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【vol.29】こころとからだの健康タイム|ゲスト 朝加 真由美 さん


 映画「海猿」や、テレビドラマ「Dr・コトー診療所」「牛に願いを」などでも、存在感のある役を演じ、ますます輝きを増し続けている女優の朝加真由美さん。
 ご出身の地に近い函館山山頂で、朝加さんの「若々しさと元気のコツ」をお伺いしました。

鳴海周平(以下 鳴海) 映画やテレビでのご活躍、いつも拝見しております。今日は、朝加さんの「若々しさと元気のコツ」を、ぜひお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

朝加真由美さん(以下 朝加) こちらこそよろしくお願いします。1年に1〜2回こうして帰って来ますが、やっぱり生まれ故郷は落ち着きますね。

鳴海 朝加さんは、函館市のすぐ隣町である北斗市のご出身なんですよね。私も近くの乙部町というところに住んでいますので、この環境の素晴らしさはいつも実感しています。出張などでいろいろと歩いた後は、特に深く、良さを実感しますね。
朝加 実は私も、離れてみて初めて良さがわかったんです。16歳の時に上京してから「私は何て素晴らしいところに住んでいたんだろう」って、改めて思いました。食べ物は美味しいし、景色もきれい。特に実家のすぐ目の前が遠浅の海だったので、学校から帰って来るとすぐ海に入って、足で探りながらホッキ貝を見つけるのが楽しくって。
 今思えば「とれたてのホッキ貝」なんて贅沢な夕食ですよね。(笑)

鳴海 函館近辺は、私の住んでいる乙部町も含め、海の幸が本当に豊富ですよね。他にもたくさんの思い出があると思いますが、教えていただけますか?

朝加 中学から高校にかけて、ずっと一緒だった仲の良い友人が3人いました。いつも4人で、映画を観に行ったり、ハイキングをしたり。よく空港に飛行機を観に行ったりもしましたね。ただ、4人ともお金があまりありませんでしたから、どこに行くにも基本は「歩き」。今思えば、凄い距離を歩いていたと思います。その時一つだけ皆で約束をするんです。「絶対に『疲れた』は言わない」って。(笑)最初は賑やかなんだけど、途中から皆無口になっちゃう。(笑)
 ちなみに「まさこ」「ゆうこ」「みちこ」という、この3人の親友から最初の一文字ずつをもらってつけたのが、私の芸名「まゆみ」です。「女優になろう」と思った時から「芸名は皆の名前を一文字ずつ貰うからね」って、前もって言ってありましたから。(笑)

鳴海 朝加さんが女優になることを決心したのは、学生の頃だったんですね。「芸名を決めて、友達にも了解をとっていた」ということは、かなり具体的に女優業をイメージされていたということですか?

朝加 映画を観たり、音楽を聴いたりするのが大好きだったので、常に外に対する強い憧れがあったんです。高校のあった元町は、観光でも有名な異国情緒の漂う地域で、外国の方もたくさんいました。そういった雰囲気が大好きで、よくこっそり外国人の後をついて行ったものです。(笑)
 「いろいろな所へ行き、いろいろな人と出会ってみたい」という、こうした外への強い憧れが、女優という職業を選んだきっかけでしょうね。

鳴海 その想いが叶って、15歳の時「ミス・セブンティーンコンテスト北海道大会」でスカウトされたことをきっかけに、女優への道を歩んでいくことになるわけですね。当時のことをもう少し詳しく教えていただけますか?

