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【vol.61】おすぎの名画のすゝめ  Scene.19



 
 こんにちは。おすぎです。
 今回ご紹介する映画は、寒い夜にオススメの、ちょっと切ないけれど、心が温かくなる作品です。
  

「追憶」

1973年公開 アメリカ映画  監督 シドニー・ポラック

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 シドニー・ポラック監督が、バーブラ・ストライサンドを起用して作ったのが「追憶」であります。当時のハリウッドの映画会社は、オリジナルタイトルを嫌い、日本語タイトルをつけることを好みました。この作品も原題〝The way wewere〞を、日本人好みの「追憶」にしました。私はこういう日本人の感性を非常に優れたものと思っています。
 ロバート・レッドフォードが、バーブラ扮する〝ケイティ〞と大学時代の同級生〝ハベル〞を演じています。当時、二人の志向は全く別でありましたが、卒業後、第二次世界大戦中にニューヨークで再会し、結婚。映画のオープニングでは、ケイティが校門の前で政治活動に専念する姿をみせていますが、ケイティはそういう女性なのです。一方、ハベルは正反対で、世の中のことよりハリウッドを目指し、脚本家になります。
 世の中は赤狩りのマッカーシズムが荒れ狂い、反マッカーシズム運動に躍起になるケイティ。二人の間には子供が2人いましたが、ハベルは、そんなケイティと別れる決心をします。そして時は過ぎ、50年代初めに再会する二人ですが・・・。
 随所にバーブラの歌が流れ(音楽はマーヴィン・ハムリッシュ)る中で、学生時代のバベルが親友のJ J(ブラッドフォード・ディルマン)とマクドナルドのハンバーガーとコークを手に、自分たちのもっともよかった年を数え上げていくシーンのなんと素晴らしかったことか。レッドフォードが、最も美しく撮られていた作品であります。
 私が青春という時代を〝これだ!〞と思った映画が「追憶」でありました。
 

「天国から来たチャンピオン」

1978年公開 アメリカ映画 監督 ウォーレン・ベイティ

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 この映画、私が生まれる前に作られた「幽霊を歩く」という作品のリメイクなんですって。とにかく、ストーリーがファンタジーそのものなのです。
 アメリカンフットボールの〝ロサンゼルス・ラムズ〞のクォターバック、ジョー・ペンドルトン(ウォーレン・ベイティ)は、出場の決まったスーパーボールの試合を前に、交通事故で急死してしまいます。自分の死に納得できないジョーが、天使長ジョーダン(ジェイムス・メイスン)に抗議したところ、まだ50年もの寿命が残っているのに、担当天使のミスで天国に召されてしまったことがわかり、元に戻ろうとしますが、ジョーの肉体は既に火葬されていたのです。そこでジョーダンが「代わりに」と選んだ身体は、大富豪のレオ・ファーンズワースの遺体。もう、このオープニングからワクワクするでしょ?
 スーパーボールのスター選手だった主人公が大金持ちの身体を貰う…しかも、その身体は、妻とその愛人によって殺されたものだった…。こうなってくると、ワクワクするより興味深々でありますが、この大富豪の身体も長くは保てなくて…。
 大金持ちになったジョーは、なにしろ大金持ちでありますから、〝ロサンゼルス・ラムズ〞を買収してしまい、選手として出場するために猛特訓を始めます。また、公害問題のため抗議に来たベティ(ジュリー・クリスティ)に一目惚れしてしまい、二人は恋人同士に…。しかし、この大富豪も死んでしまう運命で、ジョーはまた体を失ってしまうのであります。果たして、ジョーのその後は?
 とにかく楽しくて、よく出来た作品です。ウォーレン・ベイティは、プロデューサー、監督、脚本、主演の4役をこなしています。
 

「マディソン郡の橋」

1995年公開 アメリカ映画 監督 クリント・イーストウッド

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 1992年のアメリカのベストセラー、ロバート・ジェームズ・ウォラーの〝マディソン郡の橋〞を、クリント・イーストウッドが製作、監督、主演で映画化した作品であります。
 公開当時、話題を呼んだのは、共演がメリル・ストリープだったこと。これは、イーストウッドが強く推したということです。映画化の権利を持ったのは、当初スティーブン・スピルバーグの〝アンブリン・エンターテインメント〞で、原作者に払ったお金は2億5千万円だと言われています。
 映画は、1989年の冬、フランチェスカ・ジョンソン(メリル・ストリープ)の葬儀を出すために集まった長男のマイケル(ヴィクター・スレザック)と妹のキャロリン(アニー・コーリー)が、母の日記を読み始めるシーンから始まります。
 母の遺言は〝火葬にして、ローズマン・ブリッジから灰を撒いて欲しい〞というもの。アメリカでは一般的でない〝火葬〞に、当初は大反対だった子供たちですが、母の日記を読み進めていくうち、次第に心境の変化が起こります。
 遺言の理由は、1965年秋、家族が子牛の品評会のために隣町まで出かけ、一人きりになった4日間の出来事でした。小さな農場の主婦フランチェスカが、地元にかかるローズマン・ブリッジを撮りに来たナショナルジオグラフィックのカメラマン、ロバート・キンケイド(クリント・イーストウッド)と出会い、恋に落ちてしまうのです。
 橋まで案内し、帰りにアイスティーを一緒に飲み、野の花を摘んでプレゼントしてくれたロバートを夕食に招待し…夫とは違う物静かなロバートに、フランチェスカは好意を持ち、翌日、新しいドレスに身を包んだ彼女を「息が止まるほど綺麗だ」と言ってくれたロバートと、自然に結ばれるのであります。「これは生涯に一度きりの確かな愛だ」というロバートの言葉を胸に、家族と一緒に暮らす生活を選ぶフランチェスカ…。とにかく、メリル・ストリープの演技が最高です!
 

おすすめの新着映画 「キングスマン:ゴールデン・サークル」

監督:マシュー・ヴォーン
原題:Kingsman: The Golden Circle
配給:20世紀フォックス映画
2018年1月5日(金) TOHOシネマズ 日劇他全国ロードショー

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 表の顔はロンドンの高級テーラー“キングスマン”。しかしその実態は、どの国にも属さない世界最強のスパイ機関だった…。
 2年前に公開された「キングスマン」が、新しいキャラクターを加えての登場です。
 前作でストリートキッズだったエグジー(タロン・エガートン)は、キングスマンのエージェントに成長していましたが、ある日、目の前にヴァレンタインの基地で死んだはずの裏切り者・元候補生チャーリー(エドワード・ホルクロフト)が突然現われ、銃をつきつけられます。
 オープニングからド派手なアクションで始まるこの映画。これでもかと次から次へと襲いかかってくる、片腕に強力なロボットアームをつけたチャーリーに苦戦しながらも、どうにか撃退したエグジーですが、今回の本当の敵は、チャーリーを雇った世界の麻薬市場を制覇した組織“ゴールデン・サークル”。上品で甘い物腰と、邪魔になった部下を残酷な方法で処刑する二面性を持ったこの組織のボス、ポピー(ジュリアン・ムーア)との対決の結果やいかに!!
 2時間21分瞬きも出来ない程ノンストップで展開されるアクションを堪能して下さい。
 

プロフィール・映画評論家 おすぎ


1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。
 
 
 

 

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