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Vol.116 12月 「なおす」ではなく「おさめる」という考え方


 早いもので今年も師走となりました。楽しい年末年始を迎えるためにも、生活習慣をじっくり見つめ直す機会を持ちたいものですね。

 今回もベストセラー作家の五木寛之さんが実践している「養生法」を紹介したいと思います。

 健康法や養生法の研究家としても知られているベストセラー作家の五木寛之さん。

 長年さまざまな健康法を試してきた五木さんは「頭で判断するよりも、気持ちがいいか、楽しいか、長続きするか、自分に合っているか、それがすべて」と著書の中で述べながら、現在実践している養生法を紹介しています。
 

「おさめる」という考え方

 長年重度の腰痛と付き合ってきたという五木さん。腰痛という症状について次のように述べています。

 「腰痛なんてものを治すという考え方が、そもそも傲慢(振り仮名:ごうまん)なのです。人間がそんなもの治せるわけがない。あれは『なおす』ではなく、『おさめる』と読むのです。元々あるものが、表に出てきて、障害が出てくる。それをなんとか説得して内側に引っ込んでもらう。それが『治める』ということです。」

 人間が二足歩行を始めた時から、腰痛はある意味運命づけられたものだという考え方ですね。

 確かに、こんなに重い頭部を常に脊椎が支えてくれていることを考えると、何の自覚症状もない状態というのは、絶妙なところで上手くバランスがとれている、ということなのかもしれません。

 また五木さんは、こうも仰っています。

 「ですから、治療の結果完治した、などというのは、とても傲慢なことだと思うのです。そもそも人間は生まれた時から死のキャリアです。歪みというものを本来背負って生まれてきた人間が、その歪みとか、病とかというものを、治めつつ、なだめすかしつつ、なんとか今日を無事に生きていく。それこそが人生ではないか、と思えてくるのです。」

 私たちは、生まれてくるとすぐに「肉体の死」へと向かって歩き始めます。となると、肉体が元々持っている様々な症状の要因というのは、なんとかなだめすかして内側に引っ込んでいてもらう、という五木さんの考え方が、とてもしっくりくるように思うのです。

 「なおす」ではなく「おさめる」という考え方は、謙虚な気持ちで心身を養生することの大切さを改めて気づかせてくれる、とても素敵な見方ですね。

腰痛を治めるコツ

 五木さんは、何度もぎっくり腰に悩まされた経験から、上手に腰痛と付き合う方法を長年模索してきました。

 そして「顔を洗う時と、本を読む時に頭を下げる行為」が、もっとも腰に負担をかけていることに気付いたそうです。

 そこで、顔を洗う時には背骨をまっすぐにしたままで、膝を曲げ、中腰になるか、左右どちらかの足を台にのせるかして、腰から上半身を曲げて、頭をなるべく下げないようにしている、とのことでした。低い洗面台の場合は、両膝を広げて腰を落とし、ガニ股のようになりながら顔を洗うことを勧めています。「腰を曲げる」のではなく「腰を折る」という表現がわかりやすいかもしれませんね。

 また、腰の養生には「歩き方」もたいせつです。

 腰にひねりを加え、手足に反動をつけて歩く、というのが一般的な歩き方ですが、五木さんは昔の侍のように右手と右足、左手と左足を一緒に出す「ナンバ歩き」をたまに行っているそうです。特に階段を上がる時や、長距離を歩く時などは、この歩き方が疲れにくいとのこと。ただ、見た目が変なので(笑)、五木さんも、なるべく人通りの少ない場所で行っているとのことでした(笑)。

 ストレッチなども上手に組み合わせながら、肉体(漢字左側の月は肉体を表します)の要である「腰」をしっかり養生して、快適な健康生活を楽しみたいものですね。

記憶力を保つ方法

 脳の力はいつまでも衰えないことが、様々なデータからも明らかになっています。むしろ、年齢を重ねることでますます豊富になった経験も加わって、脳は使えば使うほど洗練されていくのではないかと思います。

 五木さんは、記憶力を保つトレーニングとして「おととい食べた夕食を思い出す」という方法を紹介しています。
今夜の夕食であれば簡単に思い出せるでしょうし、昨日くらいでも、まぁ何とかなるでしょう。でも、おとといとなるなかなか思い出せないのではないでしょうか?(今夜はなんだったっけ?という方は、まずそこからいきましょうか(笑)・・・)

 日記も同様に、前の日や、その前の日のことを思い出して書いてみると、とても良い記憶力のトレーニングになりますのでお勧めです。

 認知症やアルツハイマーなどの方でも、昔のことはよく覚えている場合が多いものです。こうした過去の想い出話を、周りの方が何度でも繰り返して聴いてあげていると、語り手の記憶が少しずつ詳細になっていき、症状にも良い変化が現れてくる場合が多々あります。

 聞いてくれる相手がいたらどんどん話す、話す相手がいなければ日記に書いてみる。こうしたことの積み重ねが、いつまでも若々しい脳力を保てるコツなのだと思います。
 
 五木さんは「皆それぞれ体質や環境、年齢、気質、経歴などが違うのだから、養生法も違ってあたりまえ」とおっしゃいます。

 紹介した方法は、あくまでも「五木さんに合った養生法」ですが、私も実際に体感して納得したものばかりですので、皆さんにもぜひ試してみてほしいと思います。

そして、その中からさらに「自分に合った養生法」を見つけていただけたら幸いです。

参考文献 「きょう1日」 五木寛之 著 (徳間書店)

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