Vol.101 09月 心と体がワクワクする方を選ぼう
初秋を迎え、朝晩はすっかり涼しくなってきましたね。
前月に引き続き、今月も「心身が元気になる考え方」を紹介したいと思います。
「頑張らなくちゃ!!」
「もっと頑張らなくちゃダメだ!」「そんなことに負けてどうするんだ!」「何でも根性があれば出来る!根性だ、根性!!」
こんな言葉を言ったり、言われたりしたこと、ありませんか?
元気づけたり、やる気を出させようとするこうした言葉。とても前向きで、力強い言葉のはずなのですが、なぜか逆に疲れてしまうように感じるのはどうしてでしょうか?
答えは実に簡単で「頑張り過ぎることは自然のリズムに合っていないから」なのです。
入院から4日目の奇跡!!
「振り返ってみると私っていつも『頑張らなくちゃ!』って言っていたように思います。頑張ることが何よりの美徳であり、いつも『今日出来ることは明日に延ばすな!!』という気持ちで毎日を送っていましたから。」
そう言って自らの奇跡的な体験を教えてくれたのは、アートセラピストとして素晴らしい作品の数々を発表し続けている、はせくらみゆきさんです。
「あの日はふだんの家事や育児、締め切りに追われながらの仕事、連日の引っ越し作業などの疲れがピークに達していた時でした。なぜか突然ぎっくり腰になってしまい、近くの整形外科で痛み止めの注射を打ってもらったんですが、何だか具合が悪くなり、そのまま意識を失ってしまったんです。しばらくの後病院のベッドの上で気づいてビックリ!左半身がまったく動かない。どうやら一種の脳梗塞になってしまったらしく、そのまま即入院となりました。」
たっぷりと出来た時間の中で、今までの生活を振り返ってみたはせくらさん。ずいぶんと心身に無理を強いてきたことに気づいたそうです。
「いい人、いい妻、いい母になろうと一生懸命だった自分がいました。どんな時でも、BGMには『巨人の星』の歌が流れていそうなくらい頑張っていたんです(笑)。だからこんなふうに身体が教えてくれたんだ、って妙に納得しました。それで『身体さん、今までずいぶん無理をさせてしまって本当にごめんなさい。』と思いながら『ねばならぬ、ではなく、心と身体がワクワクする方を選ぼう。明日出来ることは今日やらなくてもいいじゃない。』と決めたんです。そうしたら胸の奥がキーンとなって、涙が溢れ出てきました。自分一人で頑張って生きてきたと思っていたのに、本当は自然の一部として生かされていたんだ、と思うと感謝の気持ちがどんどん湧いてきて・・・。そんなことに気づいた入院4日目の夜、まったく動かなかった左半身が少しずつ動き出してきました。そして翌朝にはすっかり元通りになっていたんです。回診に来たお医者さんはカルテを落としながら、目を丸くして驚いていました。(笑)」
この体験以来「頑張ること」よりも「自然界に合わせたスローな生き方」を大切にするようになったはせくらさんの作品は、多くの人々の心を打ち「生きる喜び」を与え続けています。
「60点主義」で「いい加減」がちょうど良い
評論家としても著名な竹村健一さんは「頑張らないこと」と「自然のリズム」について、こうおっしゃっています。
「太陽や月との関係、天体の運行ペース、季節の移り変わりとそれに伴う動植物の生活リズムなど、周りを観察してみると自然のペースって結構ゆっくりなんだよね。こうした自然の営みに適った、ゆったりとしたペースが、本当は人間にもちょうどいいんだと思いますよ。」
国内はもとより海外でも多くの講演をこなしながらテレビやラジオにも出演し、500冊以上の著作を発表している竹村健一さんが、何十年にも及ぶ超多忙な毎日の中で確信したことだそうです。
「僕は『頑張る』というのがどうも好きじゃない(笑)。だから努力して一芸に秀でる、というんじゃなくて、興味があるものは何でも手を出してきました。でも努力は嫌いだから少しやってみて楽しくないとすぐにやめちゃう(笑)。『もう少し我慢してやってみよう』とういうのが出来ないんですね。それでもベストセラーが何冊も出たり、ひっきりなしに講演のお呼びがかかったりするんだから、人生には『いい加減(良い加減)』というのが必要なんだと思います。」
50歳からテニス、57歳からスキー、58歳からスキューバダイビングを始めたのも「健康のために頑張ろう」ではなく「何となく面白そうだから」という理由からだったとのこと。ご本人は「何事も60点主義」と言っていますが、この「(興味のないことは)頑張らない」という自然体の考え方が、いまだに多くのファンをひきつけてやまない原動力なのではないでしょうか。
今回紹介させていただいたお二人が仰っていたことは「自然界のリズムを大切にすること」そして「心身が喜ぶ方を選ぶ(行う)こと」。
ワクワクすることはいくらやっても疲れないので、周りからはとても頑張っているように見えても本人は楽しんでいるだけなんですね。
まるで季節が移り変わるように、川の水が流れていくように、心身がワクワクすることを、無理せず自然体で行っていきたいものです。