Vol.255 7月 朝と食後の健幸習慣
朝と食後の健幸習慣
このコーナーでも何度か紹介したことがある『養生訓』。江戸時代の儒学者・貝原益軒さんが書いたこの本は、なんと300年も読み継がれている超ロングセラーです。
健幸・長寿を自ら体現した益軒さんの「健幸のコツ」を、あらためて学んでみたいと思います。
朝と食後にオススメです
以前「食べたあとはすこし歩いたほうがよい」という益軒さんの訓えを紹介しましたが、もうひとつ、食後の習慣として益軒さんが勧めていることに「お腹のマッサージ」があります。
マッサージといっても、揉むのではなく「なでて、さする」イメージで、食べたあとに「お腹のあたりを上から下へ数回なでおろすとよい」と述べています。
益軒さんは、この「なでる」という効果を重要視していたようで、起床後にするとよい習慣としても紹介しています。
「両手をこすりあわせて、髪のはえぎわから顔をなでおろす。鼻の両脇、耳のつけ根、耳たぶも、しばしばなでるとよい」(巻第五)
僕もじっさいにやってみて、起きてからの氣分がまったく違うことが実感できたので、もう20年以上続けています。
元氣な人は「顔色」がいい。だから、朝に顔をなでてさすって氣血の流れをよくすると「顔色がよくなる=元氣になる」という関係が成り立つのでしょう。
からだはすべてつながっていることを、あらためて実感できる養生法です。
お日様セラピー
顔をなでてさするほかに朝の習慣としてお勧めしたいのは、脳生理学者の有田秀穂さんが提唱している「お日様セラピー」。こちらも、僕が長年続けている朝の習慣です。
やり方は簡単で「朝起きたら太陽の光を浴びる」これだけです。
太陽光を浴びると「セロトニン」という脳内物質が分泌されます。
セロトニンには自律神経(心身の健幸バランス)を調えてくれる効果や「幸せホルモン」の分泌を促してくれるはたらきがあるので、その日1日とても氣持ちよくすごすことができ、快眠にもつながります。
朝起きたら、顔やからだをなでてさすって、太陽光を浴びる。
食べたあとは、お腹をなでおろして消化をうながし、氣をめぐらせる。
生活リズムにとりこみやすい「朝」と「食後」にお勧めの健幸習慣です。
〈『養生訓』関連箇所(現代語訳)〉
朝はまず布団のなかで両足を伸ばし、深く息を吐く。そのあと、すわって上を向きながら両手をくみ、前方へ伸ばして、上にあげる。(中略)からだのあちらこちらをなでさするとよい
(巻第五)
朝起きたら片ほうの手で足の指をにぎって、もう片ほうの手で足の裏、とくに中央あたりをさする。足の裏が熱くなったら、両手で両足の指を動かすとよい(巻第五)
食べたあとには、お腹を何度かなでおろして食べたものの氣をめぐらすこと。わき腹のあたりを人差し指でななめに何度かなでる。腰もなでたあと、その下のほうも静かにたたくとよい。ただし、つよくやらないように(巻第二)
参考文献
『養生訓』 貝原益軒
『1分間養生訓』帯津良一・鳴海周平 著(ワニ・プラス)