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【vol.50】こころとからだの健康タイム|ゲスト 吉元 由美 さん~後編~


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 作詞家、小説家、エッセイストなど多彩な分野で活躍している吉元由美さん。
 吉元さんが詞を提供した平原綾香さんのデビュー曲『Jupiter』(2003年発売)はミリオンセラーを記録し、いまも多くの人たちに明るい希望の灯をともし続けています。
 後編の今回は、名曲『Jupiter』に関わるエピソードや、言葉のもつ力などについてお話を伺いました。

 

『Jupiter』が生まれたのは平原綾香さんとの出会いから

鳴海周平(以下 鳴海)
 ミリオンヒットとなった『Jupiter』は、2003年の発売でしたね。はじめてこの歌を聴いたときの衝撃は、いまでもはっきりと覚えています。自分のこころの内に宿っている、壮大な宇宙とのつながりを感じました。

吉元由美さん(以下 吉元)
 どうもありがとうございます。
 はじめて平原綾香さんの声を聴いたときに「あ、この声は天と地をつなぐエネルギーそのものだ」と思いました。以前、アリゾナのセドナで、山の上から地平線を突き刺すような稲妻をみたことがあったのですが、平原さんの声は、そのときの光景をはっきりと思い出させてくれたんです。
「天と地をつなぐ歌」というテーマが決まったことで、本当にたいせつなことを、何の制約もなく書こう、という氣持ちになることができました。
 何にも縛られなくていいんだ、いちばん書きたいことを書こう、という勇氣を与えてくれたのは、平原さんの声だったんです

鳴海 たしかに、平原綾香さんのインパクトは凄かったですね。あれほど壮大なスケールの歌詞が自然にスーッと入ってくるのは、宇宙と調和しているからなのでしょうね。

吉元 「『Jupiter 』を聴いて、こころが救われました。ありがとうございます」と言ってくださるたび、「こちらの方こそ、ありがとうございます」という氣持ちで胸がいっぱいになります。この「ありがとう」の連鎖もまた、宇宙の法則なのかもしれませんね。

必要なものは、必要なタイミングで、必要なだけ与えられる

吉元 じつは、『Jupiter』を書き始める少し前に、はじめて「仮面うつ病」を体験したんです。なんだか、いつもからだがダルくて、昔から昼寝なんてしない質なのに、氣がつけばソファで横になっていました。ベッドでは毎晩、心配事が頭の中をめぐって熟睡できない。でも、朝は6時に起きなければならないので、日中は生あくびばかり・・・。以前はささやかなことでも楽しめたのに、いまは何をしても楽しくない・・・。あんなに頑張れていた自分はどこへ行ってしまったんだろう・・・。病院で処方された薬を飲みながら、2週間に1度通院するという生活でした。
 原因は、なんとなくわかっていたんです。そのころ実家では、父の事業がたいへんな状態になっていて、母もそのストレスからか体調を崩していました。娘が小学校へ入学するタイミングなども重なって、自分の中でさまざまな葛藤があったのだと思います。
 いま思えば、まさに「ジャンプするためには、しゃがまなければなりません。」という状況(前号掲載の前編参照)だったのでしょうが、当時はそんなことを思い浮かべる余裕すらありませんでした。

鳴海 「しゃがんでいる時期」は、真っ只中にいるときには氣づきにくいものですよね。もしかしたら、余裕のない「無我夢中」の状態だからこそ得られるものがあるのかもしれませんが、おつらい状況だったとお察しします。

吉元 もともと私は、どんなことでも前向きに考えてきたタイプの人間でしたから、あまり他人に弱みをみせるようなことはありませんでした。でも、このことで、ときには弱くなってもいいのだ、という「そのままの自分を受け入れること」を学んだように思います。
 そして、おっしゃるとおり、そんな状況だったからこそ、『Jupiter』を書くことで、私自信が励まされ、大きな力をいただけたんだと思うんです。
 その年の秋、新潟県中越地震で被災した人たちが『Jupiter』を聴いて励まされ、地域のFM局にリクエストが殺到しているというニュースが報道されました。この歌が、地震という困難に見舞われた人たちのこころの支えになっているんだ、そう思うと胸がいっぱいになりました。私がそうだったように、この歌が、誰かの生きる力になっている・・・。そう思えるようになったころから、からだも少しずつ楽になっていきました。夜も眠れるようになって、少しずつ前向きな考えを持てるようになったんです。あのスランプは、この歌を産み出すために必要な「しゃがんでいる時期」だったのでしょうね。
 神様は「必要なものを、必要なタイミングで、必要なだけ与えてくださる」いまは、素直にそう思えます。

鳴海 そうした体験を乗り越えたからこその言葉には重みがありますね。
 私たちには、必要なものが、必要なタイミングで、必要なだけ与えられている。まったく同感です。

言葉の力 〜 言霊(ことだま)

鳴海 歌が持つ「癒し」の効果は、本当に素晴らしいと思います。音楽の持つ力と共に、昔から云われる「言霊( 言葉に宿る力)」のはたらきも大きいのではないでしょうか。

吉元 歌詞や文章を書く、という仕事を30年以上していると、言葉の持つ力「言霊」のたいせつさや影響力の大きさがしみじみわかってきます。
 奈良時代の歌人・山上憶良が、日本は「言霊の幸わう国」である、と歌っているように、日本人は昔から「言葉」をとてもたいせつにしてきました。和歌や短歌、俳句などをたしなむ文化も、そうした背景があったからこそ生まれたのだと思います。

