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【vol.54】おすぎの名画のすゝめ  Scene.12



 
 こんにちは。おすぎです。
 早いもので、芸能界に入って今年で40年。最近ちょっと、テレビ番組の劣化が気になっています。
 例えば、昔は同じタレントが同じ時間帯の他局番組に出ているなんてもってのほかだったけど、今は、そんなのあまり関係無し。どこの局をまわしても、同じお笑いタレントばかりが出ていて、同じような内容の番組ってなんだかおかしいでしょう?
 それでこの間、ピーコと一緒に阿川佐和子の番組に出て、最近のテレビについて、思いっきり文句を言ってやったのよ( 笑)。プロデューサーたちにも「いい加減にしろ!! 」って。30分番組で1時間15分もしゃべっちゃったからきっと大半はカットされるだろうけど(笑)、やっぱり言いたいことは言っておかなくちゃね。
 東京のキー局のそんなやり方に嫌気がさして、今は福岡と大分、名古屋を中心にレギュラーを持たせてもらってるんだけど、地方局は限られた時間と予算の中で、いかに有効にタレントを使い、いかによい番組を作るか、という姿勢が素晴らしいと思うのね。
 影響力の大きな「テレビ」という媒体だからこそ、もっと質の高い番組づくりを心がけてほしい、と切に願うのであります。
 ということで、今回ご紹介する作品は、すべて質の高い映画。(笑)
 アカデミー作品賞を獲得した作品ばかりで、大物役者たちの競演が素晴らしい!
 物語の展開の面白さも「さすが!!」という逸品ばかりです。
  

「普通の人々」

1980年公開 アメリカ映画 監督:ロバート・レッドフォード

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 シカゴ郊外の高級住宅街に住む、ある弁護士一家の物語。
 秀才でスポーツ万能の兄・バックは弟のコンラッド(ティモシー・ハットン)と一緒にボートで遠出をした際、転覆事故で亡くなってしまいます。
 ショックで自殺未遂を起こすコンラッド。そして、バックを溺愛していた母ベス(メアリー・タイラー・ムーア)もその日以来、コンラッドに冷たくあたるようになり、それまで平穏だった家庭が、徐々に崩壊へと向かって行ってしまうのであります。
 有能な弁護士であり、ベスとコンラッドの仲を何とか取り持とうとする父・カルヴィンの苦悩を、ドナルド・サザーランドが見事に演じています。
 これが初の監督作品となったロバート・レッドフォードの手腕も素晴らしい!!
 当時のアメリカが抱えていた社会問題を見事に表現した作品です。
 

「ドライビング・ミス・デイジー」

1989年公開 アメリカ映画 監督:ブルース・ベレスフォード

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 もともと北米だけで限定公開されたものが大ヒットを記録して、1989年度のアカデミー賞で作品賞、主演女優賞、脚色賞、メイクアップ賞の4部
門で受賞を果たした作品。
 舞台は1948年のアメリカ・ジョージア州アトランタ。
 買い物に出かけようと車に乗り込んだ老婦人デイジー(ジェシカ・ダンディ)は、運転を誤って垣根に突っ込んでしまいます。それを知った息子のブーリー(ダン・エイクロイド)は、初老の黒人男性ホーク(モーガン・フリーマン)を雇い、母の元へ運転手として送り込みますが、意固地なデイジーは、なかなか彼を受け入れようとしません。
 しかしそんな彼女も、真面目で正直な彼の人柄に、だんだんと心を許していきます。
 一部の地域では、まだ人種差別が容認されていたこの時代。キング牧師が説教するシーンも登場するなど、社会的な問題にも触れながら、25年という歳月を通して2人の友情が深まっていく様子を見事に描いているのであります。
 

「許されざる者」

1992年公開 アメリカ映画 監督:クリント・イーストウッド

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 1881年のアメリカ・ワイオミングの酒場で、娼婦の態度に腹を立てた客が、ナイフでその娼婦の顔を切りつけ保安官に取り押さえられます。「酒場の主人へ馬7頭引き渡すことで一件落着」とした保安官の裁定に不満をもった娼婦らは、この2人の客の首に1000ドルという懸賞金をかけ、その噂はあっという間に、カンザスの田舎で農夫をしていたウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)の耳へも届きます。
 マニーは、その昔、列車強盗や保安官殺しなどで名を馳せた伝説の悪党でしたが、11年前に妻と出会ってからは、すっかり改心していたのでした。
しかし、3年前に妻が他界、残された2人の子と貧困に喘いでいたマニーは子供達の将来のことを想い、この賞金に心が動きます。かつての仲間と共に娼婦たちのいる街へ乗り込んだマニーらを待ち受ける運命とは・・・。
 クリント・イーストウッドは「この作品を最後に、監督を兼ねた出演は辞める」と言いながら、この後も『ミリオンダラー・ベイビー』などの名作を次々と世に送り出しているんだから、たいしたものよね。
 一癖も二癖もある俳優たちを、上手にまとめ込んでいく手腕もさすが!!
 雷雨の中のラストシーンも素晴らしいです。
 
 

おすすめの新着映画 「幸せをつかむ歌」

監督:ジョナサン・デミ
原題:RICKI AND THE FLASH 
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
3/19よりディノスシネマズ札幌劇場にて公開中 ※劇場によって公開日が異なります。
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 ロックスターになる夢を捨てきれず、家族を捨てて行ったリッキー(メリル・ストリープ)と、そんな母親を軽蔑する娘のジュリー(メイミー・ガマー)。
 離婚して傷ついている娘を励ますため、20年ぶりの再会を果たしたリッキーは、疎遠になっていた娘との関係を改善しようと奮闘するのですが・・・。

 主演のメリル・ストリープには、これまで何度も驚かされてきました。
 ボートレースの選手役では、その力強い漕ぎ方に、バイオリニストの役では、その見事なバイオリン捌きに。そして、今回の作品では、オープニングからギターを弾きながらロックを歌います!!それが、あまりにも素晴らしくて、ずっと目を見開いたままだったわ(笑)。実の娘との初共演も注目です。
 

プロフィール・映画評論家 おすぎ


1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。
 
 

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