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Vol.137 09月 健康情報ウソ?ホント?


少しずつ過ごしやすい気候になってきましたね。
今月も引き続き、身近な健康情報について検証してみたいと思います。

水はたくさん飲んだ方がよいのか?

1日に1.5~2リットルの水を飲む「水飲み健康法」というものがあります。
また、そのいっぽうで「水を飲み過ぎてはいけない」という専門家もいます。
さて、いったいどちらが正しいのでしょうか。

料理研究家の星澤幸子先生は、自らの体験をこう述べています。
「 私も本を読んで毎日1.5リットル飲んでいました。 結論から言うと、喉が渇いたら飲みましょう、ということに落ち着いています。
と言うのも、1年くらい続けた頃から心臓がドキドキして不整脈のような症状が出てきたんです。おかしいなぁ、と思っていろいろ調べてみたら「水をたくさん飲み過ぎると起きる症状」ということがわかりました。
水をたくさん飲むということは、それだけの量を循環させる必要があるわけですから、ポンプである心臓や、濾過する腎臓に負担がかかって当然なんですね。
止めたらピッタリと症状も治まりました。『過ぎたるは及ばざるがごとし』をつくづく実感しました。」

漢方医学で言うところの「水毒」は、水分の摂り過ぎでもおこるとされています。
倦怠感やむくみ、冷えなどの症状の他に、星澤先生がおっしゃったような心臓や腎臓への影響も考えられます。
からだの感性が調っていることが前提ですが、基本的には「喉が渇いたら飲む」という考え方が、からだの喜ぶ健康法だと思います。

どんな水がからだによいか?

からだは60~70%が水分なので、どんな水を摂取するかもたいせつだと思います。
私のお勧めは、自分の住んでいる土地の湧き水です。
「身土不二(からだは住んでいる土地と一体である)」という考えがその理由。
昔は、旅行などに行く時に「旅先は水が変わるから氣をつけなさい」と言われたものです。スーパーや自販機などで外国産の水も売られていますが、「氣をつけなさい」と言われる外地の水をわざわざ買って飲んでいては、昔の人に怒られるでしょう(笑)。
近くに湧き水がなければ、ご自宅の水道水に浄水器をつけて飲むのもいいと思います。
ペットボトルで売られている水を飲む場合は、なるべく近くで採水しているもの。さらに非加熱処理のものだと、より天然の良さが味わえると思います。

肉は食べない方がよいのか?

本屋さんでは「肉は食べるな」という本の隣に「肉を食べなさい」という本が並んでいます。本屋さんの戦略にのせられて両方買いましたが(笑)、どちらの主張も自信たっぷりなので、迷っている方も多いのではないでしょうか。
基本的なことは、私たちのからだのつくりを見るとわかります。
例えば、歯の構成をみると「臼歯20本、切歯8本、犬歯4本」の計32本。
60%を占める臼歯は穀類のように擂りつぶす食べものに向き、25%の切歯は野菜を食べる草食動物の歯です。残る15%が犬歯で、魚や肉を食べる肉食動物の歯ですから、食べものはこの比率で食べるとよいことを、からだは教えてくれているのです。
だから、肉はまったくダメということではなく、摂り過ぎなければよい、というふうに考えたらいかがでしょうか。
江戸時代の観相学の大家である水野南北さんも「過度の肉食は身を損ねるが少量なら良い」と述べていますし、「養生訓」を著した貝原益軒さんも同じ考えのようです。

「肉を食べてはいけない」と言う人も「肉を食べなさい」と言う人も、それぞれ自らの経験から自信を持ってお勧めしているのでしょうが、どんな氣持ちでその食材と向き合うか、という「こころの在り方」もずいぶんと大きなウェイトを占めているように思います。
108歳で天寿を全うした蟹江ぎんさんの大好物はフライドチキンだったそうですし、4姉妹の娘さんたちも皆、肉がお好きだそうです。
また逆に、京都府綾部市で自給自足の暮らしをしている若杉友子さんは、肉はいっさい食べず、とてもお元気です。
今年76歳になるそうですが、毎日の畑仕事に加えて講演会や料理教室で全国をまわるというハードスケジュールを長年こなしていらっしゃいます。新聞も眼鏡なしで読めるし、白髪もほとんどない。病院にも行ったことがないそうです。
「自らの経験を基にした信念体系が強くなればなるほど、からだに及ぼす食材の影響も大きく左右される」ということでしょうね。
ちなみに私は、人間とはなるべく遠い存在のものをいただくことが理に適っているように思うので、4本足より2本足(鳥類)、さらに1本足(キノコ類)、そして足のないもの(穀類、野菜、海藻、果物)という基準で考えています。遠い存在をいただいた時の方が、からだに自然と馴染む感じがするのです。

「美味しい!」と、からだに馴染む感じがしたら、それはからだが喜んでいる証拠です。
肉を食べてからだが喜んでいると感じる人は「美味しい」と思える量の範囲でいただけばいいし、まったくからだが受け付けない人は、別な食材が必要な栄養素を補ってくれるでしょう。
自然の中で生かされている私たちだからこそ、同じ自然界の仲間である存在にも敬意をはらって、こころとからだが喜ぶ生き方をしたいものですね。
 

参考文献 「健康の基本?心と体を健康にするカンタン習慣63」鳴海周平著・ワニブックス刊

 

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