Vol.280 8月 「運」に良し悪しなし(後編)
2024年春に出版された高島亮さんと鳴海周平の共著『運のミカタ』(ワニ・プラス)から、前回に引き続き本編未掲載の特別対談をお届けします。
「良かった」という言霊
鳴海周平(以下、鳴海)
「良し悪しはない」運というものを、肯定的に捉えることが、運の味方になることであり、運と仲良くするということでもある、と亮さんは本書のなかで述べていますね。
高島亮さん(以下、高島)
もともと運には味方も敵もないのですが、肯定的に捉えることは運と自分がおなじ側に立っている、つまり、運と仲良くしている状態です。「運を良くする」のではなく、「運と仲良くする」ことをお伝えしているのには、次の4つの理由があります。
1 そもそも運ばれ方自体には良いも悪いもないから
2 自分の思い通りにならないこともたくさんあるから
3 自分の思い通りにしようとする(運を良くする)よりも、運ばれ方の味方になって「良かった」と思う(運と仲良くする)ほうが簡単で、自分もラクになるから
4 運と仲良くすると、安心と喜びを得られる(感じられる)から
このように自分の見方が味方を生み出すのであれば、運を「良かった」と肯定的に見るほうがいいですよね。そして、思うだけでも、もちろん良いのですが「良かった」と口に出すとより明確になるので、毎日のなかで「良かった」を言うようにすると、さらにウンと、運と仲良くなれるのではないでしょうか。
鳴海 また、さりげなく挟んでいただきありがとうございます(笑)たしかに、古くから「言霊」というように、言葉に出すことで、さらにエネルギーがのる感覚がありますよね。
高島 「良かった」の理由はなんでもいいんです。理由もあと付け、自分付けなので、そのときはわからなくても、とりあえず「良かった」と言っておく。すると、脳は自動的にその理由を探してくれる(辻褄を合わせる)ようにできているといわれています。そうしているうちに、良かったと思える理由を見つけることが上手になって、ますます良かった」が増えていくでしょう。
『運のミカタ』のなかで周平さんが紹介していた「よかった・ありがとう呼吸法」も、良かったことの理由がわからなくてもいいんでしたよね。
鳴海 はい、亮さんが仰ったように、脳が自動的にその合理的な理由を探してくれるし、息を吸いながら「良かった」、息を吐きながら「ありがとう」と繰り返しているだけで、呼吸をするたびに「良かった」「ありがとう」が繰り返されるという条件反射ができるので、良かったことの理由は、思いつかなくてもいいんです。
誌面スペースの関係で詳しくは紹介できませんが『運のミカタ』のなかで、詳しく紹介しているのでそちらをご参照いただけたらと思います。
高島 まだお持ちじゃない方は、ぜひ買ってください、ということですね(笑)
言霊のはたらきについては、正観さんから、こんなお話を聞いたことがあります。
「幸運の女神は、自分のあとを追いかけて来ます。でも、五戒を破ると追いかけて来れなくなってしまいます。五戒とは、『不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を言わないこと』です。忍者が追っ手を防ぐために、まきびしをまきますね。五戒を破ることは、あれと同じことなのです。だから、幸せになりたければ、まきびしをまかない生き方をすることです」
このお話を聞いたのは、働いていた出版社の瓜谷社長が亡くなって、グループ会社を任されていた頃だったのですが、資金繰りや面倒なことがいくつも重なって、愚痴や弱音をはく日が続いていました。でも、正観さんが言うように、五戒に氣をつけるようになってからは少しずつ事態が好転していったんです。もう絶体絶命かと思われた資金繰りは決済直前にお金が振り込みになったり、面倒だと思っていたことも、すてきな人たちとのご縁にどんどんつながっていったりしました。
鳴海 言葉のまきびしをまかなくなって、幸運の女神が追いかけて来てくれたんですね。五戒を守ることが、まきびしをまかない生き方なら、「良かった」という言葉を使うことは、女神が大好きなエネルギーを発しながら生きていることになるのかもしれません。
高島 正観さんは、よく「投げかけたものが返ってくる」ということも言っていました。投げかけたものが返ってくるのであれば、心地よく感じる言葉はたくさん使ったほうがいいということになりますね。「良かった」という言葉には、そんなすてきな言葉のエネルギー=言霊がたくさんのっているのだと思います。
鳴海 講演会などで、亮さんがダジャレを連発しているのは、お客様に喜んでもらいたいという投げかけで、その喜びが返ってくるから、亮さんはいつも楽しそうなんですね。
高島 ダジャレは仕事でやっているだけです(笑)どうか、誤解のないように。
鳴海 五戒にかけていただきありがとうございます(笑)




















