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【vol.80】辻和之先生の健康コーナー|「わかりやすい東洋医学講座」 第30回 東洋医学の基礎理論29 六腑について


 
東洋医学の基礎理論29

 新型コロナウイルス感染症が、オミクロン株に置き換わってから、急激な感染拡大が起きており、当院の発熱外来においてもコロナ陽性者が増えております。新型コロナウイルスに感染した1歳の赤ちゃんに、大青葉と桔梗石膏湯と桂麻各半湯を服用していただきました。翌日には、38℃の高熱から平熱に下がり、元気になりました。
新型コロナウイルス感染症の後遺症の記憶障害で悩まれていた40歳男性に、当院処方の煎じ薬を用いたところ、1週間で完全に治癒されました。このように新型コロナウイルス感染症ばかりではなく、後遺症についても漢方薬の有効性がみられております。

 高熱で咳が辛い方には、桂麻各半湯を麻黄湯に換えております。体を温めて発汗させる方法も有効です。ポカリスエットなどのスポーツドリンクを熱くしてホットの状態にしてドンドン飲んで発汗させます。
 外出時には、免疫を増強する「大青葉」を服用して、感染予防することや治療に用いる日がしばらく続きそうです。

 さて今まで五臓の生理と病態について説明させていただきましたが、次には、六腑についてお話しします。その次には、五臓の相互関係(心と肺、心と
脾、心と肝、心と腎、肺と脾、肺と肝、肺と腎、肝と脾、肝と腎、脾と腎)などです。
 先ずは六腑について見てみましょう。
 よく「五臓六腑」にしみわたるといいますが、五臓は、腎、脾、肝、肺、腎のことであります。一方六腑とは、胃、胆、小腸、大腸、膀胱、三焦のことをいいます。五臓は、気・血・津液など生体に必要なものを作り出す器官であり、六腑は、飲食物の消化吸収や不要なものを排出する働きをし、気・血・
津液などを作る材料やその生成物を通過させる空洞の器官であります。五臓と六腑は、表裏の関係にあり、脾/胃、肝/胆、心/小腸、肺/大腸、腎/膀胱のように対応しています。【図1】

六腑の働き【図2】について

【胆】胆汁の貯蔵と排泄作用を行ないます。精神意識が正常に営まれるように決断を下します。胆の機能不全では、決断力の低下を招きます。

【胃】脾のコントロールのもとで胃は、飲食物を受け入れ(受納)、初歩的な消化食べ物が胃で消化(腐熟)され、小腸に送り出します。脾と関係が深く、相互に依存しながら共同でそれぞれの機能を完成させます。それゆえどちらかに支障が生じると、必ず影響を受け合います。

【小腸】胃によって初歩的な消化を受けた飲食物を消化して「清」である水穀の精微と「濁」である糟粕に分離します。これを小腸は清濁の分別を主るといいます。栄養分を脾に送り、水分を膀胱に、固形分を大腸に送ります。心と関係が深く、心に熱があれば影響を受け、腹部や膀胱障害が現れます。

【大腸】小腸から送られてきた糟粕の水分をさらに吸収し、糞便として肛門から排出します。肺と関係が深く、肺の異常で便通障害が生じることがあります。

【膀胱】腎の「水液を主る作用」の元に、尿を貯留して、排泄する働きがあります。腎と関係が深く、腎気の力で尿として排泄するため、腎が虚すれば、
頻尿や尿閉が生じます。

【三焦】五臓にまたがって気や津液を巡らせる役割を持つ形の無い腑です。身体の水分や気血を体のすみずみまで送り、不要な物質を尿や便として排出させるという総合的な水路のような働きをする腑として考えられています。体を上から三つに分け、舌から横隔膜までが上焦、そこから臍部くらいまでが中焦、そして陰部までを下焦とし、総じて三焦といいます。

 
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プロフィール

医療法人和漢全人会花月クリニック
日本東洋医学会専門医
医学博士 辻 和之

昭和26年 北海道江差町に生まれる
昭和50年 千葉大学薬学部卒業
昭和57年 旭川医科大学卒業
平成 4年 医学博士取得
平成10年 新十津川で医療法人和漢全人会花月クリニック開設

日本東洋医学会 専門医
日本糖尿病学会 専門医
日本内科学会  認定医
日本内視鏡学会 認定医

 

 

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