朝加 最初に歌手デビューしたのですが、実は内心とても嫌だったんですよ。音楽は好きなのですが、歌手として出るには、お客様にとても失礼だな、と思っていましたから。(笑)当時は、アイドル路線の走りみたいな時代でしたから、いつも可愛らしく「はい、はい」と言って、イメージどおりに仕事をこなしていたら良かったんです。でも、私には出来なかった。納得のいかない仕事を「はい、はい」と言ってやるなんて、私の性格に合いません。(笑)そういう「演技」が出来ないんですね。

鳴海 でも演じなくてはいけない女優さんになった。(笑)
朝加 だから私の場合、納得して演じられるまで、とても時間がかかりました。函館訛りもあったし。(笑)きっと、もともとあまり器用に立ちまわれない性格なのでしょうね。でも年を重ねていく毎に、人間関係に余裕が出来たからなのか、納得して演じられる幅が自然に広がったように感じます。

鳴海 そう言われてみると、年齢を重ねていく毎に、ますます活躍の場を広げている女優さん、俳優さんは結構いらっしゃいますね。つい最近「牛に願いを」という北海道ロケのテレビ番組で、朝加さんと夫婦役で共演されていた大杉蓮さんにも、そういったイメージがありますね。

朝加 テレビドラマというのは、いくら上手に演じていても、その人の素の部分が出てしまうと思うんです。だからプライベートなところで、どんな生活をしているのか、家族や周りの人たちとどんな付き合いをしているのか、というところまで、何となくわかってしまうように思います。やっぱり「人は見た目」ですよ。(笑)

「経験と感性の幅」が役柄にも出る

朝加 私たちは普通に生活しているだけで、いろいろな経験をします。その経験を通して自分がそのことをどう感じたか、という感性の部分が、そのまま演技の幅になっていくように思うんですね。画面やスクリーンを通して感じる役者さんの雰囲気や資質というのは、その人の「経験と感性の幅」なのかもしれません。

鳴海 気功や呼吸法といった昔から伝わる健康法では、30年以上コツコツと続けてきた人たちが「達人」と呼ばれる域に達すると言われているようです。いくら上手な人が真似ても、どうしても追いつけない差があるとも言われています。ある人はこれを「熟成期間の賜」と言っていますが、人間にもワインのように、ある一定期間熟成させることで醸し出される風格のようなものがあるのかもしれませんね。
 その人が生活の中で経験してきたことを、どんなふうに感じてきたのか、という「経験と感性」が、年を重ねていく毎に醸し出されてくる、ということなのでしょう。
 朝加さんが、ドラマや映画の中で様々な役を演じていながら、常に自然な雰囲気を感じさせてくれるのは、きっと「経験と感性の幅」が広いからなのでしょうね。

朝加 ありがとうございます。そう言って頂くと女優冥利に尽きます。(笑)

鳴海 北海道の函館という異国情緒豊かな街の雰囲気も、朝加さんの「経験と感性の幅」を広げてくれたのかもしれませんね。

朝加 函館は素敵な場所が本当にたくさんあって、学生時代には友人達と一緒にいろいろな所へ出かけました。花火や景色もよく観に行きましたよ。でも、私の関心は何故か花火や景色ではなくて「花火を観ている人」や「景色を観ている人」でした。「この人はこれを観てどんなふうに感じているんだろう」とか「家庭ではどんな人なんだろう」とか、その人の気持ちや背景を、思い浮かべるのが楽しくてしょうがなかったんです。もしかしたら、こうした観察グセが何かの役に立っているのかな。

鳴海 学生時代は、ちょうど感性が豊かになってくる頃ですね。きっとそういった視点で人間を眺めることで、様々な人の人生を「疑似体験」していたのではないでしょうか。
 幅広い役柄を自然体でこなしていける土台作りが、函館で培われていたんですね。

元気のコツは「こだわらないこと」

鳴海 朝加さんは、本当にいつも活き活きとしていらっしゃいますが、日頃何か健康のために心がけていることはありますか?

