Vol.235 11月 養生訓的「ご飯を食べるタイミング」
養生訓的「ご飯を食べるタイミング」
このコーナーでも何度か紹介したことがある『養生訓』。江戸時代の儒学者・貝原益軒さんが書いたこの本は、なんと300年も読み継がれている超ロングセラーです。
健幸・長寿を自ら体現した益軒さんの「健幸のコツ」を、あらためて学んでみたいと思います。
からだによい「食事のベストタイミング」は?
「朝食いまだ消化せずんば、昼食すべからず。点心などくらふべからず。昼食いまだ消化せずんば、夜食すべからず」(巻第三の27)
このテーマへの貝原益軒さんの回答です。
朝ご飯を食べてから、まだお腹が空いていない(消化していない)うちは昼ご飯は食べないほうがいいし、昼ご飯を食べてからもお腹が空くまでは晩ご飯を食べないほうがいい、と言っているんですね。点心というのは、間食や軽食、おやつのようなイメージだと思います。
お腹が空いていないのに「時間だから」とか「つい習慣で」という理由で食べてしまうことを、益軒さんは戒めているわけです。
ホリスティック医学の第一人者である医師の帯津良一先生の一日の食事は「朝はコーヒーとこんぶ茶だけ。昼は忙しいので麺類やオムライスなどの一皿もの。夜はお酒を飲みながらゆっくりと時間をかけて楽しみますが、朝と昼は義理で食べているようなもの(笑)」とのこと。僕の場合も、朝はトマトか果物を少しとアーモンド数粒、昼はゴマやきな粉などを混ぜたヨーグルトと小さなパン1つ(よくモデルみたいって言われます 笑)。朝と昼が少ないぶん、夜はふつうにいただく(おやつ付き!)という食事スタイル。出張先では朝昼兼用でブランチを楽しんだりしますが、帯津先生と同じく朝昼食は軽めのことがほとんどです。
ただ、一概にこうした食事スタイルがよいということではなく、年齢や体質、生活リズムなどによって、健幸的な食事の量や回数も変わってくるでしょう。
たいせつなのは、からだの声を素直に聴くこと。つまり、「ご飯は、お腹が空いてから食べる」ことが、その人にとっての「食事のベストタイミング」ということになります。
益軒さんオススメ「食後の健幸習慣」
「時々身をうごかして、氣をめぐらすべし。ことに食後には、必数百歩、歩行すべし」(巻第一の5)
益軒さんは、ご飯を食べたあと「数百歩、歩くとよい」と言っています。
僕も『養生訓』を読んでから「食後の散歩」を始めました。もう二十年ほど続いているのは、からだが喜んでいる何よりの証拠。なんとも言えない心地よさがあるんですよね。
「血糖値がピークになる食後30分から1時間ほどのタイミングでからだを動かすと血糖値が10〜15%下がる」という研究結果もあります。
食後に数百歩(数分)歩く習慣には、糖尿病などの生活習慣病を予防・改善する効果もあるようです。
参考
『養生訓』 貝原益軒
『貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意』
帯津良一著(朝日新聞出版)