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Vol.066 10月 残り95%の遺伝子に隠された可能性


 私たちの身体は約60兆個ともいわれる細胞の集合体です。その中に含まれている「遺伝子」には、生命活動を行なううえでのありとあらゆる情報が書き込まれています。
 今月も、引き続き「遺伝子」についてのお話です。

学長が遅刻?

 ブラジルのある大学の卒業式で、学長が遅刻をしてきました。理由は何と、前日の飲み過ぎによる「二日酔い」。しかもそのことを堂々とスピーチで話す大物ぶり(?)にあきれた日本人留学生は、現地の学生に「とんでもない学長だね。」と話しかけたそうです。ところが現地の学生は、まったく気にもしない様子。どうやらこの国では、その程度のことでは驚かないようです。(笑)

 また沖縄の酒宴は、夜遅くに始まり朝方まで行われることが多いとか。次の日が仕事でもあまり気にせず、その場を思いっきり楽しむそうです。翌日どうなってしまうのかはわかりませんが、こういった人たちが多いと、おそらくお互い気にしない雰囲気になってしまうのかもしれません。

 こうした楽天的な考え方は、良い遺伝子をオンにしてくれるのでしょうか。ブラジルも沖縄も長寿で元気なところとして有名ですね。

 暮らしている環境は、私たちの遺伝子にも大きな影響を与えている、ということがわかります。

アポロ計画に匹敵する「ヒトゲノム」解読

 細胞の核の中にある遺伝子情報を「ヒトゲノム」と言い、そこに書かれている暗号文字の総数は約30億個とも言われています。人間に関するすべての情報がここに入っていると考えられているため、1980年代からこの暗号を解読しようとする試みが行われてきました。そしてついに2000年、ようやくこの解読が完了し「遺伝子研究」は大きく前進しました。当時のクリントン大統領は、あまりの感激に「アポロ計画に匹敵する成果だ」と自賛したそうです。

 それほど大切な情報が書き込まれているヒトゲノムですが、今のところ遺伝情報の並び方がわかっただけで、本当の意味究明はこれからの課題との事。最先端の科学をもってしても、未だに遺伝子の95%は働きさえもわからないようです。「遺伝子」って、本当に奥が深いですね。

遺伝子のもつ3つの「書物」

 遺伝子には、次の3つの書物の性格があると言われています。

1 生物自体の設計書
2 生物の進化の跡を刻んだ歴史書
3 医療の教科書

 人間が生きていくうえで必要な本能や、身体の各器官における生理活動などは、生物自体にもともと書き込まれている「設計書」です。また、何億年にも及ぶ進化の過程や、先祖代々受け継がれてきた智恵の結晶、後天的な体験を記憶・学習し、遺伝子レベルで後世に伝えていく能力などは、生物の進化を刻んだ「歴史書」ともいえます。

 ヒトゲノムの解読が進んでいくと、どんな遺伝子がどんな働きをしてどういった病気の原因となるのか、ということがわかってきます。そこで1人1人の遺伝子にあわせた「オーダーメイド薬」が可能となってくることから、医療の「教科書」ということも言われているんですね。
 こんなに凄い情報が、私たちの身体の中に入っているということです。

 これまで遺伝子のもつ様々な可能性などについて述べてきましたが、それにしてもこんなに膨大な情報量を、どうやって遺伝子というミクロなものに書き込むことが出来たのでしょうか。

 車の部品も組み立てなければただの部品であることを考えると、何かの意思の力が人間という生命体の誕生に関係している可能性は否定出来ません。筑波大学名誉教授の村上和雄先生は、この意思の力を「偉大なる何物か」(サムシンググレート)という言葉で表現しています。

 未だ全体の5%も解明されていないと言われる遺伝子には、まだまだ想像の出来ないような可能性が隠されているのかもしれません。

参考文献 村上 和雄 著 「生命の暗号」(サンマーク出版)

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