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Vol.089 09月 民間療法あれこれ


 日に日に秋の気配が深まってきましたね。季節の変わり目は特に体調の変化に気をつけたいものです。

 今回も引き続き、作家の五木寛之さんと医学博士の帯津良一先生による健康対談をご紹介したいと思います。

あなたの身近にある健康法は?

 「風邪を引いたら喉にネギを巻くと良い」「傷口には蓬(ヨモギ)の葉っぱをあてると治りが早い」「火傷にはアロエの葉がよく効く」といった健康法・治療法。

 小さい頃におじいちゃんやおばあちゃんから教えてもらったことはありませんか?
地域によっても異なりますが、こうした昔から身体に良いとして伝えられてきた療法は「民間療法」とよばれ、長い間多くの人々の健康に役立てられてきました。

 西洋医学的には根拠のない迷信扱いにされることもあった民間療法ですが、アメリカではここ数年の間に、民間療法に支払われる医療費が西洋医学に支払われる医療費を上回っていることが確認されています。

 作家の五木寛之さんは、こうした民間療法への人気について「エビデンス(治験データ)の数が少ない民間療法に効果は期待できるのか?」という質問を、肯定的な立場から医学博士の帯津良一先生に投げかけています。

 帯津先生は、風邪を引いて熱が上がった時に西洋医学で用いられる「解熱剤」と民間療法で古くから伝わる「葛根湯(かっこんとう)」を飲み比べてみたところ、効き目は穏やかではあるけれども熱が下がった後の爽快感がまったく違った、と民間療法の効果について語っています。

 「民間療法の最大のエビデンスは時間です。何代にも亘って伝えられてきたという時間の長さが、何よりのエビデンスではないでしょうか?」

 数多くの症例を経験された帯津先生の回答は説得力がありますね。

民間療法のカテゴリー

 民間療法は、大きく8つのカテゴリーに分かれています。

1 デトックスやオイルマッサージでも知られる「アーユルヴェーダ」や「中国医学」などの伝統的な医学系
2 ホメオパシー(前回の健康タイム参照)のように、独自の思想や哲学に基づいて編み出されたもの
3 カイロプラクティックや指圧、鍼灸、マッサージなどのように、人間の手を使って施術する「手技療法」
4 自律訓練法や瞑想法、アロマテラピー、音楽療法などのように、心と身体の両方に働きかけることで深いリラックス効果を呼び、症状が軽減されるという「心身相関療法」
5 気功やスピリチュアル・ヒーリングなどのような「エネルギー療法」(前回の健康タイム参照)
6 玄米や菜食主義、サプリメントの活用などに代表される「食事・栄養療法」
7 薬草や自然薬(蓬やクマザサ、漢方の生薬など)などを用いた「薬物療法」
8 免疫力を向上させることを目的とした「免疫療法」

 同じ民間療法でもカテゴリーによっては考え方にそれぞれ違いがありますが、共通したベースとなっているのは、その地域に古くから伝わっているということ。

「先祖代々伝えられてきた時間の長さ」という最高のエビデンスは、どの民間療法にも共通して言えることのようです。

長寿のための「呼吸法」

 昔から伝えられてきた民間療法のひとつに「呼吸法」があります。

 人は水や食料がなくても何日間か生きていくことができますが、たった5分間止められただけでもすぐに死んでしまうのが「呼吸」です。それだけ私たちの生命の基本となっているものですから、上手な呼吸の仕方は健康に役立つというのも当然といえば当然ですね。

 帯津先生は、数多くの人を看取ってきた知人から「よく『息を引き取る』と言いますが、人は死ぬ時に本当に息をスーッと吸って亡くなります。(ハーッと吐いて亡くなる人はいないそうです)吸った息を吐く力がなくなった時に命は終わります。」という話をきいたそうです。確かに、これから生命活動が始まる赤ちゃんはオギャーッと泣いて(息を吐いて)生まれてきますね。

 五木さんから「呼吸法の効果」について質問を受けた帯津先生は「健康に役立つ呼吸法の基本は、吐く息を長くすること。吐く息をいかに意識するかが大切です。」と回答しています。

 生命活動の基本である「呼吸」を意識し、先人達の智恵の結晶である民間療法を上手に活用することで、いつまでも健康な心身を保ちたいものですね。

参考文献 五木寛之 帯津良一 著 「健康問答」(平凡社)

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