【vol.48】おすぎの名画のすゝめ Scene.06
こんにちは。おすぎです。
『笑っていいとも!』が3月いっぱいで終了しました。
タモリさんとは年齢も一緒で、デビューしたのも同じ時期。(昭和20年8月22日生まれのタモリさんは、1月18日生まれの私のことを「戦中派」と呼び、自らを「戦後派」と言っていますが・・・)
初めて『笑っていいとも!』に出演したのは、番組が始まって2年目の1983年。
テレフォンショッキングのコーナーに、淡谷のり子さんが呼んでくれました。
あれからもう31年が経つのねぇ・・・。
2004年から2011年まではレギュラーとして出演させてもらいました。
若い頃、大阪のホテルで真っ裸になって廊下を走り、突き当たりの壁にタッチして戻ってくる、というクダラナイ遊びを一緒にしたタモリさん(笑)。
楽しい想い出を、本当にありがとうございました。
・・・って、お別れの挨拶じゃないんだから(笑)。
時間にも少し余裕ができたでしょうから、また一緒に遊びましょう!!
さて、今回紹介する映画のテーマは「イタリア」。
この3本を観ると、あなたも立派なイタリア通!とまではいきませんが(笑)、イタリアの雰囲気を十分に味わうことができる名作です。
「恋愛専科」
1962年公開 アメリカ映画 監督:デルマー・デイヴィス
禁書「恋愛専科」を生徒に勧めたことを厳しく咎められた名門女子大学勤務のプルーデンス・ベルは、首脳陣に辞表を叩き付けてイタリアへと旅に
出ます。
船旅の途中で仲良くなった2人の男性、そしてイタリアの滞在先で出会った若者とのロマンスがイタリアの名立たる名所と共に展開していく様は見事!
プルーデンス・ベル役に、ヒッチコック監督の「鳥」で女教師役を演じたスザンヌ・プレシェット。一緒にイタリアを巡る若者ドン・ポーター役には、一世を風靡した美男子トロイ・ドナヒュー。ちょっと厄介な若者の彼女・リダ役をアンジー・デキィンソンが演じています。
マックス・スタイナーの音楽も素晴らしい!
イタリアってこんなに素敵な所がたくさんあるのねぇ・・・と、改めて感じさせてくれる映画です。
「8 ½」
1965年公開 イタリア映画 監督:フェデリコ・フェリーニ
フェデリコ・フェリーニ監督が単独で作った8作目の作品。処女作がアルベルト・ラットゥアーダとの共同監督だったので、それを半分(½)として加えて「8 ½」。
スランプに陥った映画監督が、ストレスのあまり現実と空想の世界を行ったり来たりするという作品なんだけど、単純なストーリーの中に、フェリーニという監督の凄さを改めて見せつけられます。
渋滞中の車から脱出して空を飛ぶシーンや、たくさんの女性に囲まれたハーレムでのシーンなど、映像の美しさもさることながら、現実から逃避する映画監督グイド役を、名優マルチェロ・マストロヤンニが見事に演じているのも見どころ。
ラストシーンの「人生は祭りだ。ともに生きよう。」という台詞は、フェリーニ監督の想いそのものなんじゃないかしら。
「ローマの休日」
1954年公開 アメリカ映画 監督:ウィリアム・ワイラー
120回以上観た大好きな映画。そのおかげで、ローマで道に迷わずにすみました(笑)。
オードリー・ヘップバーン演じるアン王女は、連日の過密スケジュールに嫌気がさし、親善旅行中のローマで城外へと抜け出します。直前に打たれた鎮静剤の作用から、道端のベンチで寝てしまう彼女を介抱したのがグレゴリー・ペック演じる新聞記者のジョー・ブラッドレー。
翌朝、彼女が王女であることに氣づいたジョーは、スクープ目当てで友人のカメラマンと一緒にローマの街を連れ歩きます。
初めて体験する「ふつうの自由時間」に、だんだんと活き活きしてくる彼女。
そんな彼女との距離が近づくに連れ、ジョーの氣持ちにもだんだんと変化が訪れて・・・。
トレヴィの泉や真実の口、スペイン広場など、名立たるローマの名所も数多く登場し、名シーンを盛り上げます。
まるで、おとぎ話のような男と女の出会いと別れ。
とにかく素晴らしい映画です。
【ちょっとウラ話】
この頃のアメリカは「レッドパージ」と呼ばれる共産主義者排斥運動が行なわれていたのね。
原案と脚本を手がけていたダルトン・トランボも、そうした運動家の1人で刑務所に入れられたんだけど、友人の脚本家イアン・マクレラン・ハンターの協力もあって、後にアカデミー賞の最優秀原案賞を受賞しています。
こんな素敵な映画のウラに、そうした隠れ事情があったというのも凄いストーリーよねぇ。
おすすめの新着映画「ラスト・ベガス」
監督:ジョン・タートルトーブ 原題:LAST VEGAS 配給:KADOKAWA
5月24日(土)より角川シネマ有楽町ほか、全国ロードショー
マイケル・ダグラス、ロバート・デニーロ、モーガン・フリーマン、ケヴィン・クラインという、ハリウッドが誇る超豪華な老人スターが幼なじみとして共演!
独身を貫いてきたマイケル・ダグラス演じるビリーが若い女性と結婚することになり、式場のラスベガスで久々に集合した4人。
バカ騒ぎを満喫する彼らを待っている驚きの展開とは・・・。
高齢者でなければしみじみとはわからない「人生の妙味」を感じさせてくれる映画ね。
思わず笑ってしまったり、そうよ!そうよ!と思わず頷いてしまったり・・・。
あぁ、私も「いい歳なんだ」と思ってしまう秀作であります(笑)。
プロフィール・映画評論家 おすぎ
1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。