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【vol.64】辻和之先生の健康コーナー|「わかりやすい東洋医学講座」 第15回 東洋医学の基礎理論14 腎の不調


 
東洋医学の基礎理論⑭

腎の不調

  
 腎の不調は、生殖機能の異常や排泄異常、骨や目・耳に症状が現れやすいのが特徴です。生命力のもととされる腎に異常が現れると、成長や生殖機能に影響が及び、発育不全や生殖機能異常などが起こります。また腎の異常は、体全体の陰陽のバランスに影響することが多いため、全身に症状が現れやすいという特徴もあります。
 腎の不調は、①腎精不足、②腎気不固、③腎陰虚、④腎陽虚に分けられます。

1 腎精不足

 原因には、1)先天的に不足、2)栄養不足、3)慢性疾患、4)加齢があります。腎精不足の症状は、年齢によって様々です。乳幼児期であれば、成長と発育が遅れます。青年期(思春期)であれば、性腺の発育と成熟が障害されます。壮年期であれば、老化が早まり、性機能が減退し、滑精(知らぬ間に精液が漏れる)、早泄(早漏)、陽萎( インポテンツ)を来します。脳髄空虚となって、知能が低下したり、動作が緩慢になったり、両下肢の力も弱まります。

2 腎気不固

 腎の精気が不足して固摂(こせつ:漏れ出ないように引き締めること)の機能が失われる病態です。原因は、1)幼小児期で精気が未成熟、2)過度の性生活による腎気の損傷、3)慢性疾患による腎気の減少、4)加齢による腎精の衰弱などが原因となります。症状は、腎気不固により腎の封蔵(貯蔵)の機能が失われて、遺精(夢精など)、滑精(自然と精液が漏れ出る)、早泄(早漏)を来たし、二便を固摂する機能が失調すると、遺尿(寝小便)、失禁、排尿後の余瀝(よれき:排尿後にもダラダラと尿が出る)などを生じ、腎の納気作用が失調する(息を吸い込む力が弱くなる)と、軽い労作でも息切れを生じるようになります。

 ③腎陰虚、④腎陽虚については、次号にて説明したいと思います。
 

プロフィール

医療法人和漢全人会花月クリニック
日本東洋医学会専門医
医学博士 辻 和之

昭和26年 北海道江差町に生まれる
昭和50年 千葉大学薬学部卒業
昭和57年 旭川医科大学卒業
平成 4年 医学博士取得
平成10年 新十津川で医療法人和漢全人会花月クリニック開設

日本東洋医学会 専門医
日本糖尿病学会 専門医
日本内科学会  認定医
日本内視鏡学会 認定医

 

 

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