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Vol.068 12月 風邪の「新」常識


 健康に関する常識は、医学の進歩と共に変わっていることがあります。

 あなたが「良い」と思って行っている健康習慣は、本当に身体に良いのでしょうか?

 最新の情報に基づいて、一緒にチェックしてみたいと思います。

 今回は季節柄「風邪」に関係するお話です。

「手洗い・うがい」は本当に効果的?

 「外から帰ってきたらすぐに手洗い、うがい!!」って、よく言いませんか?

 これは、手や口、のどについているウィルスを排除するために行うのですが、よく考えてみると外気に触れていたのは、手や口、のどだけではありませんよね。外でウィルスがくっついてくるとしたら、顔にも頭にも、服にもついてくることになります。空気を吸う鼻からだって入ってきますね。そうすると、外出の度に洗髪、洗顔をして全部着替えてしまってようやくひと安心、ということになります。でもここまでやってしまうと「手を洗う前に触った蛇口はどうなんだろう?」とか「コートをかけたハンガーはどうなんだろう?」とか、だんだんと深みにはまってしまうかもしれません(笑)。

 風邪の原因となるウィルスは、鼻から気管にかけての「上気道」から侵入してくる場合がほとんどです。そうすると、この箇所にウィルスが留まっている時間をなるべく短くすることが風邪予防に最も効果的、ということになります。こまめに水やお茶を飲んで早く体内に流してしまう、という方法が一番手っ取り早いのかもしれません。

 あまり「手洗い、うがい」にこだわり過ぎて、精神的なストレスになるようなら逆効果。もっと柔軟に考えても良さそうですね。

マスクで風邪予防は出来る?

 種類によっても異なりますが、一般的にウィルスの大きさをサッカーボールに例えると、マスクの網目はサッカーコートほどにもなるといわれています。つまりマスクには、ウィルスを遮断する働きがあまり期待出来ない、ということになります。「だったら、マスクは無駄なの?」という話になりますが「低温で乾燥した空気」を好むウィルスにとって、マスクによって「暖かく湿った空気」が入ってくるようになる鼻やのどの環境は、とても居心地の悪いものになります。さらに「暖かく湿った空気」は、鼻やのどにある免疫器官を正常にしてくれるため、風邪予防にはたいへん効果的なのです。

 ただしウィルスが網目を通過してしまうことに変わりはないので「人にうつさない」という効果はあまり期待出来ません。うつさない方法はただひとつ「外出しないこと」だけです。

 最近はとても性能の良いマスクもたくさん出ているようですから「風邪予防」にも上手に活用したいですね。

風邪の時の過ごし方

 何かとやっかいもの扱いしてしまう「風邪」ですが、整体協会の野口春哉先生によると「風邪とは身体の偏り疲労(歪み)を正常にしてくれる自然治癒行為」だそうです。野口先生は、たくさんの患者さんの身体を整体していく過程で、風邪をひいた後に身体が柔らかくなり、正常な状態に戻っていることを発見しました。こうした経験から「風邪をひくということは、それ自体が一種の治療行為なのではないか」と思うようになったそうです。

 風邪が一種の治療行為であれば、上手に風邪をひくことは身体を正常にする大切な働きということになります。そこで野口先生は「風邪をまっとうするコツ」として、次の5つのことをお話されています。

1、 偏り疲労を整えようとするのが風邪なので、身体を弛めることが大切
2、 身体は冷やさないこと
3、 身体を温めること(温めた後は冷やさないこと)
4、 平温以下の時期を安静に。平温に戻ったらあまり用心しないこと。
5、 水分を多めに摂ること

 体温が1度上がると免疫力も30%上がる、と言われています。また、熱が上がった後で一旦平熱以下まで下がるタイミングがありますが、この時が最も大事な養生期間です。心身共にゆっくり出来る時間を過ごす事で、風邪は上手に経過させることが出来ます。

 「心身一如」心と身体はひとつです。心を弛めていると、身体も偏り疲労を起こしづらくなります。

 風邪に対する予防法も、あまりこだわり過ぎずにゆったりと構えている方がいいのかもしれません。もし風邪を引いてしまっても、それは「より健康体になるための自然治癒現象」なのですから。

参考文献 米山 公啓 著 「間違いだらけの健康常識」(永岡書店)
     野口 春哉 著 「風邪の効用」(ちくま文庫)

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