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Vol.238 2月 なんでも「ほどほど」が、ちょうどいい


なんでも「ほどほど」が、ちょうどいい

 このコーナーでも何度か紹介したことがある『養生訓』。江戸時代の儒学者・貝原益軒さんが書いたこの本は、なんと300年も読み継がれている超ロングセラーです。
 健幸・長寿を自ら体現した益軒さんの「健幸のコツ」を、あらためて学んでみたいと思います。

健幸のコツは偏らないこと

「養生の道は、中を守るべし。中を守るとは過不足のないことをいう」(巻第二の42)

 貝原益軒さんの『養生訓』で、よく登場する言葉に「中を守る」があります。
 これは、冒頭の原文にもあるように過不足のないことで「ほどほど」や「中庸」とも表現できそうです。
 たとえば、食事については「空腹は避けるが、食べ過ぎはだめ」と述べていて、そうした「中を守る」考え方は「生活全般におけるすべてのことに当てはまる」としています。

「凡の事十分によからんことを求むれば、わが心のわづらひとなりて楽なし。禍も是よりおこる」(巻第二の36)
「日用の飲食、衣服、器物、家居、草木の品々も、皆美をこのむべからず。いささかよければ事たりぬ」(同)

 すべてのことに完璧であろうとしたら、自分の心の負担になって楽しくないし、不幸もここから起こる。だから、日常生活でも、飲食や衣服、住居などに完璧な美しさを求めない(中を守る)ほうが、氣持ちも楽でいられるというわけです。
 なにごとも「完璧にこだわらない(偏らない)」ことが、健幸のコツでもあるんですね。
 

こだわらなければ、いい加減になる

「十分によからん事を好むべからず。是皆、わが氣を養ふ工夫なり」(同)

 完璧を求めないことが養生になる、という益軒さんの言葉について、医学博士の帯津良一先生は自らの体験から次のように述べています。

 氣功をやる場合でも、動きや形に完全さを求める真面目な人と、それほど形にこだわらない人がいます。完全を求める人は氣功の練習に余念がなく、細かい動きまで神経を使っています。一方、こだわらない人はそれほど練習に熱心ではありません。ところが、こだわらない人の方が形はともかく、氣功の真髄である内なるエネルギーを高めることが自然にできていることがあります。完全を求める人は形にとらわれて、氣功の大きな世界が見えていないこともあり得るのです。
 氣功に限らず完全を求める人は、様々な健康法に詳しく、サプリメントもまめに利用します。こだわらない人は健康法には無頓着で、好き勝手な食生活だったりします。ところが結果的に、こだわらない人の方が元氣なこともあります。こだわらない人は余計な重荷を負わずに、良質な心の負担を持つことによって、自然治癒力を高めているのだと思います。
 『貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意』帯津良一 著(朝日新聞出版)より

 
 完璧へのこだわりが少なくなるほど、いい加減(ほどよい加減)に落ち着くんですね。
 なにごとも「ほどほど」がいいということでしょう。
 ただ、「完璧なほどほど」を目指そうとすると本末転倒になるのでご注意ください(笑)

 
参考文献
『養生訓』 貝原益軒
 
 

 

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