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【vol.41】こころとからだの健康タイム|ゲスト 五日市 剛 さん・原 大樹 さん


 口コミだけで120万部を超えるベストセラーとなった「ツキを呼ぶ魔法の言葉」の著者であり工学博士の五日市剛さんと、2009年にラスベガスで開催された世界ジュニアマジック大会で日本人初となるグランプリを受賞した若き天才マジシャン・原大樹さん。最近はコラボでの公演も多いというお二人に、心身ともに楽しく生きるコツなどを伺いました。

鳴海 周平(以下 鳴海)
 五日市さんには6年前にもこのコーナーにご出演いただきまして、読者の皆さんから「ありがとう」と「感謝します」という2つの言葉が持つ力のお話に、たいへん大きな反響をいただきました。

五日市 剛さん(以下 五日市)
 ありがとうございます。僕自身、この「魔法の言葉」が持つ力の大きさに、今もたくさんの気づきをいただいています。

ツキを呼ぶ魔法の言葉

五日市 そもそもこの言葉との出会いは、26歳のころにイスラエルへ一人旅をした時のことでした。数十年に1度という大寒波の中、夏の服装で凍えそうになっていた僕を自宅に招き入れてくれたおばあさんは、いろいろな話をしてくれました。中でも「ツキを呼び込むのは簡単なこと。『ありがとう』と『感謝します』という2つの言葉を唱えているだけでいいのよ。」という話はとてもインパクトがありました。
 当時の僕はとても短気で、誰かと話す時もケンカ腰になってしまうことが多く、人間関係でかなり悩んでいたんです。ところがこの言葉を使うようになってから状況が本当に一変してしまいました。
 人間関係がとても円滑になっただけでなく、仕事上の研究成果が評価されて栄誉ある賞もいただくことができました。たった2つの言葉を習慣にしただけで環境がこんなに変わってしまうことに、僕自身とても驚きましたね。
 10年ほど前に、こうした一連のことを十数人の前で話した内容がテープに録音され、それがいつの間にか講演録になり、気がつけば口コミで120万部を突破していたんです。

鳴海 複数の会社顧問をしながら独立を果たされ、週末には全国各地から講演の依頼が殺到している五日市さんの状況は、まさに「魔法の言葉」の力を体現していらっしゃいますよね。
「若き天才マジシャン」としてご活躍の原さんも「魔法の言葉」の実践者だと伺いました。出会いのきっかけを教えていただけますか?

原 大樹さん(以下 原) 初めて「ツキを呼ぶ魔法の言葉」を読んだのは中学生の時です。「こんなにいいことがあるなら、やってみよう!!」とすぐに「ありがとう」「感謝します」を使い始めました。思いついたらすぐ言葉に出せるように、目に付くところには「ありがとう」と書いたシールも貼ってみました。目にするたびに気持ちがよくて、それだけでもすごくハッピーな気持ちになりましたね。

五日市 良いと思ったことはすぐにやってみる、という素直な行動がさらにツキを呼ぶのでしょうね。原さんのこうした素直で謙虚な性格は、きっと生まれ育った環境も大きな影響を与えているのだと思います。僕がこう言うのもなんですが、かなりの秘境ですからねぇ(笑)。

大自然の中で育まれた感性

五日市 ご自宅の写真を見せてもらった時は驚きました。森に囲まれた谷あいの傾斜地に1軒だけ家が建っているんです。少し上には雲まで浮いている(笑)。

原 僕は15歳まで、奥熊野で育ちました。両親はずっと自給自足の生活をしていたので、兄2人と妹も一緒に田植えや農作業をしながら学校に通いました。田植えと稲刈りの日は「今日、学校休みますので・・・」と母が連絡をしてくれます(笑)。他にも風呂の薪割りや道の草刈り、肥やしまきなど、子供ながらいろいろな仕事をさせてもらいました。

鳴海 家族みんなで育てた米や野菜は、格別に美味しいでしょうね。

原 お茶も栽培していましたし、夏場に飲むジュースも庭で採れた梅ジュースです。おやつも畑で採れた南瓜や人参を混ぜたケーキやドーナッツを母が作ってくれました。最寄りのコンビニエンスストアまで車で1時間かかりますから、何でも自家製になってしまったのかもしれませんが(笑)。

