Vol.098 06月 予防医学という考え方
暖かい日が増えてきましたね。この季節に多くなる屋外での行事を存分に楽しむためにも、心身はいつも健康でありたいものです。
今月も身近な健康のヒントをご紹介します。
「予防医学」という考え方
健康な心身を保つためにもっとも重要なことは、「病気にならないこと」です。えっ、当たり前ですか?(笑)でも、そうとはわかっていながら、病気にならない人はほとんどいませんね。
「生・病・老・死」は、人間である以上さけられないものですが、このうちの「病」だけは、日常のちょっとした心構えである程度防ぐことが可能です。
病気にならないような生活習慣を心がけながら「病になる前(未病)の段階で防ぐ」という考え方を「予防医学」といいます。
長寿者の睡眠時間
この「予防医学」という観点から、大規模な臨床試験をおこなったデータが世界中にたくさんあります。このデータをまとめると、健康で長生きをしている人たちがどんな生活をしているのかが見えてきます。
例えば「睡眠時間」。元気で長生きをしている人たちの平均睡眠時間ってどのくらいだと思いますか?・・・正解は6~7時間。8時間睡眠が身体にいい、と言われていた時代もあったようですが、実際はもっと短くても良かったんですね。もちろん個人の体質や環境などにも影響されることなので、あくまでも目安の数字として覚えておいていただけたらと思います。
ちなみに夜10時から朝方の2時までは、健康ホルモン(焼き肉ではありませんよ)が分泌されるという睡眠のゴールデンタイム!!なるべくこの時間帯に睡眠時間を合わせられたら理想的ですね。このホルモンは別名「美容ホルモン」とも呼ばれていますので、お肌の健康のためにもお勧めです。
ガンの9大原因とは?
700万人という膨大な人数を対象にして、ガンの原因を調査した大規模な臨床試験がアメリカでおこなわれました。
原因のワースト9は次のとおりです。
1位 タバコ
2位 野菜や果物の摂取不足
3位 塩分の摂り過ぎ
4位 ウィルス
5位 運動不足
6位 肥満
7位 アルコール
8位 空気汚染
9位 レントゲン検査や薬の副作用
昔から「身体に良い」とされていることは、ガン予防にも効果的だった、ということがわかります。
ちなみに遺伝することが証明されているガンは全体の5%にも満たないそうですから、生活習慣に気をつけることでほとんどのガンが予防できることになりますね。
運動の効用
イギリスで2万人の健康な人たちを対象にした実験がおこなわれました。
「仕事がデスクワークで、日頃特に運動もしていない」という人たちから「職業的に重労働に従事しているか、または毎日1時間以上運動している」という人までを運動量によって4つのグループに分け、8年間にわたって死亡率を調査したところ、運動量が多いほど死亡率が低くなることがわかりました。運動量がもっとも多いグループは、最も少ない人たちに比べて男女とも死亡率が約3分の2になっていたそうです。
ただし過激な運動は逆に身体に負担がかかりますし、怪我の心配もあります。
ウォーキングやストレッチ、プールでの運動など、自分のペースに合わせて調整ができるものを、無理せず続けること。
「継続は力なり」は、健康のコツでもあるのです。
参考文献 日本経済新聞「ほどほど健康術」 新潟大学教授 岡田正彦氏