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Vol.044 12月 理想の食生活は「おふくろの味」


皆さん、毎日美味しくご飯を食べていますか?
「快食・快眠・快便」は、私たちが健康で快適な生活をおくるための大切な要件です。
今月も前回に引き続き「快食のコツ」をお話したいと思います。

偏食はいけないこと?

 「好き嫌いをしちゃいけませんよ!」子供の頃からよく聞いた台詞ではないでしょうか?

 バランス良く、いろいろな食材を摂ることは、確かに大切なことなのですが、場合によってはちょっとした疑問がわいてきます。

 例えば、アメリカやヨーロッパから来た人たちが納豆や沢庵を食べられないのを見て、あなたはどう思うでしょうか?「好き嫌いはいけませんよ!」と言えるでしょうか?むしろ、食べることの出来る人たちを「凄いですね。よく食べられますね。」なんて感心してしまうのではないでしょうか。

 氷の上に住むイヌイットはほとんど野菜を食べませんし、アンデスの高地に住む人たちは朝から晩までジャガ芋の生活です。
 どんな食べ物も、その国、その土地に長い年月をかけて体験として伝えられてきたものだと考えると、わざわざ自然環境の違う土地の食べ物を強制して食べさせること自体、何か不自然な感じがします。

 あなたの「好き嫌い」は、どんな食べ物でしょうか?それは本当に「偏食」なのでしょうか?

戦後の栄養教育

 1953年から54年にかけては、アメリカで農産物が大豊作でした。この年アメリカでは「余剰農産物処理法」という法案が成立し、その多くの余剰農産物が、敗戦国だった日本にやってきました。それが小麦です。つまり、学校給食にパンが出たことや、パン産業が急激に伸びたことなどは、こうした政策の一環だったと考えることが出来ます。

「米は太る」とか「日本人は米を食べているから身長が伸びない」などといった噂は、この時期に良く聞かれていたようですが、こうした時代の背景がわかるとこうした噂も、もしかしたら意図的に流されたのかもしれない、と思うのは私だけでしょうか?

あなたはご飯派?パン派?

 フランシスコ・ザビエル神父が本部に宛てた手紙を紹介したいと思います。

「日本人は自分達が飼う家畜を殺すこともせず、またこれを食べもしない。彼らは時々魚を食膳に供し、ほとんど米麦飯のみを食べるが、これも意外に少量である。ただし彼らが食べる野菜は豊富であり、また僅かではあるが果物もある。それでいて日本人は不思議なほど達者であり、稀に高齢に達する者も多い。したがってたとえ満腹にならなくても人間の体質は僅かな食物によって、十分な健康を保てるものであることは、日本の場合によっても明らかである」

 こうした質素な食生活でありながら、子供を10人産む人も珍しくなかった日本人を、フランシスコ・ザビエル神父は、とても不思議に思ったのではないでしょうか。そして、主食である米の中に、その秘密を感じたのではないかと思います。

 戦後急激に普及したパン食の文化は、今ではすっかり日本に馴染んでしまった感がありますが、味噌汁や漬物、焼き魚、野菜のお浸し、酢の物など、日本の風土にあった食べ物には、やはり米という主食が欠かせません。

 ここ数十年増加を続けている生活習慣病は、戦後の欧米型食生活が大きな原因になっていると言われています。米を主食にすると、おかずも自然に和食になり、こうした病気も減っていくのではないでしょうか。

理想の食生活

「食物の生産にもっとも関係が深いのは風土である。獣肉と魚肉、菜食と肉食、すべては欲して決めたことではなく、風土が決めたのである」

 これは哲学者の和辻哲郎さんが「風土」という著書で述べているものです。

 今はどの地域の食べ物でも、簡単に取り寄せることが出来、様々な国の食べ物を味わうことも出来る時代です。でもそうした歴史は本当にここ数十年のことで、日本にはそれ以前から数百年、数千年にわたって受け継がれてきた伝統食があります。

 私たち自身の健康はもとより、子孫にもこうした伝統食の良さを伝えていく義務が私たちにはあると思いますし、子供の頃食べた物は、大人になってからも何故か好きなことが多いようです。「おふくろの味」を、大切にしたいですね。

参考文献  幕内秀夫 著 「体によい食事 ダメな食事」(三笠書房)

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