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【vol.43】おすぎの名画のすゝめ Scene.01


 こんにちは、おすぎです。

 今回から「ぶんぶん通信」に、私の大好きな映画のお話をさせていただくことになりました。

 3歳の時から映画を観始め、早六十数年・・・。と、年齢のことはさて置きまして(笑)、さっそく本題に入っていきたいと思います。

 皆さん、モノクロ映画って観ます?

 私がもの心ついた時には、カラーの映画も既にありましたが、まだまだ主流は「モノクロ」。カラー映画のポスターには「総天然色!!」って、大きく書いてあったくらいです。時代を感じる、ですって?余計なお世話よ(笑)。

 私は「モノクロ映画」って、本当に美しいと思うのね。というのは「自分だったら、どんな色を想像するか」っていう楽しみがあるじゃない。想像の世界でその映画の奥行きをイメージできる、っていうところが凄くいいと思うんです。

 最近の若い人たちは「モノクロ映画を観ない」っていう話を聞いたことがあります。何か「損をしたみたいな気がする」っていうのね。な〜にをバカなこと言ってんの!!そんなこと言ったら、名だたる名画の数々が全然観られないじゃない。自分の好きな色を想像できる、っていう楽しみがわからないのねぇ・・・。

 モノクロ映画の時代は、映画が唯一の娯楽と言ってもいいほどだったから、制作する側も気合いの入った人たちが多くて、そのぶん名作もたくさんあるわけです。

 いい映画は、心を豊かにしてくれます。心が豊かになると、身体にも良い影響が出ると思います。すると、私のように「お若いですねぇ」と驚かれます(笑)。

 これからの「ぶんぶん通信」で、毎回何本かの名作を紹介させていただきますので、心豊かな生活のお役に立てていただけたら幸いです。

「天井桟敷の人々」


1945年公開(1952年日本公開)フランス映画 監督:マルセル・カルネ

顔を真っ白に塗った道化師が女優に恋をする話なんだけど、日本人は「パントマイム」という芸を、たぶんこの映画で初めて知ったんじゃないかしら。

 この映画が製作された1942年頃は、ナチスがフランスを占領していた時代。「占領はしているけれど、私たちはこんなに寛容で、これだけの大作を撮ってもらう余裕があるんだ」ということをアピールするために、3年以上の歳月をかけて作られた作品とも言われています。

 世界中の映画ジャーナリストや評論家たちを集めて「生涯もっとも素晴らしい作品は何か?」という品評会みたいなのが1980年頃まで行われていたんだけど、第1位はいつもこの作品。

占領下、フランスという国がドイツに強いられて作ったような、けっして恵まれているとは言えない状況の中で、これだけ凄いドラマを持った、確実に映画史上に残る作品を撮れたということは、もう奇跡に近いんじゃないでしょうか。

 パリの大通りを、たくさんの人たちが埋め尽くすパレードのラストシーンでは、感動と共に作品中の数々の名シーンが思い出されて、素敵な余韻を楽しむことができます!!

「第三の男」


1949年公開(1952年日本公開)イギリス映画 監督:キャロル・リード
 
 さっきの続きじゃないけど、モノクロ映画じゃなきゃ表現できないものってやっぱりあると思うのね。

 この作品は「光と影」を効果的に使ってみせた、まさにモノクロ映画を代表
する本当に素晴らしい作品。サスペンスだから、逃げたり追っかけたりというシーンが多いんだけど、追う方も追われる方も影で表現しているから、モノクロの良さがよけいに引き立つんです。

 撮影の舞台になったオーストリアのウィーンに行くと、今でもロケ地を巡るコースが大人気のツアーになっているほど。やっぱり、名作は色褪せないんですねぇ。

「汚れなき悪戯」


1955年公開 スペイン映画 監督:ラディスラオ・バハダ ヴァイダー・ラースロー

 ♪マルセリーノ、マルセリーノ・・・♪
っていうテーマ曲は、当時一世を風靡したから知っている人も多いんじゃないかしら。

 3人の修道士がスペインの小さな町にやって来て、廃墟だった建物を何とか再建するところから物語は始まります。

 修道士の仲間もだんだん増えてきたある日、修道院の前に一人の赤ん坊が置かれていたので、皆びっくり。一生懸命その子の親を探して歩くんだけど、すでに亡くなっていて、けっきょく修道士全員で育てることになるわけ。皆からとっても可愛がられて、その子はスクスクと育ちます。

 その後、5歳くらいになった男の子は「絶対に入っちゃいけない」と言われていた屋根裏部屋で、十字架にかかったイエス・キリスト像と対面するんだけど、ここから凄い物語が展開していくのね。・・・って、もうこれ以上言っちゃうとつまんないから止めます(笑)。

 とにかく、ファンタジーに富んでいる作品です!! 

おすすめの新着映画「戦火の馬」

 試写会で「本当に素晴らしい!!」と思った作品です。
時代は第一次世界大戦の直前で、とっても不安定な時代背景の中、イギリスの農村で一頭の馬と一人の少年が出会うのね。二人(?)はとても強い絆で結ばれるんだけど、開戦によって離れ離れに・・・。その後ジョーイという名のこの馬は、時代に翻弄されながらも出会いと別れを繰り返して、様々な物語を紡いでいくんです。
スピルバーグ監督が「馬がいかに表情豊かに感情を伝えることができるかということに、本当に驚かされた」と言っているくらい、馬の演技が本当に素晴らしい!! 過酷な運命を乗り越えていくジョーイの純粋な姿に心打たれる、この春最高の感動作です。

プロフィール・映画評論家 おすぎ


1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。

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