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Vol.203 3月 心穏やかな時間をつくる脳活法 その4


心穏やかな時間をつくる脳活法 その4

心がときめくと、脳も活性化します。今年82歳になった医学博士・帯津良一先生との対談から、その超人的な活動を支える「健脳のヒント」をご紹介します。

調心 〜 虚空を感じて生きる

帯津良一先生(以下、帯津) 前回は氣功の三要「調身・調息・調心」の調身と調息についてお話しました。
 最後の調心は、何かに集中できる心を準備するということです。徳川将軍家兵法指南役の柳生宗矩に「剣禅一致」を説いた沢庵和尚が『不動智神妙録』という本の中で書いているのですが、雑念を払って、心をどこにも置かない。遊ばせておく。そういった心境です。だから、無念無想ではないんです。

鳴海周平(以下、鳴海) 呼吸法をおこなっていると、あるタイミングで、とても氣持ちがよくなることがありますね。この時は、先生がおっしゃったような、心がどこにも引っかかっていない状態のように思います。

帯津 その時に、私たちは虚空とつながっていることを、無意識のうちにでも感じているんです。
「つながっている」という感覚は、健脳効果の高いセロトニンの分泌を促します。つながる対象は、人間でも、動物でも、植物でも、想像の中でもいいのですが、氣功の極意は、心をどこにも置かず、虚空、大宇宙とのつながりを感じることにあるのかもしれませんね。

鳴海 スケールの大きなつながりですね。
 
帯津 実際、氣功の達人クラスになると、虚空そのものと一体になっているようにも感じます。貝原益軒さんは『養生訓』の中で、「つねに天道をおそれて、つつしみしたがひ…」と、述べています。この「おそれて」は、「畏れて」の意味ではないかと思うんです。つまり、天道という人知の及ばない大宇宙の摂理に対して、敬いと慎みの氣持ちをもつ、ということです。やはり、大宇宙、虚空とのつながり方をあらわしているのではないでしょうか。

鳴海 『頭の体操』やゲームソフト『レイトン教授シリーズ』でも知られる多湖輝先生は、ご自身の著書で、「人間にとって最大の『発想転換』は『人間の卑小さを知ること』ではないか。これこそが、ある意味では最大の脳のリフレッシュになる」と、述べて、森や砂漠、満天の星をいただく夜空などの大自然に身を浸してみることの効用を説いています。

帯津 ああ、いいですね。私は、2年に1度、中国の内モンゴル自治区にあるホロンバイル高原に行きます。四方八方が見渡す限りの水平線で、まさに虚空そのものといったところです。ここで一度、太極拳を舞ってみたことがあるのですが、舞うほどに、自分が小さくなっていってしまう。その時、「ああ、そうか。氣功というのは、地に住む人が虚空と交流するためのものであって、虚空に住む人には必要のないものだったんだ」と思い至ったんです。まさに「人間の卑小さ」を感じた瞬間でしたね。虚空とのつながりを、からだ全体で実感しました。

鳴海 大自然の中に身を置くことで、そういった「発想の転換」が可能になるというのは、なんだか嬉しいですね。自然をとおして、虚空とのつながりを感じることは、健脳にもつながるでしょう。

人は死んだら虚空へ還る

鳴海 帯津先生は、よく「人は虚空から来て、虚空へ還る」と言いますが、「虚空」は、俗に言う「あの世」というふうに捉えてよいのでしょうか。

帯津 はい、同じ意味として私は使っています。人は、肉体的な死を迎えても、本質である「いのち」は永遠に生き続ける。そのいのち」の源泉が、虚空であるということです。可愛がってくれた小母さんが亡くなった時、私は自転車で病院に向かっていたのですが、おたまじゃくしのような光が、夜空を流れていったんです。直感的に、ああ、小母さんの人魂だなぁ、と思いました。函館に眠る小母さんのお墓参りに行った時にも、ご住職さんの読経中に、さあっと風が吹く、ということが何度もありました。その都度、ああ、また小母さんだなぁ、と思ったものです。こうしたことは、いのちが生き続けている証ですね。私が目指しているホリスティック医学の終極は、生と死の統合です。つまり、死んだ後の虚空までを視野に入れている。いのちが生き続けるということがわかったら、この世でやり遂げられなかったことがあっても、続きはあちらでやろうという氣になります(笑)。

鳴海 哲学者の池田明子さんは「池田は死ぬが私は死なない」と、自分の中に流れている永遠性のある存在を感じていたようですし、夏目漱石も門下生への手紙で「死んでも自分はある。しかも本来の自分には、死んで始めて還れるのだと考えている」と書いています。「からだ」は大地へ還って、「いのち」は虚空へ還る。死後の世界までが視野に入ってくると、これまで紹介した脳活法にも、ますます奥行きが感じられてきますね。

 
 

参考文献
「死ぬまでボケない 1分間“脳活”法」帯津良一・鳴海周平著(ワニ・プラス)
 

 

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