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Vol.127 11月 からだの中のご先祖様?


 健康に関する様々な情報が溢れている中で、健康のために本当に大切なのは「からだの声を聴くこと」だと思います。
 今月も引き続き「からだの声を聴いて健康を保つ」というテーマでお話します。

 健康情報誌「日経ヘルス(日経BP社刊)」の副編集長として様々な健康情報を世の中に送り出し、現在もフリーライターとして活躍中の北村昌陽さん。
 今回も北村さんの著書「カラダの声をきく健康学」から、からだの声を聴くことの大切さを学んでいきたいと思います。

からだの中のご先祖様

 私たちのからだは、体温などの体内環境にあまり変化のない(変化の幅が少ない)方がスムーズに活動できるようです。
 北村さんは、からだの仕組みを車のエンジンに例えてこう述べています。
「これは機械に例えるとイメージがつかみやすいかもしれませんね。車のエンジンは、熱くなり過ぎるとオーバーヒートでストップしてしまいます。そこでラジエーターで熱を逃して加熱を防いでいます。一方、厳しい寒さで冷え切ってしまうとスターターを回してもなかなかスタートしませんから、寒冷地仕様の車にはエンジンを温めるヒーターがついています。テレビやパソコンなどの電気製品も、加熱するとトラブルが起きるので、スイッチを入れると内部を冷やすためのファンが回り出します。」
 もちろん、私たちのからだは機械ではありませんから、かなり許容範囲の広い調節機能を備えてはいますが、からだが調子よく動き続けるためには、体温や水分量、塩分濃度、血圧、血糖値などにあまり急激な変化がないほうがよいのです。
 からだの中には、こうした変化に対応して、内部を常に一定に保つ調節システム「ホメオスタシス(恒常性の維持)」が備わっています。
 これは、人間の脳の中でもずっと奥の方にある視床下部や脳幹といった、太古の祖先から受け継がれてきた「原始的な脳」と呼ばれるところが関係していて、生きるために必要な欲求を発して、からだの働きを維持してくれているのです。
「ご先祖様からの声」ともいえる、この素晴らしいシステム。からだの中のご先祖様にも、思わず手を合わせたくなりますね。 

いま、何が食べたいですか?

 人間の脳は、大まかにいうと3つの階層から成り立っています。
 いちばん奥にあるのが、先ほどお話しした「原始的な脳」。中間にあるのが「大脳辺縁系」。そして、いちばん外側に「大脳新皮質」があります。
 大脳辺縁系は「情動のセンター」とも呼ばれていて、喜怒哀楽や快・不快といった感情的な衝動に関係しているところです。
 大脳新皮質は、理性的な判断や論理的な思考をしたり、言語を理解・使用したり、といった、人間らしさにもっとも関係しています。 
 私たち人間が自然界の一部であることを考えると、太古の時代から備わっていた「原始的な脳」の発する指令を大切にすることが、健康を保つ最も重要な秘訣だと思うのですが、現代のように文明が発達し、人間関係も複雑な時代になってしまうと、
どうしても「大脳新皮質」の占めるウェイトが大きくなってしまいがちです。つまり、「本能的な欲求を、理性的・論理的に考える」ということが優先されてしまうんですね。もちろん、社会的な生活を営むうえである程度の理性・論理は必要ですが、食べものについても「これはからだによさそうだから」とか、「これはあまりよくない、ってテレビで言ってたっけ」といった基準で選んでしまうと、「原始的な脳」の発している「からだの声」を聴いていないことになります。
 ヘラジカは、角の生え変わる時期になると、落ちている角や動物の骨、土などをかじってカルシウムやリン酸を補うそうですし、犬や猫も時々道端の草を食べて下痢や嘔吐を促し、体調を整えます。動物たちは、おそらく「からだにいい、悪い」という情報を論理的に理解しているわけではありませんから、からだがその時に必要としているものを「原始的な脳」からの欲求のままに摂取しているのでしょう。
 つまり、私たち人間も「なんとなくアレが食べたいなぁ」という感覚がとても大切なんですね。
 自然界の一部であるからだの声に、いつも耳を澄ませていたいものです。 

参考文献 「カラダの声をきく健康学」 北村昌陽 著 (岩波書店)

「健康の基本~心と体を健康にするカンタン習慣63~」(1,400円+税)
 鳴海周平・著 帯津良一・監修

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 エヌ・ピュア代表の鳴海周平が25年間に亘って研究・実践してきた健康のコツを
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