぐに自分たちの元に戻すよう軍に要請するのですが…。
 この家族が運命の渦に容赦なく飲み込まれていく様を、監督の実体験をベースに描いていく秀作なのであります。
 

プロフィール・映画評論家 おすぎ


1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。
 
 
 

 

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