五日市 最寄りのコンビニまで1時間っていうのは凄いですよね。ちっとも「コンビニエント(便利)」じゃない(笑)。でも、そこにマジシャン・原大樹の原点があると思うんです。
大自然という先生が、原さんにたくさんのことを教えてくれたのではないでしょうか。
原 奥熊野は「陸の孤島」とも言われるほどの山中にあって、手つかずの自然がそのまま残されています。家のすぐ前では木々が枝先でアーチを作っていつも迎えてくれ、きれいな滝が流れる川もあります。
 夜は本当に星がきれいで、僕はよく寝袋にくるまって流れていく星を見ながら寝ていました。
 不便なこともたくさんありましたが、自然と一体になって家族みんなが力を合わせて生活をしてきたことは、何よりの宝物だと思っています。

鳴海 原さんがマジシャンとして大活躍していらっしゃる背景には、生まれ育った環境と、ご両親の情が育んだ豊かな感性があったんですね。マジックに興味を持ち始めたのは、いつ頃だったのでしょうか?

原 4歳か5歳の頃だったと思います。母に連れられて、兄と一緒に東京の井の頭公園に行った時に、ピエロのお兄さんが手品をしていました。たくさんの人たちが観ている前で、そのお兄さんが吹いたシャボン玉が、掴んだ瞬間にガラス玉に変わってしまったんです!子供の僕にとって、それは本当に衝撃的でした。そして今でもはっきり覚えているのは、その時観ていた人たちがとても喜んでいた雰囲気です。「マジックで誰かに喜んでもらいたい」という想いの原点はこの時にあるのかもしれませんね。
若き天才マジシャン誕生

原 マジックを本格的に始めたのは10歳頃からでしたが、いちばん近くの都会でも車で4時間かかる名古屋でしたから、誰かに習うわけにもいきません。録画したテレビのマジック番組を、何度もコマ送りや逆再生をして技を覚えました。
 マジック道具は、取り寄せたカタログで構造を研究して手作り。大きな道具は父が作ってくれました。欲しいものがすぐ手に入らない環境だったから、自分で創意工夫するしかありません。当時は、マジック教室に通ってどんどん新しい技を覚えていく仲間たちが本当に羨ましかったですね。

五日市 自分で創意工夫をしなくてはならない環境が、「魔法の言葉」をすぐに活用できた感性にもつながっているのではないかと思います。本を読んで「いいな」と思っても、そこから実行に移せる人はそんなに多くはないですからね。

原 最初は本当に小さなことで「魔法の言葉」を使ってみたんです。未来のことは、理想とする状況が既に叶っていることを思い浮かべて「感謝します」と言えばいい、と書いてあったので、その時無性に食べたかった某メーカーの抹茶アイスクリームを思い浮かべて「美味しくいただきました。感謝します。」と唱えてみました(笑)。そしたら、母が本当にそのメーカーの抹茶アイスをぶら下げて「はい、お土産」って帰ってきたんです!!

五日市 1時間もかかるコンビニから(笑)。

鳴海 (笑)そういった体験が積み重なって、だんだん確信になっていくんですよね。そうすると、ますます大きなことが現実となってくる。

原 「魔法の言葉ノート」を作って、理想の状況と感謝の言葉をどんどん書き込んでいくということも実行してみました。例えば「テストで○○点とれました。感謝します。」とか(笑)。すると、急にイメージした理想の状態までのレールが敷かれている感じがして、目の前にあることを100%やっていくことで次の道がどんどん開けていくように思えたんです。

鳴海 そうした積み重ねが、2009年にアメリカ・ラスベガスで開催された「世界ジュニアマジック大会」で日本人初となるグランプリ受賞につながったわけですね。

原 皆さんから「緊張しなかったか?」って聞かれるんですが「魔法の言葉ノート」で何度もイメージトレーニングをしていたので、気分は既にグランプリだったんです。「昨年グランプリをいただいたので、今年はゲストとして来ているんですよ」みたいな(笑)。だからとても程よい緊張感の中でベストなパフォーマンスをすることができました。

