Vol.178 2月 体温を感じるものと触れ合うと幸せホルモンが分泌される
たったの1分で、誰もが健康になれる!
しかも、とても簡単で、よく効く「1分間でできる健康法」を紹介します。
今月の1分間健康法
体温を感じるものと触れ合うと幸せホルモンが分泌される
〈主な効果〉
氣持ちが落ち着く・安らぐ 血圧が安定する 認知症の予防・改善
〈特にこんな人へオススメ〉
朝までぐっすり眠りたい 胃腸を調えたい
ストレスを感じやすい なんとなく情緒が不安定
元氣が出ない やる氣が出ない 氣分が晴れない
つながっていることの大切さ
「病気(illness)のスペルの中のiの字はisolation(孤立)を意味し、健康であること(wellness)の中のいちばん大事な字はwe(私たち)である」
人が誰か(なにか)とつながっていることのたいせつさを表した古いことわざとして、心臓専門医のミミ・ガルネリ氏が紹介したものです。
イギリスの人類学者アシュレイ・モンターギュ氏も「皮膚はからだでもっとも大きな感覚器官である」と、今から40年以上も前にスキンシップの重要性を説いています。
賢人たちの説く、こうした「触れ合い」の効用は、オキシトシンという神経物質のはたらきによるもの。別名「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」などと呼ばれ、他者と触れ合ったときや、精神的なつながりを感じたときなどに分泌される神経物質です。
握手やマッサージ、ハグ(抱擁)のようなからだの触れ合い、親切にしたりされたりすることでのこころの触れ合いが、からだとこころによい影響を与えるということですね。
「触れ合い」の効用
米ウィスコンシン大学では、スピーチコンテストの開催にあたり、7〜12歳の出場者61名をA、B、C3つのグループに分けて、ストレスホルモンの分泌量を測定しました。
Aは、スピーチ前に母親から抱擁などのスキンシップを受けたグループ。
Bは、スピーチ前に母親から励ましの電話をもらったグループ。
Cは、母親との接触がいっさいなかったグループ。
スピーチのあとは、どのグループにもストレスホルモンの分泌が確認されましたが、Aグループは30分後、Bグループは1時間後に正常値となり、Cグループだけが1時間を過ぎても正常値より30%高い状態だったそうです。
さらに注目を集めたのは、幸せホルモン「オキシトシン」の分泌量。
もっとも分泌が多かったのはAグループで、次がBグループ。Cグループだけは分泌が確認されなかった、という結果が出たのです。母親との接触度合いが、そのままオキシトシン分泌量の差となって表れたといえるでしょう。
また、オハイオ州立大学では、同じえさを与えたウサギでも、毎日撫でられていたウサギは動脈硬化の発症率が60%も低かったと報告しています。
健康にもよい影響を与えてくれる幸せホルモン「オキシトシン」は、触れ合いによって分泌されるのです。
幸せホルモンの分泌を促す方法
① 他者とのスキンシップ
日本ではあまり一般的ではありませんが、欧米のハグ(抱擁)や握手といった習慣にはオキシトシンの分泌量を増やす効果があります。
他者に触れてもらうマッサージでも同じ効果が確認されています。
② 親切にしたり、されたりする
相手を思いやる氣持ちを持つことや、じっさいに親切な行為をおこなうこと、さらに親切にされて感動した人にも、オキシトシンは分泌します。
まさに「情けは人のためならず」ですね。
③ ペットと触れ合う
犬や猫などのペットを撫でたり、一緒に遊んだりすると、飼い主もペットもオキシトシンが分泌されます。また、植物の世話をすることでも同様の効果があります。
動物でも植物でも、他者とつながることは、健康によいのです。
脳には「ミラーニューロン」という神経細胞があります。
これはその名のとおり、他者の行動が鏡に映ったかのように、我が身で感じられること。
つまり、誰かに対する親切なおこないは、相手の喜びを映し出す鏡のように、自分にも還ってくるのです。
2人でおこなう手のひらマッサージ
①相手に片方の手のひらを広げてもらいます。
②開いた方の親指と人差し指の間、薬指と小指の間に、自分の両手の薬指と小指の間を縦にした状態で差し込みます。
③そのまま両手で包み込むようにして、親指を使って相手の手のひら全体をやさしく揉みほぐします。
片手につき1分、両手で2分が目安ですが、時間があったら長くおこなってもOK。終わったら交替しましょう。
一人でおこなうときは、自分の手とコミュニケーションをとっている氣持ちで。
「いつもありがとうね」と、手を労わる氣持ちでおこなうと、幸せホルモンが分泌されますよ。
参考文献
「医者いらずになる 1分間健康法」帯津良一・鳴海周平著(ワニ・プラス)