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【vol.53】おすぎの名画のすゝめ Scene.11



 
 こんにちは。おすぎです。
 早いもので、今年もあとひと月とちょっと。年末年始は、皆さんもお酒を飲む機会が増えるのではないでしょうか。(私は、年中変わらず飲んでますが(笑)…)
 父も母もお酒を嗜む方でしたから、私もピーコも中学生頃から飲んでいました。祝儀・不祝儀に限っては、親の前で飲んでもOKだったのです。
 そんな年頃から飲んでましたから武勇伝にも事欠きません。

 あれは、数年前。博多で定宿にしていたホテルで起こりました。
 朝、目を覚ましてみると、部屋の様子がいつもと違います。ドアチェーンが、根本からちぎられたようになっていて、誰かが入って来たことは明らかです。
 すぐにフロントへ電話!すると、ホテルのマネージャーさんが飛んで来てくれました。
「じつは、昨晩遅くに、隣のお部屋のお客様から、おすぎさんのお部屋のテレビの音が大きくて寝られない、というお電話があったのです。すぐに駆けつけて、ブザーやノックをしましたが、一向に起きてこられませんでしたので、病気か何かだったらたいへんだ、と思い、やむなくチェーンを切断して中へ入らせていただきました。幸い、たいへんよくお休みでしたので、テレビを消して帰りました」
 と、これ以上、丁寧ということがないくらいの説明をしてくれました。
 たぶん、けっこうな騒ぎになってたんでしょうねぇ。
 もちろん、顔を真っ赤にして平謝りに謝ったのは言うまでもありません…。
 皆さんも、飲み過ぎにはご注意を(笑)
 さて、今回ご紹介する作品、先ずはクリスマス映画からです。
  

「クリスマス・キャロル」 

1970年公開 イギリス映画 監督:ロナルド・ニーム

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 19世紀のイギリスにおける児童文学の世界的大家チャールズ・ディケンズの原作をミュージカルに仕立てた作品。彼の作品では、他に「オリバー・ツイスト」なども映画化されています。
 舞台は19世紀のロンドン。強欲でケチ、その上思いやりのない徹底的に嫌な商人(スゴい言われ方ね(笑))のスクルージが主役です。
 クリスマスイブの夜、7年前に死んだかつての共同経営者マーレイが、亡霊となって現れ「自分の体に巻き付いている巨大な鎖は、生前の強欲さのせいだ。お前もこのまま死んだらこうなるから、今のうちに悔い改めろ」とスクルージに忠告します。さらに、これから過去・現在・未来のクリスマスの精霊が訪れることを告げて姿を消すマーレイ。
 3体の精霊によって、スクルージはどのように変わっていくかが見どころであります。
 当時まだ30代のアルバート・フィニーが、スクルージを演じる「老け役ぶり」にも注目ね。
 映画のラスト、街の通りに住民が大勢集まって「サンキュー・ベリーマッチ」を歌い踊るシーンも素晴らしい!!
 クリスマスにオススメの名作です
 

「日曜はダメよ」

1960年公開 ギリシャ映画 監督:ジュールス・ダッシン

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「日曜はダメよ」は、娼婦は日曜日は仕事をしないのよ、という意味であります。
 1960年公開で、監督・原作・脚本がジュールス・ダッシンと聞いてピーンときた人は、かなりの映画ファンと言っていいでしょう。
 アメリカから古代ギリシャ研究のためにやってきたホーマー(監督自ら演じています)は、酒場で出会ったピレウスに住む売春婦イリア(監督の奥さんメリナ・メルクール)に惚れ込みます。ホーマーは、彼女に教養を授けて、何とか道徳的な方向へ導こうとするのですが・・・。
 この年のカンヌ国際映画祭「主演女優賞」に輝いたメリナの魅力全開で、当時のギリシャの太陽のように、明るくて、楽しいこの作品。どこまでも広
がる空と海、住居の白というギリシャの風景が、名手ジャック・トナーの撮影によって、モノクロなのに色がついているように見えます。
 マノス・ハジダキス作曲の主題歌「ネバー・オン・サンデー」は、1960年代を代表するヒット曲となりました。
 

「冒険者たち」

1967年公開 フランス映画 監督:ロベール・アンリコ

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 私の大好きな監督にロベール・アンリコという人がいます。フランス人で、最初に出会った作品がデビュー作の短編「ふくろうの河」でした。この作品はカンヌ国際映画祭で短編グランプリを獲得し、その後の長編第1作「美しい人生」(1963年)でジャン・ビゴ賞を受賞して、世界的にその名を知らしめました。
 彼の作品にはいくつもいいものがありますが、一番気に入っているのがこの作品です。原作・脚本がジャン・ジョバンニというのも気に入っていて、私の10本の指に入る作品になっています。
 マヌーを演じるアラン・ドロンは、この時31歳で人気絶頂。親友のローランドを演じるリノ・ヴァンチュラが48歳。何をするにも一緒の二人は、彫刻家のレティシア(ジョアンナ・シムカス)と出会い、3人で行動を共にするようになります。
 海底に沈んだ財宝探しという話が舞い込み、一攫千金を狙う3人。苦労の末、ついに財宝を手に入れた3人でしたが、それを狙う一味に襲われ死んでしまうレティシア。彼女を海底に埋葬するシーンがなんとも素晴らしく、そのシーンを見たくて16回も観ました。地方の映画館で上映があると知るとそこまで出かけたくらい、お気に入りの作品なのです。
 
 

おすすめの新着映画 「黄金のアデーレ 名画の帰還」

監督:サイモン・カーティス
原題:Woman in Gold 配給:ギャガ
11/27(金)TOHOシネマズ シャンテ 他 全国公開
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 映画から「ものを教わる」ということが度々あります。
「黄金のアデーレ 名画の帰還」も、そんな1本です。
 ドイツ・ナチスがオーストリアを侵略し、ウィーンのユダヤ人富豪の家から1枚の有名な絵を略奪していきました。”グスタム・クリムト”が描いた「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ」です。
 戦後、この絵はウィーンにあるベルベデーレ美術館が所蔵していましたが、1988年に、ロサンゼルスでブティックを営んでいたマリア・アルトルマン(ヘレン・ミレン)が、この絵の返還を求めて、オーストリア政府を訴えました。「伯母の肖像画」の返還は、亡くなった姉のルイーズが生前やろうとしていたことだったのです。
 友人の息子で弁護士のランディ・シェーンベルク(ライアン・レイノルズ)と共に、立ち上がったマリア。真っ向から反論するオーストリア政府との結末やいかに。
 実話の映画化。ヘレン・ミレンの演技も素晴らしい!!
 

プロフィール・映画評論家 おすぎ


1945年 神奈川県横浜市生まれ。
阿佐ヶ谷美術学園デザイン専門部卒業後、デザイナーを経て「歌舞伎座テレビ室」製作部に勤務。
1976年 ニッポン放送「オールナイトニッポン」で映画評論家としてデビュー以来、テレビやラジオへの出演、新聞・雑誌への執筆、トークショー開催など多岐にわたって活躍している。
いまニッポンでいちばん信頼されている『劇場勧誘員』。
著書に「おすぎです 映画を観ない女はバカになる!」(主婦と生活社)、「バカ!バカ!バカ!」(ぺんぎん書房)、「愛の十三夜日記」(ダイヤモンド社)、「おすぎのネコっかぶり」(集英社文庫)などがある。
 
 

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