鳴海 日本人が言葉をたいせつにしてきた理由に、自然界の存在すべての中に神様の存在をみる「八百万の神」という考え方があるのかもしれませんね。
 以前、『水からの伝言』(波動教育社・刊)などの著作で知られる江本勝さんから「大自然が発するいろいろな振動、音を聞き分けることで、それらを真似し、仲間に伝えていくことによって言葉はつくられたのではないか」というお話を伺ったことがあります。例えば、小川が流れる音からは「優しい言葉」、動物の鳴き声からは「危険を知らせる言葉」という感じで、自然の氣配や波動を感じ取って言葉はつくられたのではないかと。その言葉を発することによって、そうした氣配や波動を再現するわけですから、言葉には力があって当然だ、というわけです。

吉元 たしかに、優しい言葉を使うと、発した側も受け取る側も、双方がなんとなく優しい氣持ちになりますね。言葉が氣配や波動を再現しているからと解釈すると、とても納得がいきます。
 言葉の原点は、自然とこころを通じ合わせることだったのかもしれませんね。
 とくに日本人は、母音を主体とする言葉を用いてきたことで、より自然とのつながりを感じやすい脳の仕組みになったともいわれています。
 虫や鳥などの鳴き声や、風の音、雨の音などにも風情を感じられるのは日本人ならではの脳の機能で、これは人種の違いではなく、日本語を母国語として育ったかどうかによる、と医学博士の角田忠信先生が述べています。こうした「音を感じる脳の仕組みの違い」が、日本人ならではの文化や風習を育んできたのでしょう。

鳴海 先人たちが、自然の中にやどる神様たちとのつながりをたいせつにしてきた証ですね。

人はいつか、自分の発した言葉に出会う

鳴海 言葉はこころの状態を反映したものでもありますが、こころが言葉によって導かれるということもありますね。
 歌を聴いて元氣になったり、何氣ないひと言が勇氣を奮い立たせてくれたりするのも、言葉がこころを導いているからといえるのではないでしょうか。

吉元 娘が中学に上がったときに、つい「明日からずっとお弁当か・・・」とつぶやいてしまったことがあるんです。そのときに「ママ、楽しんでつくってね!」と言った娘の言葉は、まさに魔法の言葉でした。「そうだよね、どうせつくるなら楽しんだほうがいいよね!」娘のひと言が、私のこころを導いて、幸せ遺伝子をオンにしてくれたんです。
 楽しんでつくるとなれば、彩りもバランスもよく、美味しいものを!と思いますから、アイディアもどんどん広がります。
 娘から「お友達に、いつも美味しそうでいいね、って言われるんだよ」と聴くたびに、また嬉しい氣持ちになってはりきっちゃう(笑)。娘のたったひと言が、3年間のお弁当づくりを幸せな時間に変えてくれました。
 おっしゃるとおり、言葉にはこころを導く力がありますね。

鳴海 健康のことを学んでいると「病は氣から」というように、からだとこころは一体だな、と思うことがよくあります。
 言葉がこころを導くのであれば、それは、こころと一体であるからだにも影響を与えているということになるでしょう。
 こころとからだをよい状態(健康)に保つためにも、どんな言葉を使うかというのはとてもたいせつですね。

吉元 人間の脳は、主語を認識しないそうですから、誰かの悪口を言うと、それはそのまま自分に対しても悪口を言ったことになるし、誰かを褒めると、自分が褒められていることにもなる。つまり、発した言葉を脳がそのままインプットしてしまうということですね。
 だったら、よい言葉をどんどん使って、自分も周りの人も一緒に幸せにならなくちゃもったいない!
 言葉とこころとからだはつながっていますから、言葉を調えると、こころもからだも自然に調います。そして、よい言葉が口グセになると、家庭環境や人間関係もあっという間に調います。
 言葉、口グセが人生を創っている、といってもいいでしょう。
 口グセは、自分ではなかなか氣づかないものですから、周りの人に訊いてみるといいですね。もしショッキングな返答があっても(笑)、それをしっかり受け止めて、先ずは「心地よい言葉」をこころがけてみる。
 人はいつか、自分の発した言葉に出会うといいます。
 自分が出会いたい言葉を発信することが、幸せの秘訣かもしれませんね。

鳴海 由美さんとの時間がとても心地よく感じるのは、「出会いたい言葉」が口グセになっているからだと、たった今判明しました(笑)。
 本当に楽しいひと時をどうもありがとうございました。

 

吉元 由美 プロフィール

 作詞家。淑徳大学人文学部客員教授。東京都生まれ。成城大学英文科卒業。広告代理店勤務の後、1984年作詞家デビュー。これまでに、杏里、松田聖子、中山美穂、山本達彦、加山雄三など多くのアーティストの作品を手がける。平原綾香の『J u p i t e r 』はミリオンヒットとなる。
 エッセイストとしても幅広く活躍し、著書に『みんなつながっているージュピターが教えてくれたこと』(小学館)『美醜の境界線』(河出書房新社)『40歳からの心を美しく磨く私の方法ーいつも「幸運な女性」の心の持ちかた』(三笠書房)など多数。
 2013年より「吉元由美のLIFEARTIST」を主宰。「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、サロンセミナーや講演などを展開している。
吉元由美オフィシャルホームページ
http://www.yoshimotoyumi.com 
 

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