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【vol.54】こころとからだの健幸タイム|ゲスト 宮崎 ますみ さん~後編~


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 女優として、舞台や映画、テレビなどで幅広い活躍をしながら、「魂」という普遍的なテーマを探求してきた宮崎ますみさん。現在は、多次元的なアプローチによって、心と身体と魂に癒しをもたらす「ヒプノセラピスト」としても活躍しています。
 後編の今回は、ヒプノセラピーを通じての氣づきや「真の癒し」についてお話を伺いました。

 

ヒプノセラピーは、潜在意識下に働きかける癒しの手法

鳴海周平(以下 鳴海)
 こころとからだの健康について学んでいると、生活習慣や家庭環境、予防医学的な考え方までを視野に入れながら、魂の存在にまで言及する「ホリスティック医学」の大切さを実感します。
「ホリスティック医学」で重要なのは「人間を丸ごと診る」ことなので、ますみさんがおこなっている「ヒプノセラピー」のように、潜在意識下へ働きかけることで、現在の悩みの原因となっている「過去の出来ごとや想い」を癒すことは、とても大切だと思うんです。

宮崎ますみさん(以下 宮崎)
 おっしゃるとおり「真の癒し」のためには、人間を丸ごと診る「ホリスティックな視点」が必要ですよね。
 ヒプノセラピーのセッションに訪れる方の相談内容は、病気の悩みや幼少期のトラウマ、大切な人を亡くした心の傷を癒すためなど、じつにさまざまです。
 ところが、こうした悩みの原因の多くは、本人もふだん意識していない「潜在意識」にあることが多いので、なかなか氣づくことができません。
 ヒプノセラピーは、催眠状態の特性を活かして、潜在意識下にある問題の原因へとアクセスし、それをイメージや暗示を用いて解放していく方法です。

鳴海 「潜在意識」と、私たちがふだん認識できる「顕在意識」とは、よく氷山の例で説明されますね。海の表面から顔を出している部分が「顕在意識」で、海の下にある見えない部分が「潜在意識」。つまり、意識の90%以上は「潜在意識」ということになります。
 悩みの原因が、意識の大半を占める潜在意識にあるのだとしたら、ここへアプローチできるヒプノセラピーは、とても有効な手法ですね。

宮崎 人前で話をするのが苦手だ、という40代の男性が相談に来ました。
 脱サラをして、事業も拡大し、人前で話す機会がどんどん増えているにも関わらず、「変に思われているんじゃないか」とか「変な目で見られているんじゃないか」というコンプレックスがずっとあって困っている、と言うんです。
「その原因に、何か心当たりがありますか?」と訊いてみたら、「中学生の時に、『お前は目立つから』と、先輩にボコボコにやられたことじゃないかと思う」とおっしゃったのですが、中学生というと、顕在意識と潜在意識を分ける膜がもう出来上がっている年齢です。覚えていること、つまり顕在意識で思い出すことが出来るのは、せいぜいその頃の記憶なので、潜在意識下にある「本当の原因」ではない場合がほとんどなんですね。
 そこで、彼のコンプレックスの原因へとさかのぼってみることにしました。
 先ず、催眠状態に入って、最近大勢の前でしゃべっているシチュエーションに戻ってもらいます。

「大勢の前でお話をしているあなたは、今どんな氣持ちですか?」
「皆に変なふうに思われているんじゃないかとドキドキして、汗が噴き出しています」
「その氣持ちをどんどん強く感じていきます。そしてその感情、その全身の感覚を一番最初に体験した、その原因となる場面へ、今から10数えたら戻っていきましょう。
10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、スーッと入りました。今、どこにいますか?」
「家のリビングです。僕は幼稚園児です」
「そこで何が起きていますか?」
「お母さんが上履きを買ってきてくれました。でも、幼稚園で決められた上履きの色と違うので、僕は焦ってお母さんに言いました。お母さん、この色じゃないんだよ。本当は黄色なんだよ」

 お母さんはブルーの上履きを買ってきたのです。

「お母さんはそのときどういう反応をしたの?」
「上履きの色なんて何色だっていいじゃない。お母さんは忙しいのよ。あんたのために買ってきたんだから、これを履いていきなさい!」

