Vol.139 11月 1日1食と2食と3食では、どれが健康に良いのか?
朝晩はずいぶんと冷え込んできました。
季節の変わり目、体調管理には十分氣をつけてくださいね。
今月も引き続き、身近な健康情報について検証してみたいと思います。
1日1食と2食と3食では、どれが健康に良いのか?
本屋さんに行くと、「一日に何食が健康に良いのか」という本がたくさん並んでいます。
お医者さんのような専門家が、皆さんバラバラな意見なので、どれが正しいのか迷ってしまいますよね。
私は「お腹が空いたら食べればいい」という考えなので、あまり回数にはこだわっていません。からだの声に耳を傾けていれば、その日によって食べる回数も変わって当然。
自分の本能が「お腹が空いた」と感じるタイミングこそが「食べ時」だと思います。
まあ、そうは言っても「1日○食」という話の根拠を知ることは、食べ時を知る1つの目安になりますので、それぞれの説についてちょっと検証してみましょう。
「1日3食がいい」の根拠
これは栄養学的な観点と、自律神経のバランス(腸の働き)という観点から説明されることが多いようです。
順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生は、自律神経のバランスを調える「時計遺伝子」を活性化させるためにも「朝食はしっかり摂る方が良い」とおっしゃっています。食事が腸に刺激を与えてくれることも「1日3回」を推奨している理由のようです。
108歳で天寿を全うした蟹江ぎんさんは「朝のご飯がうみゃーと、1日がね、それはシャワやかです」が口癖で、4人の娘さんたちは「3食はしっかり食べる。そして腹八分目がいちばんだよ」と躾けられたそうです。
昔から言われる「朝食は金、昼食は銀、夕食は銅」という諺どおりの食生活ですね。
朝食は「金」か「禁」か?
ところが、「朝食は摂らない方がいい」という専門家たちは「朝食は禁」と言います。「金」と「禁」ではたいへんな違いです(笑)。
インドの伝統医学であるアーユルヴェーダでは、朝・昼・夜の理想的な食事バランスを、2:3:1として、昼食に重きを置いています。
アンチエイジング研究の第一人者である白澤卓二先生も、朝食には「野菜と果物のジュース」を勧めています。「午前中は排泄の時間、午後は摂取の時間、夜は吸収の時間
だから、昼にしっかり食べるといい」という説も、古くから言われている健康法です。
夕食に重きをおく考え方
長年懇意にしていただいているホリスティック医学の第一人者・帯津良一先生は、毎夕食を「最後の晩餐」と言って、何よりたいせつにしています。午後6時半からはお酒を飲みながら食事を楽しむのが日課で、このペースはほぼ崩れません。
以前、札幌で行われた帯津先生の講演会で、ちょうどこの「午後6時半」を挟むようなスケジュールだったことがあります。この時、帯津先生は講演の壇上で悠々とビールを飲みながら、講演をなさっていました(笑)。健康の秘訣は「朝の気功(太極拳)に夜の酒」だとか。夕食を何より大切にしていらっしゃるんですね。
また、聖路加国際病院理事長で今年102歳になられた現役医師の日野原重明先生も、朝はオレンジジュースにテーブルスプーン1杯のオリーブ油(15cc)を注いだものと、小ぶりのバナナ1本。昼は牛乳1杯とクッキー2〜3枚。その代わり、夜はしっかりと召し上がるそうです。
作家の五木寛之さんも午前2時に焼き肉屋に行くことがある、と「健康問答」(平凡社刊)で述べていますから、「夜にしっかり派」も、皆さんお元気な方ばかりですね。
江戸時代までは「1日2食」だった?
一説によると、江戸時代の中頃までは1日2食が当たり前だったとか。
ヨーロッパでも18世紀まではやはり2食の地方が多かったらしいですから「3食は食べ過ぎ」というのも説得力があります。
ベストセラー『「空腹」が人を健康にする』(サンマーク出版刊)の著者であるナグモクリニック・南雲吉則先生は「1日1食」を提唱していて、その1食を「夕食」で摂ることを勧めています。
30代に見えるけど実は58歳、という南雲先生のインパクトは、とても説得力がありますよね。
さて、いかがでしょうか?
皆さん、それぞれの持論があって、どれも「なるほど」と思うものばかり。本を読めば読むほど迷ってしまうのも当然でしょう。
ここでたいせつなのは「外から得た知識」を、そのまま自分のからだに当てはめない、ということ。先ずは、自分のからだで、1日に1食も2食も3食も、全部試してみたらいいのです。
そうすると「あー、今の自分にはこのくらいのペースがいいみたいだな」ということが実感としてわかります。
からだの声に耳を傾けて「お腹が空いていたら食べる」というのが、健康・長寿を実現する食の基本なのです。
参考文献 「あなたに贈る食の玉手箱」星澤幸子・鳴海周平著・ワニ・プラス刊
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