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【vol.77】おすぎの名画のすゝめ  Scene.32



 
 こんにちは。おすぎです。
 福岡に住んで、はや数年。大濠公園の紅葉を眺めながら、この原稿を書いています。
 2021年もいろいろなことがありましたが、名作で1年を締めくくり、1年の初めを名作で迎えましょう。
 素敵な映画を観て、どうぞ良い年末年始をお過ごしください!
  

「ネバーセイ・ネバーアゲイン」

1983年公開 アメリカ・イギリス映画 監督 アーヴィン・カーシュナー
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 時代は冷戦まっただ中。マティーニと飽食で怠惰になった身体を、007復帰へ向けて鍛えなおしていたMI6(英国秘密情報部)の諜報部員ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)は、本部斡旋の施設で犯罪組織スペクターの女殺し屋ファティマとアメリカ空軍所属の飛行士ジャックの秘密訓練を目撃します。ジャックはその数日後に核弾頭が搭載された巡航ミサイルをアメリカ空軍から盗み出し、ボンドはこの事件を追って地中海へと向かうのであります。
 ショーン・コネリーが12年ぶり、7回目にして最後のボンド役を演じたことでも話題になりました。
「ネバーセイ・ネバーアゲイン」は、コネリーの妻が「もうボンドを演じないなんて言わないで」と言ったことからつけられた題名なんだけど、ボンド役はこれっきりと決めていたコネリーはラストシーンで「再び任務についてほしい」という依頼に「2度とごめんだ(ネバーセイ・ネバーアゲイン)」とウィンクをしながら答えています。
 この作品は商業的にも成功を収め、同年に公開された『オクトパシー』とともに、007シリーズがこの年の世界興行成績の上位を占めました。
 シリーズの中で、私がもっとも好きな作品です。
 

「クリフハンガー」

1993年公開 アメリカ・フランス・日本合作映画 監督 レニー・ハーリン
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 題名の「クリフハンガー」は、もともと連続活劇を意味する言葉で、その多くが主人公の「崖からぶら下がった絶体絶命のシーン」で終わっていたことから「崖にぶら下がるもの」という意味でも用いられるようになったらしく、この作品はまさにそのシーンから始まります。
 山岳救助隊で天才的なクライマーのゲイブ(シルヴェスター・スタローン)が、遭難した親友のハル(マイケル・ルーカー)とその恋人サラ(ミシェル・ジョイナー)の救出に向かうのですが、救出に失敗。ハルの目の前でサラが滑落死してしまいます。自責の念にかられるゲイブはしばらく音信を経ちますが、雪のロッキー山脈に不時着したジェット機からの救援要請をきっかけに約1年ぶりに再会。お互いにわだかまりを持ちながらも、救援に向かったその先に待ち受けていたのは財務省の航空輸送機を乗っ取った国際犯罪組織で、雪山に紛れてしまった還流紙幣を探していたのです…。
 監督・製作は『ダイ・ハード2』のレニー・ハーリン。主演のシルヴェスター・スタローンは『オスカー』『刑事ジョー ママにお手あげ』と続いたコメディから久々にアクションに復帰。アカデミー賞3 部門にノミネートされています。
 

「美女と野獣」

2017年公開 アメリカ映画 監督 ビル・コンドン

 ディズニーの大ヒットアニメを実写化した作品。
 王子(ダン・スティーヴンス)が主催する舞踏会に現れた1人の乞食。「道に迷ったので一晩泊めてほしい」という頼みを嘲笑して断った王子と家来たちは、その正体である魔女に、醜い野獣や家具へと姿を変えられてしまいます。そして、魔女は王子に「薔薇の花びらがすべて落ちるまでに、愛し愛されることを学ばなければ、呪いは永遠に解けない」と告げて姿を消すのです。
 数年後、近くの村に住む元絵描きのオルゴール職人モーリス( ケヴィン・クライン)はオルゴールを売りにパリへ出かけたまま森の中で迷ってしまい、魔法がかけられた城へと辿り着きます。喋るティーカップ(チップ)を見て驚き、一目散で城を飛び出したモーリスでしたが、娘のベル(エマ・ワトソン)に頼まれた土産の薔薇を城の庭で取ってしまったところを城の主である野獣に見つかり、捕らわれの身に…。
 愛馬だけが帰宅したのを見たベルは、父を探しに森の中へと出かけていくのです。
 ベルと野獣(元王子)の間に育まれる「愛」の行方はいかに!
 オリジナル版で使用されたすべての楽曲が使われ、夢のようなダンスシーンもさらに色鮮やかに再現された本作は「真実の美は内面に宿る」というテーマをそのまま表現させることに成功したといえるでしょう。
 幻想的なビジュアルを存分に楽しめる素敵な作品です。
 
 
 

プロフィール・映画評論家 おすぎ


1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。
 
 
 

 

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