Vol.210 10月 こころとからだはつながっている
こころとからだはつながっている
「心身一如」という言葉があるように、昔から「こころとからだはつながっている」と考えられていたのです。
ストレスには、ハナウタ?
イラストレーターの下條ユリさんが、ブータンを訪れた時の想い出を「ブータンのはなうた」と題して、次のように述べていました。
峠の宿でシャワーを浴びようと蛇口をひねったら、パイプの途中から水が漏れ出してしまった。慌てて人を呼ぶと娘さんがやって来て、事態を確認するなり鼻歌を歌いながら栓を回し始めた。
こんな時に鼻歌とは余裕だなぁと思った矢先、栓が外れて水が噴水のように溢れ出してしまった。すると水量と共に娘さんの歌声まで倍増し、なんと助っ人に来た旦那さんまで鼻歌に参加!
え、こんな時にデュエット!?しかもずっと笑顔!
みんなでズブ濡れになり水は止まったが、謎の鼻歌の衝撃は消えなかった。
(中略)
最近わたしはストレスに直面した時、自分も鼻歌を歌っていることに気がついた。
鼻歌は深呼吸と似ている。焦る気持ちが落ち着くのか、かえって集中できる。希望の花を咲かせることができる気までする。
ブータンから学んだ鼻歌の技は、いつの間にかわたしの生きる知恵になっていた。
さすが、幸せの国!!
「こころとからだはつながっているから、どちらかが快くなると、もう一方も同調する」
ということが、生活文化の中で習慣化されているんですね。
自らの心と書いて「息」
日本では、このことが「漢字」として伝わっています。
例えば、「自ら」の「心」を反映すると書いて「息」。氣持ちが急いでいる時は、呼吸も浅くて早いし、リラックスしている時には、呼吸は深くてゆっくりになります。
だから、不安な時や、落ち着かない時は、呼吸を「深く、ゆっくり」すると、こころもリラックスしてくるんですね。
「行動」と「こころ」のこうした関係は、さまざまな場面で応用が可能です。
友人が、「書類とか、クレジットカードのサインとかを、ゆっくり、きれいに書くようにしてから、なんだか運がよくなった氣がするんだよね」と言っていましたが、呼吸と同じく「文字をゆっくり、きれいに書くという行動に、こころが同調した結果」と考えれば、とても自然なことだと思います。
「つらいときや、困ったときほど、はなうたを歌って、自分のこころの中に『幸せの国』を創る」
ブータンの人たちの「幸福度の高さ」は、こうした生活文化が創っているのかもしれないなぁ、と思う今日この頃なのであります。