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【vol.65】こころとからだの健幸タイム|ゲスト 高島 亮 さん・後編


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 「ものの観方、考え方、生き方」の思想を、後世のために遺してくれた小林正観さん。その教えを受け継ぎ、正観塾師範代として、著作や講演などでも活躍を続ける「ぷれし〜ど」代表の高島亮さんに、小林正観さんとのエピソードや、宇宙観などについてお話を伺いました。
 

脳波と心の関係

鳴海周平(以下、鳴海)
 亮さんが求めていた「精神世界と現実世界のバランスがとれた生き方」を体現していたのが小林正観さんで、超能力と呼ばれる現象の中にも、ある共通した法則性を見出していたそうですね。

高島亮さん(以下、高島)
 初めて会った時にいただいた名刺の肩書きが「心学研究家」でした。25年に及ぶ人間の心の研究、潜在意識の研究を通じて、人間にはどうやらとてつもない可能性があるようだ、という考えをお持ちだったようです。
 例えば、スプーン曲げと言うと、限られた超能力者にしかできないことだと思われるかもしれませんが、正観さんはいつも「誰にでもできますよ」と言っていました。但し、曲げやすい「脳波」になっていることが大切なのだそうです。

鳴海 瞑想や座禅の時に現れるアルファ波やシータ波といった脳波ですか?

高島 はい、そうです。そうした脳波の時、心は静まり、とてもリラックスした状態になる。俗に言う「無我の境地」ですね。昔、打撃の神様と言われた川上哲治さんが「ボールが止まって見える」と言っていたり、王貞治さんが「好調な時は、ボールの縫い目までくっきり見える」と言っていた時の脳波が、まさにそうだったのではないでしょうか。
「ゾーン(に入る)」とか「フロー(に乗る)」といわれる状態です。
 さらに正観さんは、この脳波と心の状態にも深い関係があると言いました。イライラしたり、腹を立てたり、不平不満や愚痴、泣き言、悪口、文句を言っている時よりも、嬉しい、楽しい、幸せと思っている時の方が、スプーンも曲がりやすくなる。つまり、心の状態の深まりがそのまま脳波にも現れ、現実世界にも投影されるということになります。
 正観さんは「スプーン曲げ自体にはあまり意味はないけれど、いつもスプーンを曲げられる心の状態でいることが大切なんです」と言っていました。
 「超能力者」になるには、能力よりも、心(人格)を高めることがいちばん確実な方法なのかもしれませんね。

正観流3つの宇宙観

高島 正観さんはたくさんの宇宙法則を教えてくれましたが、中でも核となるものが3つありました。

①神仏は存在する

 旅先などで様々な人の相談に乗りながら思ったのは「皆、自分の意思とは関係なく、大きな宇宙の法則の中で生かされている」ということだったそうです。だから、正観さんが言う「神仏」とは、人格神的なものではなく、宇宙を動かす働きや法則的なもの、ととらえた方がいいのかもしれません。
 ただ一方で、「神様は喜ばれると嬉しい」とか「神様は謙虚な人が好き」という言い方もしています。これは、人間のような神様像として表現することで、人間の進む方向性をわかりやすく示そうとしたのではないかと思います。

②魂や生まれ変わりは存在する

 さまざまな生まれ変わりの事例に遭遇し、さらにご自身の過去生を思い出したことで、このことを確信したと言います。
 生まれ変わりには「順序」があって、すべての魂は「神の領域」へと向かって進んでいくという大きな方向性がある、とも言っていました。ということは、人生にもそうした方向性があるということになります。

③未来は確定的に存在する

 このことは、正観さんが特に受け入れたくなかった法則だったそうですが、友人や知人の未来が見えてしまうことで、受け入れざるを得なくなったと言います。
 ただ、運命を決めているのは「自分(の魂)」で、生まれ変わってくる前に、自分の成長にとってベストなシナリオを自ら決めてくる。すべての存在は生まれ変わりを繰り返しながら、神の領域へと向かっていく魂の長い旅路の中で、今回の人生がベストなものとなるように、ちゃんとシナリオを描いてきているのだそうです。

 このように、すべてのシナリオは決まっていて、それを決めたのは自分自身。しかも、それが神仏の力(宇宙の法則)によって動いているとなれば、起きる出来ごとに対して、いちいち文句を言ったり、あれこれ注文をつけるよりも、大きな流れにお任せしてしまった方が氣持ちも楽になります。

鳴海 宇宙の法則の中で生かされているのであれば、大きな川の流れが「シナリオ」で、無理をして頑張ったり、悩んだりしているのは、そこに浮かんでいる船を一生懸命、手で漕いでいるような感じなのかもしれませんね。

高島 川の流れが、自分自身で決めてきた「魂の成長にとってベストなシナリオ」と信じて身を委ねてしまえるかどうか。そう思い定められる「お任せの境地」が理想ですね。 

正観さんの教えをどう活かすかが大事

高島 こうした正観さんの教えに対して、よくある質問が「運命は本当に決まっているのでしょうか?」というものです。僕は次のようにお答えしています。
「どうでしょうねぇ。僕も本当のところはわかりません。決まっているかもしれないとも思えるし、決まっていないかもしれないとも思えます。でも、実はどちらでもいいのかもしれません。大事なのは、運命やシナリオが決まっているかどうかよりも、それをどう受け取るかではないでしょうか」
 否定的に受け取ってしまうと「すべてが決まっているのなら、何をしてもムダだ」となりますが、肯定的に受け取ると「すべてが決まっているのなら、何も心配する必要はない。目の前のことを大事にしながら、日々楽しくやっていこう」となるでしょう。
「生まれ変わりは本当にあるのか?」「ありがとうをたくさん言うと、いいことがあるというのは本当か?」「トイレ掃除をすると必ず臨時収入があるのか?」といった質問も同じです。大切なのは、正しいかどうかの白黒をつけることよりも、その情報を日常の中で活かすことではないかと思うんです。

