Vol.156 4月 『養生訓』に学ぶ健康と長寿のための「食」
春の氣配が少しずつ感じられるようになってきましたね。
今回は、江戸時代のベストセラー『養生訓』から、健康・長寿のための「食」を紹介します。
「養生訓」に学ぶ長寿の秘訣
江戸時代の儒学者・貝原益軒さんが書いた『養生訓』は、300年以上も続く超ロングセラーです。
健康についてのアドバイスがこと細かく記載されている同書から、今回は「食」について述べられている箇所を紹介しましょう。
何でもほどほどが良い
「満腹の状態は、臓器と臓器の間にある隙間を圧迫してしまう。氣の通り道を塞がないように、腹八分目をこころがけること。
満開よりも半開の花を楽しむように、飲酒もほろ酔い程度を楽しむのが良い」
ここでも「腹八分目」が出てきましたね。「お腹いっぱい」ではなく「空腹感が満たされる程度」が腹八分目の目安です。
「わかっちゃいるんだけど、ついつい・・・」という方は、前月号で紹介した「腹八分目でも満足するコツ」を、ぜひ活用してみてください。
それにしても、飲酒のほろ酔い加減を「半開の花」に例えるとは、さすが益軒さん。
満開になる(飲み過ぎる)と、あとは散るだけになってしまいますから(笑)、楽しみの余韻を残して飲むのが「通」というものかもしれません。
食べることも飲むことも「ほどほど」をこころがけたいものです。
バランスを考慮する
「五味(甘・辛・塩・苦・酸)のバランスを考えて、それぞれを少しずつ食べること。 野菜は穀物や肉類の不足を補い、消化もしやすい」
甘い、辛い、しょっぱい、苦い、酸っぱいの五味。これに、彩りをあらわす「五色」という考え方を加えてメニューを考えると、自然にバランスの調った食事内容になります。
味覚と視覚を楽しませてくれるメニューは健康にもいい、ということですね。
益軒さんは、野菜の中でも「大根はつねに食ふべし」と言っています。
我が家でも、鍋物などには必ず大根おろしを入れて食べます。消化吸収が良くなり、翌朝胃腸が軽くなっているのがわかります。
ちなみに、長寿で元氣な方は、蕎麦やうどんにはネギや大根おろしといった薬味をたっぷりと入れ、野菜が具沢山のみそ汁を好む傾向があるそうです。
食後には三百歩ほど歩くこと
「食後は長く休まずに、少し歩くことで消化吸収が促される」
歩くことには、自律神経のバランスを調える効果があります。
消化吸収は自律神経の影響を大きく受けていますから、食後のほどよい散歩はとても健康によいのです。
私も益軒さんにならって、ちょっと食休みしたあとで散歩をしています。
最初は少し億劫かもしれませんが、やり始めるとその爽快さを実感できますよ。
益軒さんの訓えは、現代の長寿学にも通じることばかりですね。
「何事もほどほどに、バランス良く」という益軒哲学は、食生活だけでなく、人生そのものを豊かにしてくれる智恵でもあるように思います。
参考文献
「あなたに贈る食の玉手箱」星澤幸子・鳴海周平著(ワニ・プラス)
大好評4刷!!「医者いらずになる1分間健康法」(830円+税)
帯津良一・鳴海周平著
10年以上「医者いらず」状態を継続中の健康エッセイスト鳴海周平氏が、1分間で誰もが簡単に実行できる選りすぐりの健康習慣を紹介。その驚きの効果を、ホリスティック医学の第一人者である帯津良一医学博士がわかりやすく解説します。全項目イラストわかりやすいイラストつき!!たった1分間で、一生モノの健康が手に入ります。
【本書で紹介している17の健康習慣】
1.顔をこする→内臓が元氣になる
2.耳をひっぱる→心身が元氣になる
3.指でヨガをする→痛みや不快が和らぐ
4.口元をゆるめる→疲れやダルさが取れる
5.胸に手をあてる→生命力がよみがえる
6.足全体をもむ→不快な症状が和らぐ
7.足ぶみをする→血糖値が下がる
8.お腹をもむ→快便になり免疫力が上がる
9.呼吸を意識する→自律神経のバランスが調う
10.ワカメ体操→全身のバランスが調う
11.首を温める→免疫力がアップする
12.日記をつける→自律神経のバランスが調う
13.他者と触れ合う→幸せホルモンが分泌される
14.朝日を浴びる→快眠になる
15.五感を意識する→脳とからだが若返る
16.空を見上げる→「心身自動修復機能」が働きだす
17.笑う→健康長寿が実現できる