【vol.51】おすぎの名画のすゝめ Scene.09
こんにちは。おすぎです。
先日、飲み過ぎて、顔で「壁ドン」してしまいました・・・。
とっさに手の甲で防いだから、そんなに大きなケガにはならなかったんだけど、この1年半の間にこれで3回目…。1回目は8針、2回目は13針、今回は縫うまでいかなかったから、少しは受け身が上手になったのかしら。
次回は、きっと無傷ね(笑)。
まあ、70歳過ぎたら飲み過ぎには気をつけなきゃ・・・と、つくづく思った出来事でした。
皆さんも、お気をつけ下さいませ。
さて、今回は「昔の女優さんって、こんなにキレイだったんだ」と思っていただけること請け合いの作品です。
「慕情」
1955年公開 アメリカ映画 監督:ヘンリー・キング
イギリスの植民地だった香港で勤務医をしているハン・スーイン(ジェニファー・ジョーンズ)がヒロイン。
戦争で夫を亡くしていた彼女は、勤務先の病院の理事長が開催したカクテルパーティーで、従軍記者のマーク・エリオット(ウィリアム・ホールデン)と出会います。
会うごとにだんだんと恋仲になる二人。でも、別居中の妻がいるマークとの関係は、やがて香港で噂となり、ハンは勤務先の病院を追われてしまいます。
ほどなく起こった朝鮮戦争の現場へと派遣されたマーク。そして、戦地から届く彼からの手紙で寂しさを紛らすハン。二人の恋の行方はいかに…。
この映画を観たのは、公開されてから5年が経った頃。30円で3本立てが観られた時代でした。
海辺で水着姿の二人が抱擁するシーンは、当時としてはかなりショッキング。15歳の私にもずいぶん刺激的だったわねぇ(笑)。
二人でデートした想い出の丘でのシーンも素晴らしい!!
「これぞ、ラブ・ストーリー」という作品です。
「予期せぬ出来事」
1963年公開 イギリス映画 監督:アンソニー・アスキス
原題は「The V・I・P・s」。この作品で私は「V・I・P・(ベリー・インポータント・パーソンズ=とても重要な人物)」という言葉の意味を知りました。
前出の「慕情」も、原題は「Love is a Many-Splendored Thing(愛は多くの輝きに満ち溢れているもの)」。この時代の人たちのセンスは、ホントさすがだと思うわ。
原題のごとく「重要な人物」たちが空港で繰り広げる人間模様がテーマで、本当にスターさんたちがたくさん出ている作品です。
舞台は冬のロンドン空港。霧のために離陸が遅れている空港で、さまざまな事情を抱えた「重要人物」たちが物語を展開していきます。財界の大物夫人、映画製作者、女優、実業家とその秘書…。個性豊かな面々が繰り広げる人生ドラマとは?
美女と言えば、リズこと、エリザベス・テイラー。
この作品で彼女を観て「あっ、リズがしゃべってる!!」って、ピーコと二人で大興奮したことを覚えています(笑)。
集団の出来事が1つの舞台で展開していく「グランド・ホテル」(1932年公開のアメリカ映画)形式の作品です。
「メリー・ポピンズ」
1964年公開 アメリカ映画 監督:ロバート・スティーヴンソン
銀行に務める、その名もバンクス氏一家。気むずかしいバンクス氏と、子どもの面倒はすべて家政婦さん任せで婦人参政権運動に夢中の夫人。
いたずら好きで、いつも家政婦さんに愛想を尽かされている子どもたちは「きれいで、やさしくて、おもしろい人」という理想の家政婦像を書いて父のバンクス氏の元へ。ところがあろうことか、その紙を暖炉に放りこんでしまうバンクス氏…。しかし雲の上に住むメリー・ポピンズには、しっかりと子どもたちの要望が届いていたのであります。
メリーがやってきてから、どんどん朗らかになっていく一家。そして、バンクス氏もやがて本当にたいせつなことに気づいていくのです。
同じ年に公開された「マイ・フェア・レディ」という作品の舞台版で主役をつとめていたジュリー・アンドリュース(メリー・ポピンズ役)。映画版での主役が、オードリー・ヘプバーンに決まったことに敵愾心を持った彼女は「メリー・ポピンズ」で見事アカデミー主演女優賞を獲得しました。さらに、翌年公開された「サウンド・オブ・ミュージック」では、2度目のオスカーを獲得。ホント、凄い気概よねぇ。
舞台裏では、ハリウッドの女優同士が繰り広げる熱い競い合いがあったのです。
おすすめの新着映画 「ホーンズ 容疑者と告白の角」
監督:アレクサンドル・アジャ
原題:Horns 配給:ショウゲート R15+
5月9日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷他全国公開
私が「映画」を観るという時は、大方、試写室です。
スクリーンに映し出されているものをひたすら観ているだけですが、ときには「ん?…これは何じゃ?」と思う作品に出会うこともあります。
「ホーンズ 容疑者と告白の角」は、まさにこの「何じゃ?」になった作品。
主役はラジオのDJをやっているイグ(ダニエル・ラドクリフ)。恋人のメリン(ジュノー・テンプル)が森の中で殺されしまい、両親や兄までがイグを「犯人」と疑います。恋人を殺され、さらに家族にまで疑われるという極度のストレスの中で、なぜか、イグの額に角(ツノ)が生えてくるのであります!!
あまりの唐突な展開…。しかも、その角を見た人間は、自分の秘密をベラベラと話してしまう…。あまりのバカバカしさに、途中で観るのをやめようとも思ったのですが(笑)、最期は素敵なファンタジーになっているのです。
あなたも騙されたつもりで、いかがですか?
プロフィール・映画評論家 おすぎ
1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。