【vol.16】鳴海周平の全国ぶらり旅｜札幌編

冬の北海道は厳しい寒さの中にも、たくさんの楽しみを見つけることが出来ます。
１１月の下旬から師走にかけて行なわれるイルミネーションなどのクリスマスイベントもそのひとつ。
今回のぶらり旅はクリスマスイベントで有名な２つの会場を訪れてみました。

「今年は暖冬だっていうけど、やっぱり寒いねぇ！」と思いながら、札幌市大通りを歩いていた私の耳に「あそこの会場のホットワインは最高だよねー。」と、通りすがりの人たちの会話が飛び込んできました。

「えっ！ホットワイン！？」これはからだが温まりそうじゃないですか、と早速会場へ向かいました。

　その会場とはミュンヘン・クリスマス市。大通りのホワイトイルミネーション会場の西２丁目にありました。

　ドイツのミュンヘン市は、盛大なクリスマスイベントが開催されることでも有名なところ。札幌市では２００２年に、姉妹提携３０周年を記念して「ミュンヘン・クリスマス市　in　Sapporo」を開催し、今年で３回目を迎えます。

「寒いでしょー。どうぞ休んでいってくださいね。」
そういって優しく声をかけてくださったのは札幌市で国際交流員として働いているドイツ人のセバスティアン・ノワックさん。買ったばかりの美味しいホットワインとドイツのお菓子をいただきながら、ノワックさんにドイツのクリスマスのお話しを伺いました。

　「クリスマスというのは、ドイツ人にとってとても大切な行事なんです。日本でいうとお正月みたいな感じかな。２５日の第１クリスマスと２６日の第２クリスマスは、ほとんどのところがお休みになって、家族でゆっくり静かな時間を過ごすんです。２４日のクリスマスイブも家族で楽しく過ごしますが、日本では恋人同士のお祭りのような感じですよね。プレゼントの習慣ですか？ありますよ。家族でお互いに交換したりしますが、子供の頃は父がサンタクロースの格好をしてプレゼントを届けてくれました。どっかで見たことのある顔だなぁ、と思いながらも、とても嬉しかったことを思い出します。日本にはありませんが、アドベントカレンダーというのもあります。これは１２月１日から２４日までの日付が書かれた紙をクリスマスまで１枚ずつはがしていくのですが、残りの枚数が少なくなるにつれてワクワクしてくるんですね。ドイツの各都市では、この会場のようなクリスマス市が開かれていて、ホットワインやローストビーフ、焼き菓子、工芸品などが並びます。そんな雰囲気をこの札幌市で実現出来たことは本当に素晴らしいことですね。」

　ノワックさんに案内していただきながら、会場内のブースをひとまわりしました。今年は工芸品やクリスマス飾り、ソーセージ、ドイツ菓子、ホットワインのお店など２７ブースもの出店があり、うち３分の２はドイツからということでした。

　「札幌市とミュンヘン市の親交を深めるためにもとても良いイベントだと思います。買い物のやりとりだけではなく、お店の人に気軽に声をかけて、ドイツのクリスマスのことなども聞いてみてほしいですね。」

　ノワックさんのお話しとホットワインで、こころもからだもすっかり温かくなりました。
「札幌で１番大きなツリーは、やっぱりファクトリーにあるジャンボツリーでしょ。」
またまた、そんな話しを小耳に挟んでしまった私は、早速サッポロファクトリーへ向かいました。
「これはデカイ！」

　全長１６メートル、重さ３トンという巨大なトドマツに、クリスマスの飾り付けを施したジャンボツリーは圧巻です。

「でも、こんな大きな木をどうやって運んできたんだろう？」

興味津々で質問をしたところ、広報担当の研谷さんとグループリーダーの大津さんから、お話しを伺うことが出来ました。

「このツリーは、毎年広尾町のサンタランドから贈っていただくんですよ。10月に搬入、設置をするんですが、これだけの大きさですからね。業者の皆さんにご協力いただいて、徹夜の作業になります。これがその時の写真ですけどね。」

撮影開始が２１時過ぎ、撮影終了が翌朝７時ころ。確かに徹夜の作業です。
「このイベントも今年で１２回目です。ここサッポロファクトリーが出来た年からの行事ですからね。屋内になったのは１９９７年から。改装で新しく出来たイベント広場で、お客様が喜んでくれるような企画をしたかったんです。作業は毎年たいへんですが、このツリーを嬉しそうに見てくれる皆さんを見ると、やって良かったなー、って思いますね。」

　各地で行なわれているクリスマスイベントは、私たちに大きな「感激・感動」を与えてくれます。
こうした「感激・感動」は、関係者の皆さんの「皆さんに喜んでもらいたい」という熱い想いの結晶でもあります。

　寒い冬のぶらり旅も、こうした熱い想いをもった皆さんとの出会いのおかげで、ポカポカ気分の旅になりました。