【vol.45】ときめきの富士|雲の浮島 3月 夜明 静岡市清水区吉原より
夜明け前に雨が上がった。
そこから山上のドラマが始まった。
隠れていた富士が姿を現すには風の力が必要だ。
太陽が顔を出す時、気流が湧き始める。
夜明けの到来と共に、大気は風を呼び
峰を覆っていた雲を数秒だけ払ってくれた。
雲海は荒波の姿になった。
山々は波に洗われる島々の姿になった。
この姿を浮島と言う。
山々はお茶畑である。
この雲海の下を今、第2東名高速道路が走る。
紫の至高の光の中で荘厳な霊峰が見守っている。
感謝無限大 ロッキー田中。
富士山が教えてくれた幸運の法則 その5
意識と言葉のチカラ
〈独自の視点〉
いつの間にか16年が過ぎました。お世話になった会社に心からお礼を言ってサラリーマン生活に別れを告げ、世界でただ1人のときめきの富士の写真家になってから、いつも新しい景色を新鮮な感動で受けとめてきました。
独立した時に私のバックボーンは何もありませんでした。雑誌社に繋がりが有る訳ではなく、勿論スポンサーも無く、周りには富士山を撮っている人も沢山存在しました。唯一確信があったのは、誰もやらない世界にこそ真理があるという気持ちと、人々に共鳴する作品を世に出す為の、自分独自の視点でした。
山麓で待つのではなく、山が呼んでくれたら逢いに行くというスタイルをずっと続けています。勿論その為には数知れない探索によって、季節や気象の変化を細胞に覚えさせて来たことと、山だけを撮るのではなく、景色と共に在る富士山を浮世絵のイメージで受けとめる絵づくりがあります。
〈シーンを呼び寄せる〉
面白いのは、心に描いた逢いたい景色は思いのままに呼び寄せる事が出来るという真理をつかんだ事です。それは決して魔法やスピリチュアルな事ではなく、培って来た情報と想像力でかなりのところまで追い込めるのです。伝統工芸やモノ造りに携わる人、町工場でミクロの領域まで目と手加減でコントロールする達人は私の尊敬する人達であり、魂の友人です。
富士山のある景色でもそれが出来るのではないか、そう気付いてからやみくもに動く事は無くなりました。360度の周囲の中で、どの地点はこの気象状況ならどんな表情を見せるか、雲の形は、空の色はどうかを100km離れた東京でイメージするのです。
〈意識が創る〉
次の朝は西から東の太陽を観るべきか、それとも高い山から雲上の富士を観るべきかをイメージし、天気の変化を知るのです。勿論私の視点は広角です。富士山だけをズームアップした望遠の構図ではありません。左の目の端から右の目の端までの視界の全てが、里景色と共に美しい色に際立つ瞬間を探すのです。
そして、「明日、あの場所、あの時間!」とイメージがわいたら、シーンの出る1時間前にそこに立ちます。それはアテも無く山麓で待っているよりも遥かに確率の高まる私のスタイルです。
〈天を味方に〉
写真家としてバックボーンの無い新参者の私は、目に見えない無限のチカラを味方につける事で、オンリーワンの世界を創るしかないと思い至りました。それは絆づくりを通じて天を味方に付ける事です。作品はポストカード、本、DVD、カレンダー、キャビネの小型額入り、中大型の額装のカタチで制作します。その1作1作の背中に富士山が伝えてくれたメッセージを書き始めました。
実はこの一つ一つのメッセージに、作品を受け取って共感して下さった方々の沢山のドラマがあります。いずれ順次この言葉ごとにコラムを書けるかも知れません。でも、お客様からこの言葉を書いて下さいとリクエストされるのは少々苦手です。それはリクエストする方の念の強さを感じてしまうからです。
〈言葉が輪を広げる〉
不思議な事にサインをしようとすると「顔」が浮かびます。それはこの作品を受け取って喜ぶ人のいい顔です。男性であったり女性であったり、若かったり年配だったり様々ですが、ときめきの富士が届いてわくわくして何処に飾ろうかと壁を探している人の姿であったりもします。それが誰かは分かりません。そしてサインを終えると完了のサインで顔は消えます。
浮かんだコトバは必ず心に響くと信じています。
その一部を紹介します。
「感謝無限大」「きっと花ひらく」「花咲き実る志」「その先の世界へ」「心が世界を創る」「夢のチカラ」「コトバは神の宿」「未来は今を待っている」「さあ今から」「にこにこ」「結実の時」「大丈夫 そう成る!」「志高く 心柔かく」
まだまだ出てきます。書いたコトバは今のその方に必要なメッセージだったと、よくお便りを頂きました。それが嬉しくて、今でもサロンに直接ご注文下さった方には、肉筆のメッセージを書き続けています。今のときめきの富士のお客様は、私がデビューした時に握手をし、言葉を交わし、メッセージを伝えたご縁から輪が幾重にも広がって出来た方達の輪です。その輪は伝えて来たメッセージで広がって来たと信じています。本当にお陰様です。絆という基盤が出来るから私は今日も元気に生かされています。
〈新しい文化〉
いよいよ一年で一番忙しい時節が到来しました。2013年カレンダーが出来ました。テーマは「麗しのやまとの国よ、甦れ!」です。様々な事が起き続けそれでも志高く善い社会を創ろうとする日本への、日本からのメッセージを込めて作品を選定しました。
世の中にはモノが溢れています。いいモノを見つけるのは逆に難しい時代に成りました。折角選んでもMade in Chinaなんて文字があったら興ざめになります。お世話になったあの方に、新年の挨拶に、元気になって欲しいあの方にも本物を贈りたいですね。
私はずっと、ときめきの富士を贈る文化が来ると言い続けています。それは喜びと感謝の伝達だから。日本にしかないから。贈る人の気持ちと受け取る人の喜びが分かるから今日も時間を見つけてはカレンダーの背表紙にメッセージとサインを書いています。一番ぴったりのコトバがあなたに届く事を鮮やかに信じて。
感謝無限大 ロッキー田中