朝加 そうですね。あえて言えば「あまりこだわらない」ということかな。「食べたい時に食べたいだけ食べて、飲みたい時に飲みたいだけ飲む」みたいな。(笑)ついでに言うと「寝たい時に寝たいだけ寝る」というのもあります。(笑)
 でも、身長と体重は中学校2年生の時からずっと変わっていないんですよ。
 それで体調もいいですから「身体がその時望むものを、望むだけとって満たしてあげる」というスタイルは、きっとこれからも変わらないように思いますね。

鳴海 人間は本来、朝加さんのように「身体がその時望むものを、望むだけとって満たしてあげる」ことで、健康を維持出来るのだと思います。本能的な感性さえ鈍っていなければ、きっと心身の欲求を感じ取ることが出来るはずなんですね。ところが最近は、様々な健康情報が溢れすぎていて、どれを信用していいのかわからないような状況です。心身の感性を磨く機会も少ないし、そのうえ情報ばかりが氾濫していたのでは、なかなか「身体の声に耳を傾ける」ことが難しい時代なのかもしれません。

朝加 確かに、近くに行くにも車を使い、料理は簡単に温めるだけ、というのでは、感性が乏しくなってしまうように思います。
 私はどこに行くにも、基本は「歩き」です。学生時代からずっと「歩く」ことが大好きなんですね。景色を楽しむことが出来るし、ついでに運動にもなる。ふだん車ばっかり乗っていて、週末だけジムで運動するなんて、何だかおかしいですよね。お金もかかるし。(笑)
 お料理も大好きですよ。作るのも、食べるのも。(笑)お米が大好きなので、「三食ともご飯」ということが多いですね。おかずには、キムチやニシン漬けのような発酵食品をよく食べます。発酵食品はお肌にもいいそうですよ。(笑)
 お酒は毎晩いただきます。休肝日は基本的にありません。身体が望んでいることは、必要なことだと思っていますから。(笑)

鳴海 朝加さんは本当にこだわりが少ないんですね。きっと感性の土台がしっかりしていらっしゃるから、身体が必要なものを必要な時欲求していることに、きちんと気付くことが出来るのでしょう。
 芸能界には70代、80代で活躍されている先輩がたくさんいらっしゃると思いますが、皆さんに共通している「元気のコツ」のようなものはありますか?

朝加 親しくお付き合いをさせて頂いている70代、80代の女優さんたちも、あまりこだわっていない方が多いように思います。ただ、自分の意思は周りにはっきりと伝えていますね。出来ないことは出来ない、とはっきり仰います。いつも前向きで常に勉強をしていること、億劫がらずに何にでも挑戦してみる、という行動的なことも共通点かな。
鳴海 いつまでも向学心をお持ちの方は、確かにお若いしお元気ですよね。

朝加 基本的に人間には「歳だから出来ない」ということはないと思います。経験だって、知識だって歳を重ねるごとに増えていくわけですから、人生を楽しむコツもわかってくるはずなんですね。
 でも、もしかしたらずっと自分を抑えてきた年代の方にとって「やりたいことを、こだわりなく自由にやる」というのは、けっこう難しいことなのかもしれません。そういう方には、先ず外に出ること、ウォーキングなどで外の風に触れることをお薦めしたいですね。景色はもちろん、空気の流れや地面の感覚、動植物たちの息吹などが感じられて、本来の感性がきっとよみがえってきます。感性がよみがえったら、何事にもあまりこだわりがなくなってくるのではないでしょうか。

鳴海 ウォーキングをすると心身がリフレッシュしますよね。自然界からの刺激で感性がよみがえる、という感覚もよくわかります。
 今日の朝加さんのお話から「こだわらないことの大切さ」「感性の大切さ」を学ばせていただきました。これからもますますのご活躍を楽しみにしています。
朝加 はい。これからも美味しいものを食べて飲んで、楽しみながら感性の幅を広げていきたいと思います。(笑)

鳴海 今日は本当に素敵な時間をいただき、どうもありがとうございました。

朝加 真由美・プロフィール

北海道北斗市生まれ。
1971年にミス・セブンティーンコンテスト北海道大会でスカウトされ上京。73年にドラマデビュー。以来、多数の映画、ドラマなどに出演。存在感のある演技で多くの人を魅了している。
近年の代表作に映画「海猿」や、ドラマ「優しい時間」「Dr・コトー診療所」などがある。

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