鳴海 「どちらでもいいんじゃないでしょうか」という亮さんのスタンス、大好きです(笑)たしかに、たいせつなのは「心地よくいられること」ですよね。

高島 正観さんも、ああしなければならない、こうしなければならないという「ねばならない」は、ほとんど言いませんでした。「正しいかどうか」よりも「楽しいかどうか」を、大事な判断基準にしていたように思います。

鳴海 正観さんの講演会は半分がダジャレでしたものね。(笑)

高島 いえ、3 分の2 です( 笑)僕が主催した講演会では、最後のごあいさつでこんなやりとりがありました。

(高島) 今日は7階の会場でしたが、明日は6階の会場ですので、間違えないでくださいね。
(正観さん) 誤解(5階)のないように。
(高島) 司会(4階)は私です。
(正観さん) これにて散会(3階)

 僕の正観塾師範代という肩書きは、そうした部分だけを受け継いでいるんです。(笑)

人は喜ばれる存在になるために生まれてくる

高島 年間300回以上の講演を全国各地で行ないながら、本も年間数冊出版するという超ハードな生活を何年も続けた正観さんは、「私は頼まれごとを受け続けて、講演をし続けて、過労で死ぬのです。だから車は、カローラ(過労ら)」と言っていました。(笑)
 お亡くなりになる数年前から、身体は本当に辛そうでしたが、「人間は寿命で死ぬわけですから、私は死を受け入れています。だから、その時が来るまで、淡々と頼まれごとをやり続ければいいんです」と言って、講演も出版もペースを落とさず、請われるままに続けていました。
 2011年10月に上高地で行われた「正観さんとの上高地・帝国ホテルツアー」でも、正観さんは参加者の皆さんと楽しそうに過ごしていました。二日目の散策を終えて、現地解散。正観さんは、みんなに「ありがとう」と声をかけてから車に乗り込み、上高地をあとにしました。その翌朝、正観さん急逝の報が入ったんです。信じられませんでした。昨日はあんなに元氣だったのに… 。ご家族の話だと、その日の夕食で、上高地のツアーが本当によかったと、とても楽しそうに話していたそうです。そして、就寝中、眠るようにサッと旅立ったとのことでした。

我が形見 高き青空 掃いた雲 星の夜空に 日に月に
(高い青空、掃いた雲、きれいな星の夜空と、太陽と月が出ていたら、私の形見です)

 正観さんと最後に過ごした上高地の空は、正観さんが数年前に詠んだこの辞世のとおりでした。

鳴海 正観さんらしい、美事な旅立ちでしたね。

高島 亡くなる数ヶ月前に、正観さんから師範代を仰せつかっていましたが、僕としては、何一つ恩返しができないままのお別れになってしまったように思っていたんです。でも、上高地の夜の茶話会で、「親孝行をできなかったことを後悔している」と話した人のことを思い出しました。それに対して、正観さんはこんな話をしてくれたんです。

「親が生きている間に、親に何かしてあげることを親孝行というのではありません。本当の親孝行は、親が亡くなったときから始まります。親があちらの世界に行ってこちらを見たときに、『ほら、見てください。あれが私の娘です。いつも笑顔で、おだやかに楽しく生きているでしょう』とか、『あれが息子です。いつも誠実で、まわりの人に喜ばれているのが私の息子ですよ』と、自慢できるような生き方を、自分がすること。それが、最大の親孝行です」

 親孝行とは、親に何かをしてあげることではなく、親が自慢できるような生き方をすること。だから、親孝行に手遅れはない、正観さん孝行もこれからできる、そう思えたんです。

鳴海 正観さんは、よく「人は喜ばれる存在になるために生まれてきた。喜ばれると嬉しいのは本能である」と言っていましたね。講演会などで、たくさんの人に喜ばれている亮さんの生き方を見て、正観さんはあちらでたくさん自慢していると思いますよ。

高島 このルパンのような格好も見られているんでしょうか。(笑)

鳴海 そのコーディネートも、たくさんの人が喜んでいます。(笑)
 今日はたくさんの貴重なお話をどうもありがとうございました。

 

高島 亮さん プロフィール

新潟県生まれ。東京大学文学部卒。
大手化学メーカーを経て、精神世界専門の出版社へ転職。
精神世界と現実生活のバランスがとれた生き方を模索する中で、
小林正観氏と出会い2000年に株式会社ぷれし〜どを設立。
セミナーや講演会、著作活動などを通じて、「ものの観方、
考え方、生き方」の思想を伝え続けている。
小林正観氏の教えを伝える「正観塾」師範代。
著書に『ぼくが正観さんに教わったこと』(風雲舎)
『「おまかせ」で今を生きる』(廣済堂出版)などがある。
 

 

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