 それで終わったのです。
 小さな頃にそんな剣幕で言われたら、誰でも萎縮してしまいますよね。
 反論も出来ないし、買い替えに行くことも出来ない。
 そして次の場面で、幼稚園の教室の扉の前にいて「この上履きの色だと、みんなに変な目で見られる。僕、入れない」と、ただ立ちすくむばかりだった自分を発見したんです。

鳴海 ヒプノセラピーでは、顕在意識もしっかり残っていますから「こんなことがあったのか」と、自分自身でも驚かれたでしょうね。

宮崎 相当、驚いていらっしゃいました。
 そしてここから、記憶を書き換えていく作業に入ります。
 いろいろな方法があるのですが、この時は「大人になった自分」をイメージの中に入れて、「このお兄ちゃんがあなたを助けに来てくれたよ。さあ、どうしてほしい?」と訊いてみました。すると、すぐに「新しい黄色の上履きに買い替えてほしい」という返事があったので「分かった、じゃあ今から一緒に買いに行こう」と、靴屋さんへ向かいました。皆と同じ色の上履きに買い替え、ニコニコして幼稚園の教室へ戻って、皆と仲良く遊び出したので、先ず一安心です。
 次に、問題の原因となっているお母さんとの場面に戻りました。
「お母さんのあの時の態度や言葉が、こういうコンプレックスにつながったんだ」と、当時は言えなかった言葉を、大人の自分が代弁します。この時に「人格交代」という手法で相手の潜在意識の中へ入り込むと、相手の氣持ちが分かるんです。
 お母さんは「ごめんなさい。そんなつもりはなかったのよ。そんなに傷ついていたなんて…これからはおまえの言うことにしっかり耳を傾けて、そんな態度は二度としないから、ごめんね」と、イメージの中で謝罪してくれました。
 その後、お母さんから「愛してる」という言葉と共に、ギューッと抱きしめてもらうことで、母子関係の再構築を身体感覚にも植え込んでいきました。
 こうして「記憶の書き換え」を終えた後、再び最初の「大勢の前でしゃべっている場面」に戻ります。すると、心臓がドキドキして手に汗握っていたにも関わらず、「ちっとも恐くないです!普通に堂々としゃべっている自分がいる」という状態に変化していたのです。

鳴海 相手の立場にも簡単に立ててしまうのが、潜在意識の凄いところですね。潜在意識下では皆がつながっているという「集合意識」の概念そのものだと思います。
 自分の感情を癒し、相手の感情も理解する。相手の視点からも、その時の状況や氣持ちをわかってあげることができるから、より深いところでの癒しが起こるのでしょうね。

前世の記憶をたどることでみえてくる「真の癒し」

鳴海 年齢をさかのぼって潜在意識の記憶を辿っていくと、前述のように幼少期が原因だった方もいれば、もっと前の胎児の頃に原因があったり、中には生まれる前の記憶まで思い出す方もいらっしゃるようですね。

宮崎 生まれる前の記憶は「前世」と呼ばれます。鳴海さんもお得意な分野だと思いますが(笑)、ヒプノセラピーをしていると、私たちは本来、あの世とこの世を行ったり来たりしている「魂の存在」であることに氣づかされます。
 前世の研究は19世紀の初頭から始まったと言われていて、1980年代にブライアン・L・ワイス博士やロジャー・ウルガー博士といった精神科医たちが著作として発表したことによって、世界中で認められるようになりました。
 鳴海さんも、退行催眠で前世を覗いてこられたんですよね。

鳴海  はい、ちょっとだけあちらに行ってきました(笑)。
 催眠状態でどんどん記憶をさかのぼっていくと、様々な時代で、いろいろなキャラクターを体験してきたことがわかります。
 地球や他の天体を舞台にして、その時々で「誰か」を演じている。そんな感覚でした。

