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Vol.125 9月 からだの声をきくことが健康の秘訣


 健康に関する様々な情報が溢れている中で、健康のために本当に大切なのは「からだの声を聞くこと」です。
 今月からは「からだの声を聞いて健康を保つ」というテーマでお話します。

 健康情報誌「日経ヘルス(日経BP社刊)」の副編集長として様々な健康情報を世の中に送り出し、現在もフリーライターとして活躍中の北村昌陽さん。
 今回からの「こころとからだの健康タイム」では、北村さんの著書「カラダの声をきく健康学」から、からだの声を聞くことの大切さを学んでいきたいと思います。

そんなに凝ってますかね?

 ふだんはあまり自覚がないのに、マッサージなどを受けた時に「うわあ、ずいぶん凝ってますねぇ」と言われた経験はありませんか?
 本人は自覚がないので「そんなに凝ってますかね?」などと悠長なことを言っていますが、これは「凝っていることに氣づかないほどに凝っている」という状態で、「凝りを自覚している段階」をとっくに越してしまっている場合が多いのです。
 おそらく、そういった状態になる前には、パソコンの画面を長時間見ていたり、同じ姿勢でずっと本を読んだり、といったことが習慣化していたのではないでしょうか。最初は何となく違和感を感じて、首や肩を回したりしますが、だんだんとその状態にも慣れてしまい、そのまま凝りが蓄積されていく・・・。これが「自覚症状のない肩こり」の主な原因です。
 筋肉は、動かすことで伸び縮みをして血液が流れていきます。すると、凝りのもとになる疲労物質も血液と一緒に流されていきますから、からだを良く動かしている人は疲労物質を溜め込むことがなく、「凝り」もない、というわけです。
 肩に限らず、どこかに凝りがある場合は、血液や氣の流れが局所的に悪くなっているサイン。からだをなるべくこまめに動かして、体内の流れをよくしてあげることが大切です。

「なんとなく動きたい」を大切に

 「カラダの声を聞く健康学」の著者・北村昌陽さんは十年以上前、当時ノルディックスキー複合競技の現役選手だった萩原健司さんにインタビューをしたことがあるそうです。その際、一時もじっとせずにからだのあちこちを動かし続けながらインタビューを受けている萩原さんの振る舞いにとても興味を持ち、「どうしてそんなに動いているんですか?」と聞いてみました。その質問に萩原選手は「じっとしていたら、体が固まるみたいで気持ち悪くないですか?」と答えたと言います。
 きっと、疲労物質が局所的に蓄積されないよう、無意識のうちにからだを動かしていたのでしょうね。金メダリストは、からだの声にも人一倍敏感なのだと思います。
 北村さんは著書の中でこう述べています。
 「おそらく私たちの体の中でも、一分とはいわないまでも、数分~数十分もじっとしていれば、凝った感じを起こす何かしらの成分がたまり始めているのです。そのぐらいの時間じっとしていると『もぞもぞ動きたい』とか、「グーッと背中を伸ばしたい』といった欲求が出てきてもいいはずなんですね。」
 からだからの欲求を聞くことは、健康を保つ何よりの秘訣。「なんとなく動きたい」というからだの声を、いつも大切にしていたいものです。

あくびも出ない?

 子供の頃、テレビで「ハクション大魔王」という漫画をよく観ていました。特にアクビちゃんが可愛くて、一生懸命あくびをして呼び出そうとしていたことを思い出します・・・という話はどうでもいいのですが(笑)、あくびは私たちのからだにとって、とても大切なはたらきをしているというお話です。(前置きが長くてすみません・・・)
 群馬県で、整体や自然食を学ぶ講座「整体ライフスクール」を開催している野村奈央さんは、疲れやストレスが溜まって緊張しているからだをゆるめるために、先ずは「あくび」をしてもらうのだそうです。
 ところがここ数年「あくび」がなかなかすんなりと出てこない人が増えているというのです。
 からだが硬直していて、特に後頭部から腰まわりにかけての広い範囲が強く固まっていることが多く、緊張し過ぎて自分ではからだをゆるめられない・・・。そんな状態が続くと、からだには当然よくありません。
 ただ、そういった人たちも、ゆっくりと時間をかけてゆるめていくことで、自然に大きなあくびが出るようになるのだそうです。
 「あくびは天然のストレッチ」という野村さん。氣持ちのよいあくびには、アクビちゃんを呼び寄せる力があるかもしれません。(まだ言ってる・・・)

 <あくびのやりかた>(カラダの声を聞く健康学」より)
 
 ①正座か、いすに浅く座った姿勢でおこないます。

 ②肩の力を抜いて、背すじを伸ばし、上半身を少しだけ前傾させます。

 ③あごを上げて上を向き、首を伸ばしながら口をぽかんと大きく開けます。
 
 ④斜め上前方に伸び上がるようなイメージでそのままのんびりと待っていると、自然にあくびが出てきます。

 気長にのんびりとおこないましょう。

 
 からだの声に耳を澄ませることが、健康を保つ何よりの秘訣ですね。

  
参考文献 「カラダの声をきく健康学」 北村昌陽 著 (岩波書店)

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