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【vol.27】鳴海周平の全国ぶらり旅|北海道 三笠市編


 札幌から車で約1時間。北海道空知地方の南部にある三笠市は、石炭と鉄道の発祥地として栄えてきた歴史をもっています。森と湖という豊かな自然に恵まれた三笠市を訪れました。

 今から1億数千年前の地球がどんな状態だったのか、そんな疑問に多くのヒントを与えてくれるものに「化石」があります。「化石」を調べることで、はるか昔の生態系などの貴重な情報を検証する事が出来るため、特別な意味を持つ歴史の資料として、とても重要な意味を持っているんですね。

 こうした学術的に高い価値を持つ、アンモナイトやキョウリュウなどの化石が数多く産出され、地質学的にもたいへん貴重な地域とされているのが、北海道空知地方に位置する三笠市です。

 三笠市の現在の人口は約1万2千人。かつて炭鉱が最も栄えた当時には6万人を越える人たちが暮らしていたそうです。
「三笠に来たら『エゾミカサリュウの化石』見て行かなきゃダメでしょう!」と、地元の方に薦められ、早速「三笠市立博物館」を訪れました。

「こんにちは。ちょうど今『化石のクリーニング』について説明をするところでした。よろしければ一緒にいかがですか?」

 そう言って温かく迎えてくれたのは、博物館化石部会の藤原寛一会長でした。

「あの、初歩的な質問で申し訳ないのですが、クリーニングっていうと、洗うということでしょうか?例えば、ドライクリーニングとか?」

「(笑)いえいえ、そうではないんですよ。化石は岩と一緒になっている場合が多いので、岩を取り除いて化石の姿を出していく作業を、クリーニングと言うんですよ。たがねとハンマーを使って少しずつ取り除いていくと、ほら、形が出てきたでしょう。」

 どうやら側にあったたくさんの岩の塊は、クリーニング前の化石だったようです。いっぽうクリーニングを終えた化石は、貝などの形がはっきりと現れています。

「三笠市は、日本一のアンモナイト化石量を誇っています。また、国の天然記念物に指定されているエゾミカサリュウなどの化石が発見されたのも、ここ三笠市なんですよ。世界的にも貴重な化石が1000点以上展示されているので、この博物館は『化石の博物館』とも言われているんです。」

 館内には大小様々なアンモナイトや、骨の化石など、驚くほど充実した貴重な化石の数々が、わかりやすい説明と一緒に展示されています。

「本当に充実した展示内容ですね。これだけの展示物を収集するには、たいへんなご苦労もあったかと思いますが、藤原さんが化石に興味をもったのは何かきっかけがあったのですか?」

「私が化石に興味を持ち出したのは高校生の時です。ちょうどその頃三笠市に大きなダムが造られることになりましてね。近辺に眠っている多くの化石も一緒に水没してしまう恐れがあったんですよ。そこで高校の先生が皆に呼びかけて『化石掘り』が始まったんです。ダムが出来る前に掘り出さなくちゃいけないでしょ。皆、勉強よりも頑張って掘りましたよ(笑)。それであっという間に教室2つがいっぱいになるくらい集まっちゃったんです。本当に凄い量でした。あれから約50年経ちますが、仕事をしながらずっと化石に携わって来ました。数年前に定年退職してからは、のんびり自分のペースで楽しませて貰っています。こうして子供達に化石のことを話していると、化石に興味を持ちだした当時の事を思い出しますね。

 1億数千年前という、気が遠くなるような時間の旅を、化石たちは私たちに体験させてくれます。夢とロマンが感じられる、とても素敵なことだと思いませんか?」

 学生時代の感動をそのまま持ち続け、熱い想いを語ってくれた藤原さんの姿そのものにも、大きな夢とロマンを感じました。

「ところで鳴海さん、三笠市は『北海盆唄』発祥の地でもあることをご存知ですか?ちょうど今晩、中央公園で仮装盆踊り大会がありますから覘いてみてはいかがですか?」

 藤原さんに薦められるまま、午後8時ごろ中央公園を訪れてみました。すると、何とそこには、桃太郎やイヌ、サル、キジ、ゲゲゲの鬼太郎やねずみ男、ねこ娘、目玉の親父、妖精たちや千手観音といった多彩な顔ぶれがいっせいに盆踊りを踊っていました。

 北海盆踊りでは必ず唄われる民謡「北海盆唄」は、三笠市が発祥の地と言われています。

 炭鉱街として華やかだった頃には、三笠市内の各地で規模の大きな盆踊り大会が行われていたそうですが、現在でも3日間で延べ1万4千人もの参加者があるということですから、活気はそのまま継承されているようです。

 今年も全国各地からたくさんの盆踊りファンが訪れていました。

 北海盆唄や鉄道、石炭の発祥の地として知られる三笠市。豊かな自然と温かい人間性に溢れた、とても素敵な街でした。

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