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【vol.65】辻和之先生の健康コーナー|「わかりやすい東洋医学講座」 第16回 東洋医学の基礎理論15 腎の不調・後編


 
東洋医学の基礎理論⑮

腎の不調

  
 腎の不調は、生殖機能の異常や排泄異常、骨や目・耳に症状が現れやすいのが特徴です。生命力のもととされる腎に異常が現れると、成長や生殖機能に影響が及び、発育不全や生殖機能異常などが起こります。また腎の異常は、体全体の陰陽のバランスに影響することが多いため、全身に症状が現れやすいという特徴もあります。
 腎の不調は、①腎精不足、②腎気不固、③腎陰虚、④腎陽虚に分けられます。前号で①と②についてお話しましたので、今号は③と④についてお話します。

3 腎陰虚

 腎陰が不足する病態で、全身にも作用が及び、全身の津液不足を招きます。
 症状は、体の痩せ、めまい、耳鳴り、腰の怠さ、両下肢の怠さ、乾燥、熱感、足の火照り、寝汗などがあり、腎陰虚が肝に及ぶと、頭痛や目のかすみ、肺に及ぶと、乾いた咳や口の渇き、心に及ぶと、動悸や不眠を来します。腎陰虚の原因の多くが慢性疾患による陰の損傷でありますが、津液の消耗、過度の性生活、五志化火(長期にわたって精神刺激を受け続けることにより、臓腑に熱を生じます。例えば、ストレス過多が長期に及ぶと肝気の巡りが悪くなり、肝鬱気滞から肝気が心まで上昇して肝火上炎を来して、怒りっぽくなったりする)などによっても生じます。

4 腎陽虚

 腎陽が不足して、熱不足による全身症状を来す病態です。症状としては、腎陰虚と同様にめまい、腰の怠さ、耳鳴りに加え、顔色が白い、元気がない、寒がる、四肢が冷たい、多尿、頻尿、陽萎(インポテンツ)、精冷不育(精子の異常による不妊症)を来します。腎陽が不足して脾陽も衰弱すると、脾の機能(運化作用:消化吸収と全身に栄養を供給する作用)が低下して、食欲低下や下痢、未消化便を来します。腎陽の原因には、腎陰虚と同様に過度の性生活や慢性疾患、心陽(心の陽気、機能)の衰え、脾陽(脾の陽気、機能)の衰えなどがあります。

 

プロフィール

医療法人和漢全人会花月クリニック
日本東洋医学会専門医
医学博士 辻 和之

昭和26年 北海道江差町に生まれる
昭和50年 千葉大学薬学部卒業
昭和57年 旭川医科大学卒業
平成 4年 医学博士取得
平成10年 新十津川で医療法人和漢全人会花月クリニック開設

日本東洋医学会 専門医
日本糖尿病学会 専門医
日本内科学会  認定医
日本内視鏡学会 認定医

 

 

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