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【vol.50】辻和之先生の健康コーナー|「わかりやすい東洋医学講座」 第1回 東洋医学と西洋医学の違い


 今回から、東洋医学についてお話したいと思います。
 第1回目は、東洋医学と西洋医学の違いについてです。

【東洋医学の定義と歴史】

1.自然治癒力を引き出す中国由来の伝統医学
 「悪いところはメスや薬で取り除く」と云う考え方が特徴の西洋医学に対して、東洋医学は、体の自然治癒力を引き出すことによって健康維持や病気の改善をはかる伝承医学です。
 これは2000年以上前の古代中国で生まれたもので、治療手段として植物や動物、鉱物などを薬として用いる「漢方薬」や、経絡や経穴の概念を利用した「鍼」、「灸」や「手技療法」(按摩や指圧など)、薬膳や薬草茶などで日常生活に取り入れる「養生法」などがあります。

2.日本の文化や風土に合うように独自発展した漢方医学
 東洋医学が中国から日本に伝えられたのは5〜6世紀頃で、現代の日本で用いている東洋医学そのままの形で受け継がれてきたわけではなく、平安時代から江戸中期にかけて独自な発展を遂げました。

【東洋医学と西洋医学の健康観】

1.西洋医学の健康観
 西洋医学では、体や心が「ある一定の状態」(健康)から逸脱したものを病気と捉えます。「ある一定の状態」は、検査データが正常範囲を超えた状態であり、これを病気として治療対象にします。
 この「データが正常値で一定していることが健康である」という考え方を「恒常性」と云います。
 ところが、検査データが正常なのに体調が悪い、という場合があり、測定できないこうした現象を把握することは、現在ではなかなか困難です。

2.東洋医学の健康観
 東洋医学では、「体の中の全てのものは常に変化していて、その状態こそ健康である」と云う健康観が土台となっています。
 その変化が何らかの理由で停滞すると、不調や病気が生じると考えるのです。 
 こうした考え方を「変動性」と呼びます。
 私たちの心や体は、天候、人間関係、ストレスなど外界から様々な影響を受けています。それと同時に、加齢、体質の変化、疲労といった体内からの影響もあります。
 こうした体の内外からの影響を受けても、それに順応出来るだけの自然治癒力があれば、健康を保つことが出来ます。ところが、何らかの理由でその影響に順応出来なくなると、全身のバランスが崩れて、体の中の変化に異常が生じてしまいます。この異常が、不調や病気です。
 東洋医学では、こうした異常を治療する場合、体内のバランスがどう崩れているかに着目して、患者の自然治癒力をアップさせ、バランスの崩れを取り戻せるように治療します。
 例えば、発熱した場合、熱を下げる治療をするのではなく、熱で体力が消耗しないようにサポートしつつ、病因を排除する免疫を強化する治療を行うのです。
 このように東洋医学は、体の内外からの様々な影響に対して順応できるように自然治癒力を上げ、全身のバランスの崩れを是正して病気を治すことを主眼としています。

 東洋医学は、様々な手法で体の内側に働きかけて自然治癒力を引き出す医療

 次回は、東洋医学の基礎理論として、生体観と陰陽論についてお話したいと思います。

プロフィール

医療法人和漢全人会花月クリニック
日本東洋医学会専門医
医学博士 辻 和之

昭和26年 北海道江差町に生まれる
昭和50年 千葉大学薬学部卒業
昭和57年 旭川医科大学卒業
平成 4年 医学博士取得
平成10年 新十津川で医療法人和漢全人会花月クリニック開設
日本東洋医学会 専門医
日本糖尿病学会 専門医
日本内科学会  認定医
日本内視鏡学会 認定医

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