五日市 一流アスリートの方々がおっしゃるには、緊張し過ぎると筋肉が硬くなってしまうらしいですね。かといってリラックスし過ぎても良い成績にはならない。まさに「程よい緊張感」が最も良いようです。
 これは「欲」という言葉に置き換えることができるかもしれません。生きていくために、ある程度の「欲」は必要ですが、欲張りすぎるとろくなことがない。
鳴海 確かに、欲が過ぎて執着に変わってしまうと、何事もスムーズに進まなくなりますね。これは緊張が筋肉を硬くしてしまうのと同じように、欲が心身や環境を硬直させてしまう、ということなのでしょう。「ありがとう」「感謝します」という言葉には、緊張や欲を程よい加減にしてくれる力もあるように思います。

五日市 そうですね。そして、そうした言葉の力をさらにアップさせているのは、原さんの目的が常に「観ている人たちに、いかに喜んでもらえるか」という一点にあることです。他のマジシャンは皆マジックに惚れ込んでいて、いかに完成度の高いマジックをするかにこだわっていたのではないでしょうか。
 原さんのマジックは、まるで役者さんがお芝居をしているようで、観ている側はどんどん引き込まれてしまいます。
 これは原さんのお母さんに聞いた話ですが、生まれて間もない頃、写真を撮る時には既にカメラ目線だったらしいですから(笑)、きっと根っからのエンターテイナーなのでしょうね。

原 誰かに喜んでもらえることが一番嬉しいし、僕自身とても楽しいんです。

鳴海 今の原さんの言葉は、古(いにしえ)の聖者たちが理想としてきた「誰かの喜びが、自分の喜びである」という「自他一体の境地」ですよね。

五日市 自分自身への見返りを期待しない行動が、結局は幸せを実感するいちばんの近道なのかもしれません。
 ある方から「死んだ後、あの世に持っていけるものが、実は2つだけあります。」という話を聞きました。自分が感動したことや喜んだこと、悲しみ、苦しみはいっさい持って行けず、人に与えた喜びや悲しみだけが持って行ける、と言うんですね。
 あの世に持って行くものを喜びでいっぱいにするためにも、身近な人に日頃どんな想いを与えているのかが、特に大切なのではないでしょうか。

幸せへの気づき

五日市 原さんのお話には、いつもご両親への感謝の言葉が出てきます。
 人間を地上に咲いている花だとすると、地下には必ず根っこがあります。
「根」は英語で「root(ルート)」。複数形は「roots(ルーツ)」で、これは先祖という意味もあるんです。家系図を逆さにしてみると、まるで根が張っているように見えますよね。
 僕たちは皆、先祖という根からたくさんの恵みをいただいて、この世に花を咲かせている存在ですから、いつもきれいな花を咲かせ続けるためには、根を大切にする必要があるわけです。つまり、いちばん身近な根である「親」を喜ばせてあげることが、じつは自分自身の喜びにもなるということなんですね。
 原さんの「ご両親に対する感謝の想い」が、先祖からの恩恵をさらに大きくしているように思います。

鳴海 植物にとって根が命の源であるように、私たちも先祖からたくさんの恵みを受け継いで生きているんですね。
 一番身近な根である親への想いが、いかにその人の人生に大きな影響を与えているか、とてもよくわかるお話です。

原 小さい頃から感性のまま自由に行動する僕を、いつも大きな愛情で見守ってくれていた両親には、本当に感謝の気持ちでいっぱいなんです。
 僕は、カナダのサラ・マクラクランという歌手が歌っている「オーディナリー・ミラクル(ありふれた奇跡)」という曲が大好きで、毎朝聴いています。
 「あたり前と思っている日常も、じつは奇跡の連続なんだ。そのままの自分、今の生活そのものが奇跡なんだ」という歌詞が、とても心に響くんですね。
 五日市先生から教えていただいた「感謝する気持ち」を、この歌のように日常のあらゆる出来事に対して持てるようになったらいいな、と思います。

鳴海 「ありがとう」「感謝します」という言葉は、本当に魔法のように幸せの輪を広げていますね。
 今日は素晴らしいお話を伺うことができました。どうもありがとうございました。

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