宮崎 何度も生まれ変わってくる中で、強烈な体験をしたり、特別に強い想いを持ったりしたことは、後世において何らかの影響を与えることもあるようです。
 ヒプノセラピーでは、年齢退行催眠のように、記憶をどんどんさかのぼっていくことで、現在抱えている問題の原因がどこかの前世であったことを認識し、その時の感情を書き換えてあげる、ということもおこないます。
 ある女性の相談者は、アメリカの大工さんだった頃の前世を思い出しました。その人生では、高いところから落ちてしまい、鋭い木片が背中にグサッと刺さって死んでしまったそうです。このビジョンを見て以来、彼女は何十年も抱えていた肩甲骨の痛みがピタッとなくなりました。原因を思い出したことで、その時の感情が修正されたんですね。
 ただ、さまざまな前世の積み重ねが「魂の履歴」として刻まれていますから、問題の本質には多角的、多次元的に目を向けていく必要があります。自らの「魂の履歴」と向き合うことで、「真の癒し」が実感出来るんです。

鳴海 ヒプノセラピーが素晴らしいのは、催眠状態の中で、自らが原因を認識し、自らの意志で癒されることが出来る、というところだと思います。

宮崎 私も、そこが大好きなんです(笑)。第三者の誰かから「あなたは○○でしたね」とか「あなたのガイドはこう言ってますよ」と教えてもらうこともいいですが、自分の内側から湧き出た感覚を、自らの五感で受け取った情報は、より深く納得が出来ますよね。
「自己の内にこそ宇宙があり、英知がある」そして「永遠の愛も、神も、自らの内に存在する」という実感は、何ものにも代え難い宝物になるでしょう。

今世の「地球観光ツアー」を思いっきり満喫しよう

宮崎 ヒプノセラピーに携わって、私たちはどうやら、生まれる前に「魂のシナリオ」を書いてこの世に来ているらしい、ということがわかってきました。
 今世ではどんな「魂の学び」をするのか、誰と、どこで、どんなシチュエーションでそれは行なわれるのか…。すべて自らが今世地球で出会う人々と一緒に、緻密な計画を創り上げているようです。

鳴海 前世をみてきた時に、そのことを強く実感しました。
 これまで出会った人や、これから出会うであろう人が、さまざまなシチュエーションを想定しながら、壮大な「魂のシナリオ」を計画している…。すると、出会いも、起こることも、すべて「偶然」ではなく「必然」なんだ、ということになります。

宮崎 そうなんですよね。だから、「今世での使命は何だろう?」と追い求めることも、探す必要もなくて、すべては機が熟した時に、ちゃんとあらわれるようになっている。

鳴海 「魂の本質」に氣づくため、そしてせっかく来た「地球観光」を満喫するために、自ら描いた「シナリオ」どおり、人生は進んでいるのでしょうね。
 こうしたことを、誰もが実感出来る手法として「ヒプノセラピー」があらわれたことは、時代が大きな節目を迎えていることの証でもあるように思います。

宮崎 たしかに、今は大きな時代の節目であり、過渡期の真っ只中なのかもしれません。
 これまで「光と陰」「善と悪」というような二極性のからくりの中にいた私たちは、そこから卒業して、すべてが調和された「新しい世界」へと移行しているのではないか…。特にここ数年は、ヒプノセラピーのセッションを通して、そうした流れをひしひしと感じています。
 魂の本来の姿は「愛」そのもの。新しい世界は、その本来の姿がより輝く時代になることを確信しています。

鳴海 「魂の本質」に氣づく機会が増えると、ますますその流れは加速していくかもしれませんね。いっそうワクワクする楽しい時代になりそうです。
 今日は楽しく貴重なお時間を、どうもありがとうございました。

 ※本文のヒプノセラピー再現箇所は、宮崎ますみさん著『ピュア・バランス』(ヒカルランド)より、一部抜粋させていただきました。
 

宮崎ますみ プロフィール

愛知県名古屋市生まれ。1984年クラリオンガールに選ばれ、女優として舞台や映画、テレビなどで幅広く活躍。
1995年に渡米し、二児の子育てをしながら、ヨーガなどを通して魂の探求に専念する。現在は、こうした経験を活かし、心と身体と魂を多角的、多次元的にアプローチする自己実現を主軸としたヒプノセラピーを指導している。
2007年には厚生労働省・厚生労働大臣より「健康大使」を任命され、国民一人一人に健康の重要性を認識してもらうための講演活動なども行なっている。
著書に『至福への扉』(飛鳥新社)『ピュア・バランス』(ヒカルランド)がある。
 

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