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Vol.129 01月 ストレスをためてしまう人の共通点とは


 新年明けましておめでとうございます。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 今月も引き続き「からだの声をきいて健康を保つ」というテーマでお話します。

 健康情報誌「日経ヘルス(日経BP社刊)」の副編集長として様々な健康情報を世の中に送り出し、現在もフリーライターとして活躍中の北村昌陽さん。
 今回も北村さんの著書「カラダの声をきく健康学」から、からだの声をきくことの大切さを学んでいきたいと思います。

「からだの声」か「頭の声」か

 武道の世界に「居着き」という言葉があります。
 武術研究家の甲野善紀さんによると、これはパニック状態に陥って判断停止状態になっていたり、すぐに反応出来ずに動けないでいる状態を指すそうです。武道の世界では常にスピードが要求されますから「からだが床にくっついてしまう」という意味の「居着き」は、あまり好ましくない状態です。
 いっぽう、相撲で勝った方の力士が、試合後のインタビューで「からだが勝手に動きました」と答えていたり、陸上競技の短距離走で世界トップクラスの選手が「からだが反応して、その後にピストルの音が聞こえた」という経験をしていることは、この「居着き」とはまったく逆の状態です。
 さて、両者の違いは何でしょうか?
 それはズバリ「頭で考えた行動か、からだが(勝手に)反応した行動か」ということ。後者は、熱いものを触ってしまった時に、考える間もなく手を引っ込めるのと似ています。頭であれこれ考えたり、既成概念などに捉われていたりしている状態では、咄嗟の反応が出来なくなってしまうんですね。
 ふだんの生活の中でも、「あれが食べたいなぁ」と思っているのに「からだにあまりよくないって何かに書いてたっけ」と判断したり、苦手な上司(またはイヤな誰か)と、イヤイヤ顔を合わせてストレスを感じながらも、なかなか環境を変えられなかったり、というのは、一種の「居着き」状態に陥っているようなもの。
 こころとからだが本当に喜ぶことは、知識や体裁といった既成概念で「考える(頭の声をきく)」ことではなく、その状態が心地よいかどうかという「からだの声をきく」ことです。
 健康のコツは、武道の奥義にも通じていたというわけですね。

セロトニン神経を活性化させましょう

 ある見積もりによると、現代人が接している情報量は、なんと江戸時代の約一万倍にもなるとのこと。
 膨大な情報が錯綜する現代において、「頭(知識)で考えるのではなく、からだの声をきく」ということは、ますます難しくなりつつありますが、そのいっぽうで「からだの声をきく」ための画期的な研究も進んでいます。
 東邦大学の有田秀穂教授が提唱している「セロトニン神経の働き」もその一つ。
 脳にあるセロトニン神経は「からだ全体の活動を鎮めて、ゆったりと落ち着いたこころの状態」にしてくれる働きをしていますから、セロトニン神経が活性化することで、ささいなことでは一喜一憂しない、どっしりとした氣分でいられるようになります。このようなこころの安定は、からだの声をきくための大切な条件。からだの声をきくためにも「セロトニン神経の活性化」はとても大切なのです。

〈セロトニン神経を活性化させる三つの条件〉

 
1:リズム運動
 ウォーキングや水泳、縄跳び、ダンスなど一定の動きを繰り返して行う運動が効果的。いちばん身近なところでは、咀嚼や、呼吸も立派なリズム運動です。但し、漫然とした咀嚼や呼吸よりも「よく噛む」ことや、意識的に呼吸をおこなう「呼吸法」の方がより効果的です。
2:太陽の光を浴びる
 朝に太陽の光を浴びると、心身のバランスが整い一日中元氣に過ごすことが実感できます。快眠のコツでもあります。
3:スキンシップ
 誰かと話をしたり、触れ合ったりといったコミュニケーションはとても大切です。可愛がっているペットを撫でることもいいですね。相手のセロトニン神経も活性化されますので一石二鳥の効果です。 

 ストレスをためてしまう人の共通点は「自然のリズムから離れて生活していること」だそうです。確かに、セロトニン神経を活性化させるための条件は、どれも自然の摂理に適ったことばかり。
「朝は日の出と共に目覚め(太陽光)、日中も光を浴びながら自分の足で歩き(リズム運動)、陽が落ちたら家族や仲間が身を寄せて眠る(スキンシップ)。」(「からだの声をきく健康学」(岩波書店・2011年)」)

 こころとからだの健康を保つ秘訣は「私たちが自然の一部であること」に氣づき、自然の一部である「からだの声をきくこと」なのでしょうね。
  

参考文献 「カラダの声をきく健康学」 北村昌陽 著 (岩波書店)

「健康の基本~心と体を健康にするカンタン習慣63~」(1,400円+税)
 鳴海周平・著 帯津良一・監修

「こころとからだの健康タイム」10年間の連載を集大成した本がついに完成!!
 エヌ・ピュア代表の鳴海周平が25年間に亘って研究・実践してきた健康のコツを
わかりやすく解説している健康本の決定版です。

「健康の基本~心と体を健康にするカンタン習慣63」についての詳しい内容を見る

 

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