【vol.47】おすぎの名画のすゝめ Scene.05
こんにちは。おすぎです。
早いもので、今年も残すところあとひと月ちょっと。
クリスマス、大晦日、お正月、そして1月18日の私の誕生日へと続くわけですが、ここ数年「門松は、冥土の旅の一里塚」の心境に至っていますので(笑)とくに何の感慨もありません・・・。
とは言え、この時期になると、子どもの頃実家で過ごしたお正月の風景を想い出します。母がおせちを作り、出張の多かった父も家に居て、大晦日には家族で菩提寺へお墓参りに行きました。年が明けると、父と母に「おめでとうございます」と挨拶をしてからお雑煮とおせちをいただきます。
お昼頃には、三河万歳や獅子舞いが来て厄落としをしてくれ、学校に行ってみんなで新年を祝う、というのが恒例でした。
2日、3日は「映画」を観に出かけます。封切りから少し日が経った作品を3本くらい興行する「3番館(さんばんかん)」(「サンバカ」じゃないわよ)で1日中入り浸るわけですが、これがまたスゴい混み具合!扉が閉まらないくらいの観客の中で、父に肩車をしてもらって観ていました。
今のように指定席でゆったりと、なんていうのは夢のまた夢だったわねぇ・・・。
さて、今回は秋・冬号という事で、クリスマスに観たい映画を選びました。
年末年始に、ぜひ良い映画を楽しんでください。
「偉大な生涯の物語」
1965年公開 アメリカ映画 監督:ジョージ・スティーヴンス
まずは「偉大な生涯の物語」です。
1950年代まで、映画の中でキリストを映すことはご法度でした。それが1965年になると、この映画のように堂々とキリストを演じる俳優が現れるのです。
それも北欧のスターだったマックス・フォン・シドーをキリスト役に起用して、他にもチャールトン・ヘストン、ジョン・ウェインなど大物スターが総出演しています。そして、監督はジョージ・スティーヴンスという大巨匠。オリジナルは260分という大作であります。(DVDは199分か141分のものです)
イエスの誕生から始まり、伝道生活、エルサレム入城、ゴルゴタの丘での処刑、そして復活までを描いた、今後も製作することが不可能なほどスケールの大きな作品。
クリスマスを期に是非ご覧あれ。
「ホワイト・クリスマス」
おすぎが1年に1度、クリスマスが近づくと必ず観るのが、この「ホワイト・クリスマス」。今から半世紀前に、ビスタビジョンという、もう忘れ去られた上映方式の第1号作品であります。
ビング・クロスビーとダニー・ケイ扮する戦友同士の芸人コンビが、ひょんなことから軍隊時代の隊長と偶然再会。隊長は終戦後、バーモント州のパインツリーでホテルを経営していますが、そのホテルが深刻な雪不足から倒産寸前の状態に陥っていることを知ります。その窮地をなんとか救おうと、姉妹の歌手を伴ってブロードウェイのショーをそのままホテルに持っていき、上演しようとするのですが・・・。
姉妹の歌手はローズマリー・クルーニーとヴェラ=エレン。『ウエスト・サイド物語』でアカデミー助演男優賞を受賞したジョージ・チャキリスもダンサーとして出演しています。
ラストのショーで、背景が取り外された時に広がる一面の雪景色が素晴らしい!!
歌あり、踊りあり、笑いあり、そして恋あり。クリスマスに観たい珠玉の名作です。
「ジーザス・クライスト・スーパースター」
アンドリュー・ロイド・ウェーバーの出世作(作詞はティム・ライス)となった舞台をノーマン・ジュイソンが監督して映画化したのがこの作品。
イエス・キリストとイスカリオテのユダとの関係に新解釈を加え、マグダラのマリアを絡ませて描いた、全編音楽と歌曲のみで進行するオペラ型のロックミュージカルであります。セットは組まず、死海、イスラエル北部、中部、砂漠の遺跡などでロケされました。
その内容から、舞台も映画もキリスト教団体からの批判が凄かったみたいだけど、ゴールデングローブ賞作品賞にもノミネートされたくらい、とても評価の高い作品です。(アンドリュー・ロイド・ウェーバーは映画版を嫌っていたそうですが・・・)
イエス役はテッド・ニーリー、ユダ役にはカール・アンダーソン、マグダラのマリア役はイヴォンヌ・エリマンが扮し、舞台とは違うタッチに仕上がっています。
ファーストシーンとラストシーンが、特に印象的
おすすめの新着映画「42~世界を変えた男~」
配給:ワーナーブラザース(03-5251-6431) 宣伝:レオ・エンタープライズ(03-3541-9293)
2013年11月1日(金)より公開
1年に1度、4月15日に大リーグではグランドにいる全員が“42”の背番号を付けます。どのチームの選手も、敵も味方も関係なく。
それは1947年4月15日に、アメリカのメジャーリーグに初めての黒人選手ジャッキー・ロビンソンがデビューした日なのです。「42~世界を変えた男」は、このジャッキーと、ブルックリン・ドジャースのオーナー・ブランチ・リッキーの物語。
リッキーは周囲の反対を押し切って、ロビンソンと契約を結びますが、まだ黒人差別が激しかった当時、メジャーリーグも白人だけのもの、というファンやマスコミから誹謗中傷を浴びてしまいます。チームメイトからも阻害されるジャッキー。しかし、その一途な姿勢は次第に周りを巻き込んでいき・・・。
ジャッキーにチャドウィック・ボーズマン、リッキーにハリソン・フォード、監督は『L.A.コンフィデンシャル』でアカデミー脚色賞を受賞したブライアン・ヘルゲランド。
野球をこよなく愛する人は、絶対に観なければならない映画です!!
プロフィール・映画評論家 おすぎ
1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。